私はサザエの肝が大好物である。
口の中で広がるあの豊満な潮騒の香り、
苦み走る濃厚な味わい、今まさに至福の時を思いしる。
焼いて良し、刺身でまた良し、ビールを飲み干す。
サザエの壺焼き
スーパーにはサザエがカゴ盛りで売っていた。
大粒の、それは見事なサザエであった。
7~8個入っている・・・一個100円程度である。
買おうとして手を伸ばすと、隣にシジミの姿が目に入った。
これも大粒で美味そうである。
シジミのみそ汁も捨てがたいものがある。
腕を組んでどちらにしようか迷っていると、
ふと、何故か昔聞いた物語を思い出していた・・
それは貧しい時代の頃の話であった。
麦のご飯と具の無い味噌汁が兄弟の夕飯であった。
「お兄ちゃん、焼いた魚とか食べたいね」
「おー、今度オラが川で釣ってきてあげるよ」
「ほんとう、嬉しいな、ありがとう」
病に倒れた母を助ける為に兄は朝から晩まで働いていた。
休みなど無く魚釣りをする時間など、あるはずも無かった。
もちろん、買うお金などあるわけがない、
そんな弟思いの兄の言葉に、涙する母であった・・
やがて味噌が切れて澄まし汁になってしまった。
「あっ!お兄ちゃん、今日の汁にシジミが入っているよ」
「えー、あっ!本当だ。シジミだ、シジミ汁だ」
しかし兄弟はシジミを食べることは出来ませんでした。
「変だよ、このシジミ、箸でつかめないよ」
兄は分かっていました。
味噌の無くなった汁は透き通っていた為に、自分たちの目が映っていたことに・・・
・・・・・・・・。
今日はシジミ汁でご飯を頂きます。
今の時代に感謝を込めて・・龍
PS:この物語は有名な話だそうです・・
