今回から『怪人ジ・シンガー』の3シリーズめをお送りします。

今回は、胸のマークは『T』から『H』に変わります。

例によって、先が読めてしまった方もいらっしゃるでしょう。

御推察の通り、喩えが将棋に加えて囲碁も出てくるのですが、代わり映えするものではありません。

なので、読んでみたい方だけ、先へお進みください。

 (※怪人ジ・シンガー 談)

 

 

 

➖ 怪人 ジ・シンガー H ➖

 

(第一話)

 

午前中は、雑誌社と『偽科学を暴く』と題した記事を出すための交渉だった。

科学系雑誌の1コーナーに書きたくて、持ち込みで交渉したのだが、剣もほろろに断られた。

「暴露系の話題は読者の興味を捕まえられる」と粘ったが、「政府や大企業相手、主要な学会なら兎も角、末端の研究者じゃ無理だ」と言い返された。

まともな学会は、まともな研究手法を用いているから、暴露ネタなんか滅多にない。だから、三流雑誌の暴露話は、大概は言い掛かりか、ガセだ。そんなレベルの記事を書きたいのではない。

一方で、三流雑誌を足掛かりにTVにまで進出し、妙な地震予知を広めて回る輩もいる。

それなのに、それを批判することは門前払いだ。

怒りが収まらないままに、事務所に戻った。

 

「あっ!!!!!」

事務所の扉を開けたまま、固まってしまった。

「ワァッハッハッハッハッ!!」

憤懣やるかたない心に、高笑いがチクチクと刺さる。

「かっかっ、怪人ジ・シンガー・・! なぜここに?」

応接セットにふんぞり返り、お茶を片手にワトソンくんと囲碁を打っている。

ジ・シンガーの前回の訪問時は、ワトソンくんと将棋を打ったが、ワトソンくんはついに詰みまで読み切り、私は完敗した。ただ、終局は深夜になったので店は全て閉まっていて、賭けていた夕食は、カップラーメンを二人で啜ることになった。

あれ以来、ワトソンは「今度は囲碁で勝って見せる」と意気込んでいる。

私は、将棋より囲碁が好きだ。もちろん、返り討ちにするつもりだ。

コートを掛けると、盤面を覗いた。

局面は、まだ序盤だ。だから、直ぐに黒と白で石の数が違うことに気付いた。

序盤なのに、白が9石も多いのだ。どちらにもアゲハマは無いし、盤面からもアゲハマがあるはずもなかった。置き碁なら、黒石を置くのだが、白石が多い。

「ワトソンくん、君が黒石かい?」

「ええ、ジ・シンガーさんが白がいいって言うもんで」

「と言うことは、君が先手だね」

「いいえ、後手です」

「白が置き碁で、先番なのか?!」

呆れた!!

「ところで、ホームズとやら。コートは脱いだが、なぜハンチングを脱がないのかね?」

ジ・シンガーの鋭い指摘に、ワトソンくんがクスクスと笑う。

「まずは、訂正を。これはディアストーカーハットです。日本語なら、鹿撃ち帽です。まぁ、私のトレードマークと御理解頂ければ」と誤魔化した。

もう一度、盤を見る。すると、ジ・シンガーが打った。それを見た瞬間、興味は完全に失せた。

ジ・シンガーは、囲碁を知らない。ルールを知っているかさえ、怪しいものだ。

ワトソンくんには、私が教えた。まだまだ相手にならないレベルだが、ジ・シンガーのレベルなら、全ての星に置く置碁でもワトソンくんが負けることはないだろう。

「ところで、ジ・シンガーさん、御用件を伺いましょう」

「その前に、これを見なさい!」

立ち上がると、バッとマントを翻した。マントの裾で盤上の碁石が散乱したが、意に介さなかった。代わりに、ワトソンくんが床に這いつくばる。

碁石は、那智黒と蛤の上等の石だが、ワトソンくんなら無くすことはないだろう。

だから、碁石は無視して怪人ジ・シンガーのスーツに目をやった。

今回のスーツに書かれたは『H』だったが、その上に書かれている小さな文字は、『Prof.Emer.』が復活している。

それ以外は、バットマンのパクリのような出立ちから変わっていない。

「さて、今回は、どんな御用件ですかね?」

「今度は、凄いぞ。電離層を観測することで、地震の発生時期がわかるんだ!」

また、地震予知か。

「今回は、電離層ですか」

最初は電子基準点、次は宏観現象の一つ、そして今回は電離層。

「ジ・シンガーさんは、色々と手広く研究しているのですね」

皮肉を込めたつもりだが、相手を間違えた。

「ワァッハッハッハッハッ!! 恐れ入ったか!!」

たぶん、ジ・シンガーは、他の研究者の受け売りなのだろう。

でも、ただの受け売りではなく、多少は科学の知識もあるはずだ。例えば、最初に来た際に、ジ・シンガーの『ジ』が化学で使う『2』の意味だと知っていた。反論も、そこそこ的を射ている。

