51. 強風の中の幸運 | 憂さ憂さうさぎ

憂さ憂さうさぎ

世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

イオンスーパーセンターのだだっ広い駐車場。

数時間並ぶ事を覚悟している自分達に、風は容赦ない。

ときおり舞う白い雪を、強風が自分達に叩きつけるかのように吹き付ける。

自分の全体重をかけて寄り掛かれそうな強風。

頭の中を、原発の事がよぎる。風向き的には大丈夫と信じるしかない。

原発の状況が悪化していない事を祈るしかない。空を見上げる。

諦めて開き直ったつもりではいたけれど、やっぱり気になる事は気になる。

あまりの寒さに、友人は車へ上着をとりに行った。

店から出てきた若い女性に、友人が聞いてきた話によると、今朝11時

開店だったそうで、その時に出来ていた行列は、もっとすさまじいもの

だったらしい。その方は9時から並んで入店まで4時間も待ったのだそうだ。

店内は既に、ほとんどの品物が無くなってしまっている状態だが、多少の

買い物は出来そうだとの事。

列は、徐々に進んでいく。一度の移動で10mくらいは進んでいるだろうか。

進んではしばらく待ち、待っては10m程度進むといった具合だ。

もう4:30になった。

『果たして自分は、今日この店に入れてもらえるのだろうか?』

そんな不安までが、頭の中で顔をのぞかせ始めた。

そんな時である。店員の説明が始まった。 『セーフ!?』

店内には、50人ずつ入店し、だいたい50人出てきたら、次の50人が入店

という形式だ。購入出来る品物は、一人10品まで。

店の外では入店及び買い物における注意事項が説明される。

「米、パン、牛乳、即席ラーメン、肉魚等の生ものはありません。

乾電池、カセットコンロ等もありません。」

という “とどめ” をしっかりと刺されてしまった。『うう・・・。』

友人の電話が鳴る。話を聞くと、友人の実家からだった。

「親戚から米一俵と野菜をいろいろもらったから、とりにおいで。」 との事。

無知な自分は、友人に一言。「一俵って何キロ?」

結果 : 一俵=60kg という知識を得る。ちょっぴり賢くなった。

『米がもらえる!!』 内心小躍りして喜んだ自分がいた。

野菜もいろいろもらえるようだし、かなり助かる。

なんせ、今野菜は高いのだ。

イオンスーパーセンターの中での買い物リストから、野菜と主食関係は

とりあえず消去される。

友人の実家はここから近いから、帰りに寄らせてもらおう。

こんな時間まで強風にめげず、並んだかいがあったというものだ。