3. 避難所への道 | 憂さ憂さうさぎ

憂さ憂さうさぎ

世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

避難所へ行くと決めて、めちゃくちゃになった家の中から食べ物を探す。

見つけたのは、柿ピーとバナナ。

とりあえずで見つけた食糧と、水と貴重品を鞄につめこむと、厚手の上着

を数枚持って家をでた。家の鍵はかけておく。


避難所へ行く道すがら、窓ガラスや剥がれ落ちた壁の一部が歩道に散乱

している場所を数ヶ所通る。しかし、目に見えて『崩壊している』ような建物

は無かった。あれだけ揺れたのに、地震の被害は少なかったのか?という

考えが頭をよぎる。

どうしてなのか、道路の真ん中に鳩の死骸があって、その周りにまだ新し

い血と鳥の羽根が散らばっていた。

そんな道路を車が何台も通過していく。その車一台一台に一生懸命声を

かけている女性がいた。

その声に耳を傾けると「徐行してください。」というものだった。

地震の後家から出てきた人々が、道を行き来しているのだから、状況的に

徐行するのは当然だと思うのだが、車の運転手は”徐行”を意識しているのか

どうか・・・。

そんな車を見ながら、何故か不思議というか複雑というか、自分でもよく

わからない気持ちになっていた。

大きな通りへ出ると、全ての信号機が消えていて、『街ごと停電している』事

だけは解った。


もうすぐ、避難所だ。