「ところで、ジ・シンガーさんは『義賊』でしたね?」

態々にマントを翻し、胸を張る。

「そうだとも!」

「やはり、地震を予知して、人々を助けたいと」

「当たり前だ! 東日本大震災で何人が亡くなったか、知らないわけではあるまい!」

確かに、地震を予知できれば、東日本大震災の時も、かなりの命を救えただろう。ただ、それだけではないのだが・・

「ホームズくん、君は電離層を知らないだろうが、大気の上層に電波を反射するイオンの大気層がある。その電離層が、地震の前に下がってくるのだよ」

碁石を拾い終わったのか、ワトソンくんは碁笥を持って立ち上がった。

「所長、地震の直前に、地下で異常な圧力がかかってピエゾ効果で電圧が発生し、その影響で電離層が変化するんです!」

ワトソンくんまで、ジ・シンガーの受け売りをしている。

さて、どうしたものか。

 

 

※これはフィクションであり、実在の人物や団体とは関係ありません。

 

 

ある方の呟きと、私による訂正です。

 

 

先進国でダントツに低いコロナ死者数

(正)文化が近く、政治力の差が見える東アジアとの比較では、ダントツに多い死者数。

 

経済的な落ち込みも英仏独に比べて抑える。

(正)経済的な落ち込みも、東アジアでは最大級。

 

4000万人が利用して200人ぐらいしか感染者が出ないGoTo

(正)GoToの追跡手段がなく、感染者への聞き取りで辛うじて見つけたのが200人。

   肝心な要素である『旅行先で誰に移したか』は、一切が不明のまま。

 

検査抑制、マスク配布など他国が見習う対策。
(正)検査を抑制して、感染者数を隠蔽。感染者数の隠蔽は、中国や北朝鮮を真似た?

   マスクに至っては、届いた時には市販品も流通が戻っていた。

   オマケに、届いたマスクは使えない大きさ。
 

・自民党にはウンザリ。

※この一文のみ訂正はありません!

 

 

 

私がウンザリしているのは、「GOTOトラベルによる感染者は少ない」との認識を持つ方が、政府にも、一般にも、非常に多いことです。

「GOTOトラベル関連の感染者は200人ほど」との情報を真に受けると、GOTOトラベルを利用した方は、GOTOトラベルを利用しなかった方より新型コロナウィルスに感染しにくくなることになります。

そんな馬鹿な話はありません。

政府は集計方法を発表していませんが、「GOTOトラベル関連の感染者は200人」としているのは、感染が確認された人の濃厚接触者の調査の中でGOTOトラベルを利用したことが確認できた人数と思われます。

GOTOトラベル開始からの日数は5ヶ月弱なので、1億2千万人×150日で180億人日くらいです。感染者数は12万人くらいなので、15万日に1人の割合で感染者が出たことになります。

GOTOトラベル利用者数は4000万人、感染者数は200人なので、感染率の15万日/人で除すと、1.3日/日くらいになりめす。濃厚接触者は、2週間を遡って調査しているはずなので、この数値は14日/人以上になるはずです。ということは、GOTOトラベル利用者の感染者数の調査は、実態の1割にも届いていないと思われます。

GOTOトラベルを利用した本 利用者の調査でさえ1割しか網羅できていないので、訪問先に感染を広げている数は、ほとんどカウントできていないと考えるべきでしょう。

集計方法が公開されていないので、私の推定も間違えている可能性はありますが、状況から見て、GOTOトラベル関連の感染者数を把握できているとは思えません。

 

 

「GOTOトラベルによる感染者は少ない」との認識を持つ方が、政府にも、一般にも、多いことに、私はウンザリしています。

 

第3波の感染拡大が止まりません。

分科会は、3週間程度の強い措置が必要との提言を出し、政府も重い腰を上げようとしています。

ですが、強い措置を行えば、経済へのダメージは大きくなります。ただ、ここまで感染が拡大してしまったなら、打てる手は限られますし、強い措置でなければなりません。

問題は、どこにあったのでしょうか。

 

その前に、国会議員の感染者数を見てみましょう。

現職の国会議員では、11月17日に3人目の感染者が出ています。

議員定数は衆参両院で710人ですから、237人弱に1人の割合で感染しています。

日本の人口は1億2586万人で、11月17日時点で119,441の感染者数ですから、1054人弱に1人の割合です。

つまり、日本の平均の4.45倍も感染者を出しているのです。国会議員のほとんどが東京都内にいるので、東京都の平均と比較してみましたが、それでも1.68倍も感染者が出ています。

どうやら、国会議員は、感染予防が一般人より下手なようです。

そんな国会議員が中心の政府は、「感染予防の徹底」を国民に呼び掛けていたのです。国民に呼び掛ける前に、仲間の国会議員に呼び掛けるべきでしょう。

 

 

