先日、突然1通のLINEが届きました。
相手は小学生の頃からアカデミーと縁のあるたいちさん。
今では筑波大学の3年生。もう大人です。
LINEの内容は『大学のブログで一緒の写真使ってもいいか』という事でした。
もちろんオッケーです。断る理由なんてありません。
コーチの母校でもありますし。
たいちさんは小学生5年生で全国3番に入り、全日中(中学生の全国大会)にも出場するほどのスプリンターです。
小学生の県記録なんかも保持していましたね。
非常に研究熱心で、コーチとよく陸上談義に花を咲かせた思い出があります。
レッスンでも『この練習の目的は何ですか?』と聞いてくれますし、そんな彼を中学生以降も指導できるのか不安になったからこそ、単身でアメリカのコーチライセンスを取得する事にしました。
そして、ニューヨーク合宿にも参加してくれ、OK!しか喋れない中でもJohnから様々なことを学び取っていました。
このまま順風満帆な陸上生活で、すぐに海外での試合も経験するかと思っていましたが、高校生活から徐々に狂いが生じ始めます。
大舞台で集中すると、明らかにいつも以上の力が発揮されてしまい、それが自身の筋肉を引きちぎってしまうのです。
度重なる肉離れ。
本当に辛かったし、悔しかった事と思います。
それでも陸上の悔しさは陸上で晴らす!
という強い意志が彼に『辞める』という選択をさせませんでした。
勉強を頑張り、筑波大学に進学して明るい未来に突入。
とはならず、肉離れとの戦いは終わっていませんでした。
2年生になったある日、彼から突然の電話。本当に辛かったのでしょう。ですが、彼に伝えたのは『誰よりも地味なことを完璧にやり遂げてきたんだから、その自分を信じ切ること』。
彼にれ100点満点の回答や方法を伝えたいですが、コーチは無力です。そんなものはありません。
私達が想像もできないほど、暗闇の中でもがき苦しんだんだと思います。
それでも自分を信じて継続してきた。
先日、公認で10秒7、そして追い風参考では10秒5で彼は走った事を教えてくれました。
とてつもない速さです。そして、まだ速くなると思います。
短絡的に結果が出ないと、すぐに新しい事に手を出したり、これまでの努力に唾を吐くような行為をしがちです。
そうやって自分の軸を持たずに、何年伸び悩んでいく中高生、そして大人をたくさん見てきました。
でも、最後に勝つのは、自分を信じて、誰よりも意識高く、そして地味な努力を継続できた人。
今速いから、これからも速いわけではありません。その逆もです。
皆さんは何を願いますか?そして、それに相応しい努力はなんでしょう?
時に残酷なほど期待を裏切られる事もあります。
それでも、それでもと立ち上がってチャレンジし続ければ、過去の自分を超えることができるんだ。
そんなスポーツの魅力と人の持つ可能性を改めて教えてもらいました。
彼と共に試行錯誤して作ったメニューや考え方、技術はアカデミーの現メンバーにも還元しています。
そして現メンバーと共にさらにブラッシュアップされた内容へと昇華しています。
まだ、私達には可能性が眠っているんだ!
そうコーチ自身もたいちさんのブログから学ばせてもらいました。
初心忘れるべからず。
コーチももう一度初心に還って行動します。
たいちさん、ありがとう!