最近の自動車関係のネットニュースは、本当にレベルが下がっていますね。

 

ただでさえ、新車情報は東南アジアでしか販売しない車だし、それ以外は20世紀の旧車の情報なのです。

稀にある技術系のネットニュースの内容の低さは、目を覆うばかりです。

レベル低下は常態化し、コメント欄は、間違いや抜けを指摘するコメントで、いつも溢れています。

 

どう見ても、車に興味も知識のない人物が、ネットで調べて文章にしているだけなのです。

 

 

 

 

最近でも、こんな題名の記事がありました。

 

知らなかった!?

クルマの「給油口の奥」どうなってるの?

燃料を給油した"さらにその先"の意外な構造とは

 

 

このタイトルなら、給油口から燃料タンクまでのパイプ等にメーカーの様々な工夫が語られていると、誰もが期待すると思います。

あるいは、燃料系統全体に施された工夫が書かれていると、予想するでしょう。

 

でも、違うのです!

 

 

 

 

「給油口の奥」は、「給油口からエンジンまで燃料を送る部品としてフィラーパイプがある」としています。

直後に、「フィラーパイプを通って燃料タンクに到達し、その先にあるエンジンに到達」とは書いていますが、勘違いを招きやすい記述です。

 

そもそも、フィラーパイプ自体は、ただのパイプです。

(材質の工夫はあるはずですが、具体的な話は出てきません)

誰だって、給油口から燃料タンクまでパイプが繋がっていることは知っています。

 

燃料タンクからエンジンまでは、「その先にあるエンジンに到達」と書いてありますが、実際には燃料タンクからエンジンには、燃料は届きません。

なぜなら、燃料タンクは車体の最も低い位置にあるので、自然流下では、タンクから燃料が出ていけないのです。

燃料タンクは、給油口から入った燃料が、スムーズな自然流下で燃料タンクに入るように考えられています。

給油口は、小柄な女性でもノズルを差し込みやすい高さにしたいので、高い位置にはできません。また、流れが悪いと、給油口から逆流してしまうので、燃料タンクとの間に充分な落差がほしいところです。

だから、燃料タンクは、車体の中でできるだけ低い位置に配置したいのです。

(オフローダーの場合は、あまり低くしたくないので、更に厄介になる)

このように低い位置にある燃料タンクから燃料を汲み上げる必要があるので、燃料ポンプで、強制的にエンジン(正しくは、インジェクションのリザーバータンク)へ送る仕組みになっています。

ですが、その部分は、本文では完全に無視されています。

 

給油口から燃料タンクの間も、詳しく書かれているわけでもありません。

例えば、フィラーパイプと並行して、燃料タンク内のガスを給油口から空気を抜くブリーザパイプも、記述がありません。

また、給油口から先も、燃料ポンプ、サクションチューブ、フィルター、噴射ポンプ、燃料計等は、無視されています。

(燃料ポンプという単語は出てくるが、どうやら噴射ポンプのことのよう?)

 

 

「意外な構造」って、何?

フィラーパイプが、意外な構造?

それだけ?

 

中身は、本当にスカスカでした。

 

 

 

それだけでなく、内容には間違いもありました。

 

「フィラーパイプの長さは、エンジンの場所によって設定される。これは、エンジンの場所と給油口の距離は、クルマのサイズによって差があるため」って出鱈目ですよね。

続きには、「中には、1mほどの長さのフィラーパイプもある」と言っていますが、これも正しくはないですよね。

 

 

バスやトラック、一部の乗用車を除くと、エンジンは車体の先端付近、給油口は車体の後部にあります。

だから、乗用車に限定すると、エンジンから給油口の距離は、概ねクルマのサイズに比例します。

 

ですが、フィラーパイプは、給油口から燃料タンクまでを繋ぐ部品なので、その長さは、ボディサイズではなく、給油口から燃料タンクまでの距離で決まります。

 

リムジン等の大型FR車の中には、トランクの奥に燃料タンクを置く場合があります。この場合、給油口の直下に燃料タンクがあるので、フィラーパイプは短くなります。

普通乗用車に多く見られる後席下の燃料タンクの場合は、給油口からトランクの脇を通って床下へ下り、後席下の燃料タンクまで繋いでいるので、フィラーパイプは長くなります。