さて、本題です。

今回の第3波は、いつから始まっていたのでしょうか。

調べてみたところ、感染者数は、8月10日ごろに第2波のピークを過ぎ、9月末まで堅調に減少していました。ですが、10月上旬は平衡状態となり、10月中旬になると明確な増加に転じていました。

重症者数も、調べてみました。

重症者数は、10月中旬に平衡状態となり、10月下旬に入ると増加傾向が明確になっていました。感染者数の変化から1週間余りの遅れで変化しています。

死者数は、日々の死者が少ないため、傾向は見えにくいのですが、11月中旬から増加に転じているようです。死者数の変化は、重症者数より3週間、感染者より4週間程度の遅れで変化するようです。

 

実際にグラフ化してみましたが、増加に転じた瞬間に、その傾向を見抜くのは困難です。ですが、1週間程度、その傾向が続いていたなら、怪しいと気付けるのではないかと、思います。第3波なら、11月に入る頃には、増加傾向が明確になっていました。

政府が動き始めたのは、11月20日でした。少なくとも2週間は遅れて対応を始めていたのです。増加傾向が現れてから対策まで、1か月も経過していたのです。

問題は、ここにありそうです。

 

以前から書いているように、新型コロナウィルス感染症対策は早めに手を打つべきです。

対応が遅れれば、社会への影響が大きな手段しか残らなくなっていきます。

また、効果が出るまで時間が掛かります。

感染者が減り始めるまでに1週間程度、重症者数は2週間、死者数は5週間も掛かるので、そのタイムラグを考慮しなければなりません。

これらを踏まえ、対策を進めていかなければなりません。

 

 

では、政府には、どんな問題があったのでしょうか。

 

まず、監視です。

新型コロナウィルス感染症の感染状況を監視していなかったと思われます。

日本の感染確認能力は、日祭日の影響を強く受けます。なので、1週間の移動平均を見る必要があります。この移動平均を基に、一次回帰すると、増減の傾向を見ることができます。本来は、実行再生産数で判断するのが正しいのですが、私には解説する実力がなく、また基本再生産数を定められなかったので、このような計算をしました。

分科会は、実行再生産数を算出していなかったとは思えません。実行再生産数を算出していたなら、どんなに遅くても11月に入る頃には増加傾向を確認できていたはずです。

分科会の会合で報告しなかったのか、報告を無視したのか、私は存じませんが、結果的に感染状況の監視を怠ったことは間違いありません。

 

二つ目は、基準を明確にすることです。

現状でも、ステージ1〜4の基準がありますが、これらは閾値であって、結果に対する評価基準とも言えます。

ここで言う基準は、増減の傾向に対する基準です。つまり、予測に対する基準です。

閾値だけでは、急激な変化では後手に回ってしまいます。

ステージ1からステージ2になった後、日付を置かずにステージ3や4まで変化してしまう可能性があります。ただでさえ、対策に感染状況が反応するまで時間が掛かるので、閾値だけで判断するのでは、後手に回りやすくなってしまいます。

なので、傾向を読み解く評価基準が必要になるのです。

 

三つ目は、評価に対する具体的な施策です。

現状は、何も決められておらず、その場で判断しているようです。何も決めていない言い訳として、「俯瞰的、総合的に判断」と言っています。

何も決めていないと、検討不足の状態で決断を下すことになるし、アレンジすることもできません。そのため、主観が、客観を押さえ込むことになってしまっています。

例えば、現行のステージに対して、そのステージになった際の対策を予め決めておき、公開しておきます。現状がステージ2として、傾向から2週間後にステージ3に到達すると予測される場合、「現状の傾向が続けば、2週間後からステージ3の対策が必要になるが、これを回避するために、通常の感染防止策の徹底してほしい」といった注意喚起とか、「〜大人数での飲食は避けてほしい」といった追加策も、施策としてあり得ます。

 

 

感染症対策は、対策から効果出るまでの応答時間が長いので、傾向を見逃さず、早めに対策を繰り出さなければなりません。

状況が変わってから対策を行ったのでは、効果が出る頃には、より深刻な状況に陥っている可能性が高いのです。結果的に、より強力な対策を行うことになり、社会へのダメージが大きくなります。

 

第3波の急激な感染拡大期は、11月20日前後に増加のピークとなったように見えます。(まだまだ急増中ですが、増加ペースが鈍り始めている)そうであるなら、11月下旬になって対策を考え始めた政府は、完全に後手に回っていることになります。

優秀な政治家なら、10月下旬に、「このままでは、11月中旬にはGOTOを停止しなければならなくなる」と警告を発しています。そして、実際にはそのような事態を回避していたはずです。

馬鹿な政治家は、「まだ大丈夫だ」を繰り返し、手遅れにします。あるいは、新型コロナ用の病床数だけを増やして、裏側で起きている通常の病床数不足に気付けないでしょう。

その背景には、科学的な理解の不足があるように感じます。

こんなレベルだから、国会議員は、クラスターも起きていないのに一般人より遥かに多くの感染者が出るのです。

 

本当に、先が思いやられます!