将棋の段級 | カタギリノエンレイソウ広報

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みなさん、将棋を指したことはありますか?将棋の対局を観戦することに興味はありますか?一度は指してみたけど相手にボロ負けしたという方も、連戦連勝するほど実力のある方も、このページをお読みください。


将棋の段級
将棋の段級位制には以下のように複数の体系があります。
1. 棋士・奨励会員を対象としたもの
2. 女流棋士を対象としたもの
3. 指導棋士を対象としたもの
4. アマチュア (= 棋士・女流棋士・指導棋士・奨励会員以外の者)を対象としたもの

歴史的には、将棋の段級位制の確立は囲碁よりかなり遅く、段位の記載は享保2年(1817)の『将棊図彙考鑑』に始まるとされています。それ以前は名人に対しての手合割を免状に記載していたに過ぎませんでした。

棋士及び奨励会員の段級
棋士の段位は四段から九段までで、三段以下は新進棋士奨励会の段級位となっています。奨励会の段級位と棋士の段位は連続しており、奨励会の三段から四段に昇段することで、正式に将棋棋士となります。ただし、平成18年(2006)からの制度として、女流棋士やアマチュアの方が四段の棋士になるための編入試験があり、そちらに合格して将棋棋士となる方法もあります。
なお、四段の棋士になった後は、「降段」することがなく、それまでの実績に応じて昇段していきます。

<奨励会の昇降段級規定>
6級から1級までの級位には、以下のいずれかの成績によって、1つ昇級する。

(i) 6連勝
(ii) 良いところをとって、9勝3敗、11勝4敗、13勝5敗、または15勝6敗

初段から三段までの段位には、以下のいずれかの成績によって、1つ昇段する。

(i) 8連勝
(ii) 良いところをとって、12勝4敗、14勝5敗、16勝6敗、または18勝7敗

二段以下の場合、悪いところをとって2勝8敗の成績になると降級点ないし降段点が与えられ、これを消さない間に2勝8敗の成績になると降級・降段。降級点・降段点を消すためには最低でも3勝3敗の成績が必要。なお、7級から降級となった場合は退会となる。

三段に昇段した奨励会員は、昇段直後の4月1日又は10月1日から「三段リーグ」に出場し、そこで所定の成績を収めれば四段の棋士となる。三段リーグは1年間に2回行われ、その主な規定は以下。

(i) 順位は前回の成績順 (同じ成績を収めた者同士は前回の順位順)に並べられ、その次に前回リーグ期間中に三段に昇段した者が昇段日順に並べられる。
(ii) 4月1日又は10月1日時点の奨励会三段全員でリーグ戦が行われる。20人以下の場合は総当たり、21人以上は1人18戦。
(iii) 優勝者及び準優勝者は四段に昇段、それに次ぐ第3位の成績者には「次点」が与えられる。次点を2つ取った場合、四段に昇段することができる。
(iv) 勝率が2割5分以下の場合は降段点。2回続けて降段点を取ると二段に降段となる。


奨励会には在籍年限があり、初段もしくは級位 (6級~1級)で入会した奨励会員については以下のいずれかに該当する場合、退会しなければならないとされています (ただし、三段については所定の年齢に達する三段リーグ期間の終了時まで在籍可能)。

(i) 7級から降級となった場合 (ただし、6級からの降級で強制退会となる場合がある)
(ii) 級位者が初段に昇段できないまま21歳に達した場合 (ただし、1級に昇級もしくは降級してから6か月の間は21歳以上でも在籍可能)
(iii) 段位者が四段に昇段できないまま26歳に達した場合 (ただし、三段リーグには最低でも連続2年6か月在籍可能で、勝ち越せば最長で29歳に達するまで三段リーグに在籍可能)

三段編入試験の方法で入会した奨励会員については、最長で2年間三段リーグに在籍可能で (勝ち越し延長は認められない)、降段点を2回続けて取った場合は退会となります。

<棋士の昇段規定>
以下のいずれかの条件に該当した棋士は、所定の段位に昇段する。
五段への昇段

(a) 竜王ランキング戦連続昇級 (※1)
(b) 竜王ランキング戦優勝3回
(c) 順位戦C級1組昇級
(d) タイトル挑戦 (※2)
(e) 全棋士参加棋戦優勝 (※2)
(f) (四段昇段後の)公式戦100勝