軽自動車や小型車に見られるセンタータンクは、前席の下に燃料タンクがあるので、給油口から後席の下を通過して前席の下までパイプが伸びています。

当然、フィラーパイプはかなり長くなります。

 

つまり、フィラーパイプの長さは、クルマのサイズに比例しないどころか、反比例するかもしれないのです。

 

エンジンが後ろにある場合は、もっとややこしいこともあります。

例えば、三菱i(アイ)は、(厳密には)MRかつセンタータンクで、給油口は車体後部にあります。

給油口とエンジンは、1mと離れていませんが、フィラーパイプの長さは、2mくらいはあります。しかも、そこからエンジンまで、サクシャンチューブが伸びています。

エンジンと給油口の距離の何倍もの長さの燃料系統で、燃料が流れているのです。

大型トラックやバスは、給油口の直下に燃料タンクがあり、タンクとフィラーパイプが一体化している場合もあります。

 

 

フィラーパイプは、色々な長さがありますが、普通車の平均的な長さは1mくらいなのかな?

であれば、「中には、1mほどの長さのフィラーパイプもある」とは、どんな意味なのでしょうか。

この直後に、「燃料を蓄える役目も」とあるので、1mは標準より長いことを指すようです。

「1mは長い」と言いますが、それは違うでしょう。

 

 

それに、文章が崩壊しているんですよね。

 

フィラーパイプの長さを「給油口と燃料タンクを繋ぐパイプの長さ」とすると、フィラーパイプの長さは1m弱くらいになるので、「中には」のニュアンスを無視すれば、辻褄は合います。

ですが、エンジンの場所は、フィラーパイプの長さと無関係になり、「フィラーパイプの長さは、エンジンの場所によって設定される」とは矛盾します。

 

フィラーパイプの長さを燃料系全体と考えると、ほぼ給油口からエンジンまでの長さになるので、エンジンの場所が関係します。

ですが、エンジンと給油口の距離は、軽四でも2mは離れているので、燃料系全体の長さが1mくらいで収まるのは、かなり特殊な例に限られます。

私が思い付くのは、ルノートゥインゴ(3代目)くらいです。

(三菱iと似た構成だが、燃料タンクは後席下にある点が異なる)

 

速い話、筆者のフィラーパイプの捉え方が、支離滅裂なのです。

 

 

 

 

筆者は、自動車に興味がないのでしょう。

だから、フィラーパイプの長さと燃料系全体とを、混同しているのです。

一方で、文中では、フィラーパイプだけを扱っているのです。

フィラーパイプと並行するブリーザパイプさえ無視されているので、フィラーパイプへの執着を感じます。

 

 

燃料ポンプは出てきますが、唐突に出てくるため、どこにあり、どんな役目か、知らない人にはわからないままでしょう。

筆者自身が、意味もわからずに、文章に突っ込んだ印象です。

 

また、「ガス欠になると、燃料による潤滑や冷却ができなくなり、燃料ポンプが故障する」としていますが、燃料ポンプの説明だとすると、しっくりきません。

 

燃料ポンプの潤滑は、軸受は潤滑油(含油軸受?)で、インペラ自体は潤滑は不要(他との接触がない)と思うのですが、私の間違いでしょうか。

燃料による潤滑を行っているのは、燃料噴射ポンプのはずです。

詳しくはないのですが、ガソリンエンジンの場合、燃料噴射ポンプを持たず、燃料ポンプの圧力でポート内に噴射していると思っていました。

ガソリンエンジンであっても、筒内噴射方式では、燃料噴射ポンプを追加していた気もします。

(これらは、私の間違いかも・・・)

 

ディーゼルエンジンは、燃料噴射ポンプを備えていて、燃料による潤滑を行っています。

乗用車用ディーゼルエンジン自体は、軽油ではなく灯油でも動きます。

ですが、軽油と灯油では、粘性が異なるため、軽油で設計されているエンジンを灯油で動かすと、燃料噴射ポンプが壊れます。(灯油を使うと、脱税になるはずなので、御注意を)

 

筆者が言う燃料ポンプは、いったい何を指しているのか、さっぱりわかりません。

 

まぁ、この疑問を筆者にぶつけても、まともな回答は得られないでしょう。

 

 

おそらく、ネットには「燃料噴射ポンプ」と書いてあったが、簡易な「燃料ポンプ」と書き換えてしまったのでしょう。

燃料ポンプ自体を知らないので、「燃料噴射ポンプ」を「燃料ポンプ」としても、何も思わなかった?

