「金融教育は必要か?」と問われれば、「Yes」です。

ただ、世間で「子供の頃から金融教育が必要だ」と言っておられる方とは違う意味で、必要性を感じています。

 

金融を理解するためには数学力は不可欠だと、前回から言っています。

前回は、指数対数や微積分が必要としましたが、今回は、数学的な思考力について、考えていこうと思います。

 

 

 

金融資産で利益を上げるためには、どんな条件が必要になるでしょうか。

 

世界の金融資産総額は、有限です。

この条件下では、誰かが儲ければ、誰かが損をします。

資産の奪い合いです。

これなら、低金利の預貯金の方が、得です。

(この考えも、正しくないのですが、ウワベだけなら、この説明が成り立ちます)

 

 

誰もが金融資産で利益を得るためには、金融資産の総額が増えていく必要があります。

つまり、経済成長が、その条件になるのです。

 

金融教育をするなら、ここまで教える必要があります。

 

そうでなければ、金融資産の運用が、他人の財産を奪い合いであることを知らないままになります。

 

 

 

経済成長がない場合、老後資金と考えると、老後資金を得られる人がいたなら、確実に、老後資金を失う人が現れることになります。

 

世の中に、1億円の金融資産があり、それをAさんとBさんの2人が、5000万円ずつ所有しているとします。

経済成長がなければ、総額1億円の金融資産は、いつまで経っても1億円のままです。

2人の金融資産も、その総額が変わるはずありません。

仮に、Aさんの金融資産が増えたなら、Bさんは減ることになります。

総額1億円の金融資産を奪い合うことになります。

 

これに似ているのが、競馬などのギャンブルです。

馬券の売上げが、勝ち馬の馬券購入者に分配されます。

総額は馬券の売上額なので有限であり、それをレース結果によって偏った再配分するのが、競馬などのギャンブルです。

仕組みこそ違いますが、金融資産の運用も、総額が変わらなければ、競馬に似ています。

再配分の偏りが、競馬ほど極端でないだけです。

 

厳密に言うと、総額の全てが再配分されるわけではありません。

競馬は、馬券売上額の72.5〜77.5%しか、返還されません。

金融資産も同じで、証券会社が手数料を取るので、実質の総額も減っていきます。

 

 

 

非常に大切なことですが、金融資産は、経済成長が大前提にあるのです。

だから、ここから教育することが、極めて大切なのです。

 

「金融教育が必要だ」と言う方の多くは、運用方法に偏っているのではないでしょうか。

「運用で失敗しないために、子供の頃から教えるべきだ」との発想ではないでしょうか。

 

今後、年金制度が崩壊した後、金融資産の運用ができなければ、老後の生活が崩壊しかねません。

だから、金融資産の運用を学ばせておくことは、大切でしょう。

ですが、経済成長によって金融資産の総額が増えていく仕組みを、キチンと理解させておかなければ、金融資産運用の根底が崩壊する事態を生みかねません。

 

 

 

ウワベだけを教えて、基本を教えないなら、それは教育ではなく、詐欺師の口車と同じです。

 

その意味で、私は、「金融教育は必要だ」と言っているのです。

その教育をすれば、経済の重要性がわかってくるはずです。

 

 

ただ、際限のない経済成長は、不可能です。

また、近年のSDGsの思想とも、相容れないところがあります。

 

ならば、何か、方法があるのでしょうか。

次回は、その辺りを考えることにします。

 

 

 

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