佐伯区観音台3丁目が梅雨明けをした。
たぶん、五日市中央1丁目や美鈴が丘西4丁目も梅雨明けしているだろう。
石内や八幡もたぶんしている・・
細かく言うと限が無いので、この辺で止めにするが、
ピンポイント天気予報を見ているせいか、最近細かくなってしまう。
しかしポイントは大切である。
エリ―ロンドンのポイントカードはトリートメントが無料になる。
ただしトリートメントする髪が少なくなった。
出来れば3回に分けてピンポイントとして使いたいものだ。
ところでザル蕎麦とモリ蕎麦のポイントは上に乗せる海苔の有無である。
親父に聞いた話なので真髄は分からないがたぶんそうなのだろう。
「ザルそば一枚、カタメで!」
いらっしゃいませの声よりも早く注文する。
これが江戸子である。
梅雨明けの熱い太陽を片手で押え、風呂敷を持ち歩く。
包の中には額縁が2点、日本画と版画である。
午前中の約束で訪問したがお客様は留守であった。
しかたが無いので昼食をとる事にした。
百貨店外販のつらいところである。
時間を指定されても待たされる。
遅れでもしたら、買わないと言われる。
しかもどうして東京から広島に転勤になったのだろう。
広島・・・熱い・・・店の中でも気が遠のいて行く・・・
「お待たせしました。ザル蕎麦です」
「お、」
店員の若い声に引き戻された。
危ない、危ないと水を飲んで気を引き締める。
江戸子は回復も早い、
いざ、ザル蕎麦・・・?
「あれ、お姉さん、海苔がのってないよ」
「えっ、海苔ですか?」
「そうだよ、ザルは海苔だろう。海苔の無いのはモリ」
「すみません」と調理場に戻り直ぐに出て来た。
海苔でも持ってきたのだろう・・・
しかし、意外にも手には油性ペンを握りしめていた。
「???」
「失礼します」と一言、その娘、
テーブルに有ったメニューに書き始めたではないか。
全てのテーブルメニューを描き終わると
私の前に立ち
「ゴメンナサイ、これで許して下さい」とメニューを開いた。
そこには「ザル蕎麦」のザルに線が引かれ、
「ズル蕎麦」と書きなおされていた。
私は怒る気も無くしお客様の家へと向かった。
広島の熱さは午後に向かって最高に達した。
「君、すまなかったね」
「いえ、そんなことは御座いません。本日は有難う御座います。」
熱さでまいろうが、お客様の前で失態は見せる事は無い。
それが江戸子だ。
「今日はご希望の日本画、横山大観の霊峰飛鶴をお持ちしました」
「またその盗難防止用の複製画エスタンプもお持ちしています」
客は静かに両方の額を見つめている。
そして・・・
「君、こちらには鶴がおらんよ」
確かに片方には19羽の鶴が描かれていてる。
そしてもう片方にはいない。
だから複製画はあてにならない。
完全な手抜きである。
そして、蕎麦屋の娘を思い出してしまった。
「これは横山大観のズルで御座います」
一瞬客の顔が固まったが直ぐに笑いと化したのであった。
「君、面白いねェー、気に行ったよ。この鶴を頂こう」
「ありがとうございます」
6000万円の霊峰飛鶴がいとも簡単に売れたのである。
広島の熱さもなんのそのであった。
「それにしてもこの複製画、全くの手抜きじゃないか」
額代は同じでも中身は5千円の印刷である。
「ようし、俺が鶴を描いてやる」
私は5千円の複製画にボールペンで19羽の鶴を描いた。
「わははは、どうだ、負ったか、俺は江戸子でい」
そして今、私は東北に来ている。
熱いので転勤したわけでもボランティアでもない。
完全な左遷であった。
しかも退職金も無くなってしまった。
そう・・・まさかあの時の鶴がエスタンプだったとは・・・
そして、私が描いてしまった富士が本物だったとは・・・
もし、あの時、ザル蕎麦さえ食べなければ・・・
もし、あの娘に合わなければ・・・
― 外商日記より・・もしもあの時 ―
怖かったですね・・・
皆さん、夏の暑さには気を付けて下さいよー
後悔は一瞬の出来事です。
では、私も蕎麦を頂きましょう。
え?私は始めからモリ蕎麦で頂きますって・・龍