六段への昇段

(a) 竜王ランキング戦昇級 (3組→2組) (※3)
(b) 五段で竜王ランキング戦連続昇級 (※1)
(c) 五段で竜王ランキング戦優勝3回
(d) 順位戦B級2組昇級
(e) 五段昇段後のタイトル挑戦 (※2)
(f) 五段昇段後の全棋士参加棋戦優勝 (※2)
(g) 五段昇段後の公式戦120勝

七段への昇段

(a) 竜王挑戦 (※3)、または竜王ランキング戦昇級 (2組→1組)
(b) 六段で竜王ランキング戦連続昇級 (※1)
(c) 六段で竜王ランキング戦優勝3回
(d) 順位戦B級1組昇級
(e) タイトル獲得1期 (※2,※3)
(f) 六段昇段後の全棋士参加棋戦優勝 (※2)
(g) 六段昇段後の公式戦150勝

八段への昇段

(a) 竜王獲得1期
(b) 順位戦A級昇級
(c) タイトル獲得2期 (※4)
(d) 七段昇段後の公式戦190勝

九段への昇段

(a) 竜王獲得2期
(b) 名人位獲得
(c) タイトル獲得3期 (※5)
(d) 八段昇段後の公式戦250勝


※1 竜王ランキング戦降級直後の連続昇級は除外。
※2 平成21年(2009)4月1日に新設。
※3 飛付昇段も可能。
※4 平成30年(2018)6月1日に新設。
※5 平成30年(2018)5月31日以前においては、タイトル獲得3期の時点で七段の場合、八段昇段の要件を満たすまで九段昇段はおあずけとなっていた。

その他、フリークラス棋士を対象にした昇段の規定、引退棋士を対象にした昇段の規定、理事会審議による特別昇段 (抜群の成績と実績)があります。

女流棋士の段級
女流棋士の段級位は2級 (平成30年までは3級)から五段 (原則)まであり、2級以上が正式な女流棋士とされます。

女流棋士になる方法

1. 女性の研修会員 (27歳未満)は、B2クラス以上かつ対局数48局以上となった場合、女流棋士 (女流2級)となる資格を得る。
2. 27歳未満の女性が、女流タイトル棋戦で本戦トーナメントベスト8以上の成績、またはYAMADA女流チャレンジ杯優勝の実績を収めた場合、女流棋士 (女流2級)となる資格を得る。
3. 女性の奨励会員は、6級以上の段級位で奨励会を退会した場合、女流棋士になる資格を得る。このとき、2級以上で退会した場合は退会時の段級が女流棋士としての段級になり、3~6級で退会した場合は女流2級となる。


なお、上記1. 及び2. の方法で女流棋士となった場合、女流1級以上への昇段級の規定は女流2級になってから適用されます。
かつては、女性の研修会員がC1クラス以上かつ対局数48局以上となった場合に女流3級となる資格が得られ、2年以内に以下のいずれかの成績を収めた場合女流棋士 (女流2級)となることができる規定が存在していました。

(a) 1年間で参加公式棋戦数と同数の勝星
(b) 2年間で参加公式棋戦数の4分の3以上の勝星
(c) YAMADA女流チャレンジ杯 (旧名:女子将棋YAMADAチャレンジ杯)ベスト4
(d)「女流棋士昇段級規定」の女流1級に該当する成績


<女流棋士昇段級規定>
以下のいずれかの条件に該当した女流棋士は、所定の段級位に昇段する。
女流1級への昇級

(a) 女流順位戦C級リーグ入り(※6)
(b) マイナビ女子オープン本戦入り
(c) 女流王座戦本戦入り
(d) 女流名人戦予選決勝進出
(e) 女流王位戦予選決勝進出(※7)
(f) 女流王将戦本戦入り
(g) 倉敷藤花戦ベスト8
(h) YAMADA女流チャレンジ杯決勝進出
(i) 女流2級昇級後の対局で、8勝以上かつ勝率5割以上 (※8)の単年度成績
(j) 女流2級昇級後40勝(※9)

