【全将棋棋士必読】フリークラス棋士に関する規定 | カタギリノエンレイソウ広報

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みなさん、将棋を指したことはありますか?将棋の対局を観戦することに興味はありますか?一度は指してみたけど相手にボロ負けしたという方も、連戦連勝するほど実力のある方も、このページをお読みください。


フリークラスの概要
名人戦と順位戦
将棋界において、フリークラス棋士とは、名人在位者以外の将棋棋士で順位戦に出場しないものを指します。ただし、順位戦のクラスに在籍する休場棋士はこれに該当しません。
フリークラスには、順位戦C級2組の降級点3つで降級となった棋士、三段リーグの次点2回もしくは棋士編入試験合格による新棋士の他、自らの意思で順位戦からの転出を宣言した棋士が所属しています。
フリークラス棋士は順位戦を対局できません。その他の公式棋戦には出場できます。
順位戦C級2組からの降級、三段リーグの次点2回もしくは棋士編入試験合格によるフリークラス棋士は、以下のいずれかの成績を挙げた場合、次年度の順位戦に出場していただくことになります。
  1. 勝率6割以上かつ勝数が「参加棋戦数+8」以上となる単年度成績を修めた場合
  2. 良いところ取りで連続30局以上での勝率が6割5分以上となった場合
  3. 年度対局数が「参加棋戦数+1」の3倍に達した場合
  4. 全棋士参加棋戦で優勝し、又はタイトル挑戦を決めた場合

宣言によるフリークラス棋士の場合は、二度と順位戦に出場することができず、引退するまでフリークラス在籍となります。なお、フリークラスへの転出は、今期順位戦の対局が全て終了した後、翌期にB級1組以下となる予定の棋士が年度末までの間に宣言することができます。


フリークラスに関する昇段規定
将棋棋士の昇段要件については、以下の分類があります。
  一 順位戦の昇級による昇段
  二 竜王戦の昇級による昇段
  三 タイトル挑戦・獲得関連の昇段
  四 棋戦優勝による昇段
  五 勝数による昇段
  六 フリークラスに関する昇段
  七 引退後の昇段
  八 抜群の成績と実績による特別昇段 (理事会審議)

ここでは、上記「六 フリークラスに関する昇段」について解説します。

田丸昇の公式ブログによれば、フリークラスに関する昇段の規定は、フリークラス在籍年数フリークラス在籍期間外の勝数に基づいているようです。
そこで、フリークラス規定に関する昇段の実例を拾い出し、それらについてフリークラス在籍年数とフリークラス在籍期間外の勝敗を求めてみました。

 

フリークラス昇段規定

 

上表はフリークラス規定に関する昇段の実例 (2024年7月現在)です。上に見るように、44名の棋士がフリークラス規定に関する昇段を経験しています。いずれも、順位戦C級2組からの降級又は転出宣言によるフリークラス棋士の昇段となっています。

 

フリークラス昇段規定

 

上表はフリークラス在籍年数とフリークラス在籍期間外の勝敗に関する表です。フリークラスに関する昇段の規定は平成11年(1999)にできたものであり、平成11年4月1日には6名の棋士が同規定により昇段しましたが、これらの例を別にすれば、同規定に基づく平成12年(2000)以降の昇段については、フリークラス編入後最初の昇段となる場合において、次の法則が導かれます。

前回昇段後のフリークラス通算在籍年数 (フリークラス編入が年度の途中で行われた場合には、最初の年度を算入しない。また、次期の順位戦出場に該当する成績を修めた年度もフリークラス在籍期間に含める) と、前回昇段後のフリークラス在籍期間外の勝数を対象にして、
A = 10 × (フリークラス在籍年数) + (フリークラス在籍期間外の勝数)
を計算し、A が以下の条件を満たした場合は、4月1日付で昇段する。ただし、前回昇段後において、少なくとも1年以上フリークラスに在籍していた場合に限る。
  四段→五段 A ≥ 95
  五段→六段 A ≥ 115
  六段→七段 A ≥ 145
  七段→八段 A ≥ 195
  八段→九段 A ≥ 195