どんな目的で燃料噴射ポンプや燃料タンクがあるのかを考えていないから、途中(ほぼタンク内)にある燃料ポンプにも気付けないのです。

 

もしかすると、ガス欠で燃料噴射ポンプが故障する経験をして、注意喚起を兼ねて記事にしたのかもしれません。

それなら、タイトルが内容と違い過ぎます。

 

筆者にすれば、「給油口の先の更に先には、燃料(噴射)ポンプがあるんだぞ。ガス欠になると、これが壊れるんだぞ」って思って書いたのかもしれませんが、レベルが低過ぎます。

少々、読者を馬鹿にしていますね。

 

 

 

 

このような記事が出てくるのは、編集部の問題です。

 

記事がノーチェックなのか、人事が適材適所の配置としていないのか、会社自体のレベルが低下しているのか。

おそらく、その全てが当てはまるのでしょう。

 

 

私は、メディアのレベル低下に、強い危機感を持っています。

 

専門の知識と理解が必要な技術分野を専門とする記者は、比較的レベルが高いはずでした。

それでさえ、ここまでレベルが低下しているとなると、他の分野は、もっと悲惨な状況に陥っているのかもしれません。

 

 

メディアのレベルが低下すると、メディアによる業界や政界の監視能力も低下します。

 

私は、それを懸念しているのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

【追伸】

 

近年、ネット上の誹謗中傷が増えています。

この文章も、当該ネットニュースの筆者への誹謗中傷と取れないこともありません。

 

ただ、私としては、間違えている内容を指摘し、その背景に切り込むことを目的としています。

それを塞いでしまえば、誤った知識を広めるだけでなく、言論統制になってしまいかねません。

 

 

私が、問題にしているのは、メディアのレベル低下の先にある業界や政界の監視能力の劣化です。

筆者個人には、興味もありません。

 

もし、当該のネットニュースの筆者がこれを読んだなら、「もっと質の高い記事を書く努力をしてください」と伝えたいですね。

「お金も時間もない」と言うのなら、自動車の不正認証も「お金も時間もなかったのだから仕方がない。責められない」と書きなさい。

私の記事を誹謗中傷だと言うなら、「自動車の不正認証はケシカラン」とのニュースも、誹謗中傷になるかもしれませんよ。

なぜなら、製品(ネットニュース)の品質について指摘をしているのですから、自動車(製品)の品質(認証不正)を「ケシカラン」と言うのも、スタンスは似ています。

 

 

メディアは、自分達の製品(ニュース)の品質(正誤や取材方法等々)に責任を持ち、その改善に努めてもらいたいものです。

 

台風10号が接近しています。

九州では、既に暴風が吹き荒れています。

 

各地で、高齢者等避難(避難レベル3)や避難指示(避難レベル4)が出されています。

場所によっては、緊急安全確保(避難レベル5)が出ています。

 

 

 

 

避難レベルは、5段階(解除を除く)で出されます。

 

レベル1は、早期注意情報です。

正直なところ、私は意識したことがありません。

 

レベル2は、大雨・洪水・高潮注意報です。

危険な地域にお住まいの方は、避難の準備を始めるタイミングとなります。

 

レベル3は、高齢者等避難です。

高齢者や障害者のように、避難に時間が掛かる場合、このタイミングで安全な場所(避難所等)へ避難します。

 

レベル4は、避難指示です。

若い方を含め、全員が安全な場所へ速やかに避難します。

 

レベル5は、緊急安全確保です。

この状態は、避難する方が危険になってしまっている状況です。

避難せず、その場所の中で、少しでも安全と思われる場所で、身の安全を図ります。

 

 

 

避難レベルについて書きましたが、これは常識の範疇であり、態々に書く必要はありません。

 

と言いつつ、避難レベル5の意味について追記すると、逃げるよりその場に止まる方がマシだろうということです。

早い話が『逃げ遅れ』です。

逃げ遅れてしまったのだから、「とにかく生き残ったくれ。幸運を祈る!」と言っているのです。

 

 

ところが、梅雨末期の大雨のニュースを見ている時に、現場のレポーターが驚くべきことを言い出しました。

 

「この辺りにも避難レベル5が出されたので、我々も避難します」

 

避難レベル5?

