ハンバーガー
25年前の夏の話である・・
みやげもの店の片隅にハンバーガーショップが開店した。
ターゲットは湯治客???平均年齢は古稀をすでに超えていた。
開店前日・・・
「パンは柔らかく、歯が無くても大丈夫か!」
「ラジャー!問題有りません!」
「ハンバーグはツー&エートか!」
「ラジャー!・・あ、質問です」
「質問、プリーズ!」
「ツーはなんでしょう?」
「バカ者、ツーは2で豚肉のこと」
「あっ、そうか。エートは8で牛肉か?」
「違う!エートはパン粉だっぺ」
私は二人の会話を聞いていた。
親父とたぬき屋物産店の主人ムジナさんこと、椎名さんである。
「コトブキ屋の旦那、ハンバーグ焼けたけど」
山原屋旅館の板前、羽柴さんが奥から出て来た。
いつものメンバーである。
「あーあ」私は大きくため息をついた。
この三人が集まるとロクな事が無い。
一刻も早くこの場を離れなくてはと思いきや、
「お、丁度良かった。タツ、オメェ、試食しろ」
「しまった、」振られてしまった。
私は恐る恐る試食する事になる・・・
パンに豚肉20%とパン粉80%のハンバーグを挟むのである。
ほとんどパンである・・・
そこにブルドックソースで仕上げる?
せめて玉ねぎぐらいは入れて欲しかった。
レタスもトマトも出来ればチーズなどを・・・
叶わぬ願を口にして「パクリ」と頂いた???
「あれ?ウマイ」
それは思いのほか美味かったのである。
ポパイのウィンピーでも美味いと言うかもしれない。
ナンヤカンヤで完成したのである。
・・・開店当日
湯治客は何も知らずに買うのであるから不思議である。
他のバージョンはパンに山菜の漬物が入った「山菜パン」
タラの芽、ワラビ、山ウドの三種類、
それらのパンにチキンのから揚げを挟んだ
名称は「新発売!今年生れても山菜バーガー」
山菜?三才?
チキンはの存在は良いのだろうか?
それにしても凄すぎるネーミングである。
しかし、流行った・・・
やがて地元の新聞が聞きつけて来た。
山の温泉の名物の取材であった。
写真は三人でハンバーガーを手に持ってポーズを決めた。
翌朝の新聞に大きく掲載された。
見出しは「山の温泉に湯治場ーガ―登場」
そして三人が写っていた。
写真の下には山の温泉名物「トッチャンズ」と書かれていた。
山菜バーガーもチキンバーガーも三人の写真の前では薄れていた。
それは本当に嬉しそうに仲良く写っていたからである。
山の温泉の名物は間違いなくこの三人であった・・龍
