11. 今時の乾パン | 憂さ憂さうさぎ

憂さ憂さうさぎ

世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

少し空腹を感じる。そういえば地震が起きた時、かなり遅めの昼食中だった。

用意した昼食を食べ終える前に、地震がおきたのだ。

「おなかすいたな。バナナ食べる?」と友人に聞くと、友人はほんの少し

迷った様子で、「うん、食べようか。」と言った。

二人そろってバナナを食べ、食べ終わった皮を持参したビニール袋に入れる。


それからあまり時間が経たないうちに、乾パンと水が配られた。

銀色の真空パック状態の乾パン。

水色のラベルに ”MiZu 保存水500ml” ”災害対策備蓄用” と印刷された

ペットボトル。


『保存水って、何か特殊な水なのか?』と思いながら、ラベルに印刷された

小さな文字を眺める。

  品   名 : ナチュラルミネラルウォーター

  原材料名 : 水(鉱水)

  採水地名 : 新潟県胎内市乙805番地1


どうやら、一般的な水のようだ。

ペットボトルの側面に ”25.11.30.” という印字。かなりもつんだな。


ついさっきバナナを食べたばかりだからと、一つの乾パンを友人と分け合う事に

する。もうひとつは温存。

銀色の包を開封すると、丸くて薄いビスケット状の乾パンが現れた。昔どこかで

見た小さな四角の固い乾パンとは、かなり異なる姿である。

一袋の中に思いの外沢山入っていた。

一口かじると、サクッとした食感。そのまま咀嚼 『・・・うまいな。』

想像していた乾パンとはかけ離れた美味しさだ。ちょっぴり顔がほころぶ。

そのまま二人で数枚づつ食べる。

友人は自分より背が高く体格も良いのに、食べた量はあまりかわらない。

「もっと食べたら?」と乾パンを差し出すが、「うーん、今はいいや。」という答え。

本当は、かなり参っているのかな。