緊急安全確保ですよ!

避難ではなく、命を守る行動をしなければなりません。

 

レベル5で避難を始めるのは、非常に危険です。

仮に、レポーターのいる場所や移動手段・経路に問題がないとしても、大きな問題が残ります。

「レベル4が出されたら、速やかに避難してください」と周知しようとしているのに、レベル5になってから避難を始めると明言してしまうと、「レベル4でも逃げなくても良い」との誤った認識を与えてしまうことになります。

 

 

 

ですが、心配ありません。

TV局は、神様です。

我々一般人とは、扱いが異なります。

一般人は、避難レベル4で全員避難しなければなりません。

ただ、この全員には、神様であるTV局関係者は含まれません。

 

我々一般人は、決して、TV局関係者の真似はしてはなりません。

 

 

 

〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

 

 

 

こんな報道姿勢で、まともな報道をできるのか、不安しかありません。

 

随所に、神様気取りの上から目線を感じます。

 

前回は、気象庁について、検証しました。

 

今回は、公共交通機関の対応について、考えてみようと思います。

 

 

 

前回にも書いたように、巨大地震が発生しない確率は、通常時の99.9%に対して、「巨大地震注意」の時は99.6%に低下します。

 

誤差とも言えるレベルの差ですが、新幹線を始め、多くの鉄道で徐行運転が実施されました。

これを過剰反応と言い切って良いでしょうか。

 

 

今回は、99.6%(発生しない)側でしたが、0.4%の確率で巨大地震が発生したかもしれなかったのです。

 

万が一、巨大地震注意の期間内に、本当に巨大地震が発生していれば、「巨大地震注意が出ていたのに、なぜ通常通りに運行していたのか」と、非難の的になってしまうでしょう。

南海トラフ地震の想定震源域から多少外れていても、本土に被害が出る地震なら、何を言われるかわかりません。

 

同様に、万が一、津波が起きれば、「なぜ、巨大地震注意の期間に海水浴場を開いていたのか」と、非難の的になってしまいます。

 

であれば、「対応しています」とのポーズが必須になります。

徐行運転は、実施可能かつ一般市民への訴求力もある対応として、やむを得ない対応だったと言えそうです。

海水浴場の閉鎖も、同じ話です。

 

 

 

鉄道会社が、「巨大地震注意」の有無で巨大地震の発生確率に実質的な差がないことを理解していたか、私には知る術がありません。

気象庁は、「日常生活を変える必要はない」としていましたが、一般市民が理解していた可能性は低く、目に見える形で、対策を実施していく必要に迫られたと考えられます。

 

 

 

徐行運転や海水浴場の閉鎖は、妥当な対応だったのでしょうか。

 

社会的には、妥当な対応と言って良いでしょう。

正確には、やむを得ない対応を言うべきかもしれません。

ですが、論理的には、妥当とは思えません。

 

「巨大地震注意」が発表されたのは、制度発足から272週間目で、初の出来事でした。

今後も、この頻度で「巨大地震注意」が発表されると仮定すると、「巨大地震注意」の期間内に大地震が起きる確率は、1.7%しかありません。

つまり、98.3%の確率で、「巨大地震注意」が出ていない時に大地震が起きるのです。

(※30年間で80%で南海トラフ地震が発生、1437回に6回M8クラスの地震の仮定)

 

おそらく、南海トラフ地震は、「巨大地震注意」や「巨大地震警戒」が出ていない時に起きるでしょう。

その時には、鉄道は平常運転していて、海水浴場も開いています。

鉄道は徐行運転していれば、海水浴場は閉じていれば、被害は減るはずですが、常時、鉄道を徐行運転し、海水浴場も閉鎖するわけにはいきません。

 

一般市民も、そんなことはわかっています。

ですが、大きな被害を目の当たりにすれば、何とか被害を軽減する方法を模索することになります。

ですが、政府の南海トラフ地震臨時情報は、予測を外しているので、信用されません。

結局、見せ掛けの成功率が高い偽・地震予知が、台頭してくることになります。