少し空腹を感じる。そういえば地震が起きた時、かなり遅めの昼食中だった。
用意した昼食を食べ終える前に、地震がおきたのだ。
「おなかすいたな。バナナ食べる?」と友人に聞くと、友人はほんの少し
迷った様子で、「うん、食べようか。」と言った。
二人そろってバナナを食べ、食べ終わった皮を持参したビニール袋に入れる。
それからあまり時間が経たないうちに、乾パンと水が配られた。
銀色の真空パック状態の乾パン。
水色のラベルに ”MiZu 保存水500ml” ”災害対策備蓄用” と印刷された
ペットボトル。
『保存水って、何か特殊な水なのか?』と思いながら、ラベルに印刷された
小さな文字を眺める。
品 名 : ナチュラルミネラルウォーター
原材料名 : 水(鉱水)
採水地名 : 新潟県胎内市乙805番地1
どうやら、一般的な水のようだ。
ペットボトルの側面に ”25.11.30.” という印字。かなりもつんだな。
ついさっきバナナを食べたばかりだからと、一つの乾パンを友人と分け合う事に
する。もうひとつは温存。
銀色の包を開封すると、丸くて薄いビスケット状の乾パンが現れた。昔どこかで
見た小さな四角の固い乾パンとは、かなり異なる姿である。
一袋の中に思いの外沢山入っていた。
一口かじると、サクッとした食感。そのまま咀嚼 『・・・うまいな。』
想像していた乾パンとはかけ離れた美味しさだ。ちょっぴり顔がほころぶ。
そのまま二人で数枚づつ食べる。
友人は自分より背が高く体格も良いのに、食べた量はあまりかわらない。
「もっと食べたら?」と乾パンを差し出すが、「うーん、今はいいや。」という答え。
本当は、かなり参っているのかな。