女流初段への昇段

(a) 女流順位戦B級リーグ入り(※6)
(b) 大成建設杯清麗戦ベスト4 (※10)
(c) マイナビ女子オープンベスト4
(d) 女流王座戦ベスト4
(e) 女流名人戦リーグ入り
(f) 女流王位戦リーグ残留
(g) 女流王将戦ベスト4
(h) 倉敷藤花戦ベスト4
(i) YAMADA女流チャレンジ杯優勝
(j) 女流1級昇級後の対局で、8勝以上かつ勝率5割以上 (※8)の単年度成績
(k) 女流1級昇級後60勝(※9)

女流二段への昇段

(a) 女流順位戦A級リーグ入り(※6)
(b) タイトル挑戦
(c) 女流初段昇段後70勝(※9)

女流三段への昇段

(a) タイトル獲得1期
(b) 女流二段昇段後100勝(※9)

女流四段への昇段

(a) タイトル獲得3期
(b) 女流三段昇段後130勝(※9)

女流五段への昇段

(a) タイトル獲得7期
(b) 女流四段昇段後160勝(※9)


※6 令和3年(2021)新設。
※7 令和元年(2019)より。平成30年(2018)まではリーグ入り
※8 令和2年(2020)より。平成31年(2019)までは7勝以上かつ勝率5割以上
※9 令和3年(2021)9月30日までは昇段に必要な勝数が10少なかった。
※10 平成31年(2019)新設。

その他、引退女流棋士を対象にした昇段級の規定もあります。また、女流六段以上の段位もあり、それらの段位への昇段ついては、抜群の成績と実績を理事会で審議の上決定することがあります。

指導棋士の段級
指導棋士とは、「連盟から依頼された将棋普及・振興のための諸活動をおこなうこと」を目的とした日本将棋連盟の会員で、将棋教室やその他将棋関係のイベントにおける助手(アシスタント)という位置づけとなっています。
奨励会を初段以上の段位で退会した場合、指導棋士になる権利が得られます。指導棋士になるためには、日本将棋連盟に申請し、受理される必要があります。

指導棋士にも段位 (初段~七段)が存在しており、功績に応じて昇段していきます (昇段規定の詳細は未公開)。

アマチュアの段級
将棋におけるアマチュアの段級は15級から八段 (原則)まであり、級位認定状 (15級~1級)や免状 (初段~八段)が日本将棋連盟から発行されます。
アマチュアの段級は棋士・奨励会員の段級と体系が大きく異なっており、奨励会6級がアマチュアの三段 - 四段相当の棋力に相当します。また、奨励会に入会する時点で相応の棋力を要するため、奨励会員の段級は相対的に上下の実力差が小さいとされています (アマチュアは全くの初心者からトッププレイヤーまで、棋力の差が極めて大きい)。また、女流棋士の段級とも体系が異なっており、女流2級がアマチュアの二段 - 三段相当の棋力に相当します。

アマチュアの段級位のうち六段以下については、以下のいずれかの方法で申請資格を得た上で、日本将棋連盟に免状・認定状の発行を申請できます(原則として有料)。

(a) インターネット・『将棋世界』・新聞・雑誌・囲碁将棋チャンネルなどで出題される認定問題で一定以上の成績を収める
(b) 東京・大阪の将棋会館の道場で段級位を取得する
(c) 日本将棋連盟の棋士、棋道師範、棋道指導員または将棋普及指導員の推薦を受ける
(d) 将棋倶楽部24・将棋ウォーズ・81道場の段級位を取得する

全国アマチュア将棋大会 (アマチュア竜王戦、アマチュア名人戦、全国支部将棋対抗戦・個人戦 (支部名人戦))で顕著な実績を収めれば、アマ七段と認定されます (この場合には免状が贈呈される)。
また、アマ八段はアマチュア竜王戦全国大会優勝3回で認定される他、検定試験または棋士の推薦で取得する方法があります。
政治家、著名人、将棋普及への貢献者などに対し、名誉称号の意味合いを含めたアマチュア段位免状が贈呈されることがあります。この場合においては、アマ九段が贈られることもあります。


というわけで、将棋の段級に関する内容は以上です。

(最終更新日:2024年5月17日)