すなわち、前回昇段後のフリークラス在籍期間外の勝数を「1年 = 10勝」として年数に換算したもの (1年未満の端数は、0.5年以上を切り上げ、0.4年以下は切り下げる)を、フリークラス通算在籍年数と足し合わせた年数が「10年」となった四段の棋士は五段になり、同様に「12年」となった五段は六段に、「15年」となった六段は七段に、「20年」となった七段と八段はそれぞれ八段と九段に昇段となるわけです (ただし、前回昇段後において、少なくとも1年以上フリークラスに在籍していたことが前提である)。なお、フリークラス在籍中に昇段した棋士が、当該フリークラス在籍のまま再度上記の条件を満たしても、昇段は保証されないことに注意


引退規定
将棋の棋士・女流棋士は自らの意思で引退し、もしくは所属団体 (日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会)を退会することが可能となっていますが、棋士の引退に関しては、フリークラスの規定による強制的な引退の規定があります (女流棋士については成績不振を理由とする強制的な引退の規定がある)。引退後も所属団体からの退会を望まなければ、棋士や女流棋士の身分には変わりがありません (引退棋士には公式棋戦及びアマチュア棋戦の出場資格がなく、引退女流棋士には女流棋戦 (女流王座戦を除く)及びアマチュア棋戦の出場資格がない)。引退棋士や引退女流棋士、及び、指導棋士が所属団体を退会した場合には、それぞれ、棋士・女流棋士・指導棋士としての身分を喪失します。

ここでは、棋士の引退規定について解説します。

順位戦C級2組からの降級、三段リーグの次点2回もしくは棋士編入試験合格によるフリークラス棋士が、次期の順位戦出場に該当する成績を修められずに、編入後最初の年度初日から起算して10年間が経過し、もしくは60歳に達した年度が終了した場合には、フリークラス在籍の最終年度に始まる棋戦の対局がこれ以上なくなった時点で引退となります。また、60歳以上の年齢で順位戦C級2組から降級となった場合は、当該のC級2組在籍最終年度に始まる棋戦の対局がこれ以上なくなった時点で引退となります。ただし、フリークラス在籍の最終年度 (60歳以上でC級2組から降級となった場合は当該のC級2組在籍最終年度)に始まる棋戦で以下に該当する成績を挙げていた場合には、当該の棋戦に限り翌期以降も引き続き、棋戦ごとにはじめてその要件に該当しなくなるところまで出場できます。
・竜王戦:4組以上在籍 (タイトル挑戦を含む)。ただし、引退決定後最初の2年間は5組在籍でも出場可能
・王位戦、王将戦:挑戦者決定リーグ残留 (タイトル挑戦を含む)
・王座戦、棋王戦、棋聖戦:挑戦者決定トーナメントベスト4以上
・朝日杯、NHK杯:本戦ベスト4以上
・銀河戦:優勝又は準優勝
(叡王戦及び達人戦立川立飛杯については、翌期以降の出場要件不明)

宣言によるフリークラス棋士の場合、順位戦に引き続き出場可能であった最短年数 (転出時点のクラス・降級点の状態からフリークラス編入まで降級及び降級点を毎年続けた場合の所要年数、以下「最短年数」という)の期間が経過した時点で65歳以上となる場合は、転出後最短年数を経過したところで引退となります。最短年数の期間が経過した時点で65歳に達しない場合は引き続きフリークラスに在籍できますが、最短年数の期間を経過した後さらに15年が経過し、もしくは65歳に達した年度が終了したところで、引退となります。その際、フリークラス在籍の最終年度に始まる棋戦には、これ以上対局がなくなるところまで引き続き参加できます。

というわけで、フリークラスに関する規定は以上です。

(最終更新日:2024年7月21日)