くし揚げハンター | 版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆

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私が各地で出会った美味しくて不思議な一品をご紹介。さーて今日は何を食べようかな。

              くし揚げハンター


豚肉と長ねぎ、海老とししとう、ウズラの卵・・ナドナドくし揚げはバラエティーに富んでいる。



もちろん、ウスターソースも良いが、私は醤油を掛ける。



それにはチョット訳がある・・・日本酒に合うのだ。



友人に笑われようと、止められない。

版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆-くし揚げ




画商・大東健一、彼は有名百貨店のエリート美術部員だった。



当然独立をして現在に至っている。



そんな彼を一言で表現すると「デカイ!」



正直言って巨大である。



彼が忍者で畳返しの術を使ったら完全に手裏剣の餌食となるに違いない。



ハミ出してしまうからだ。



しかし、意外な事がある。



それは・・・



私は各地の百貨店へ赴くときは少なくても一度は社員食堂に行く。



普段では立ち入ることの出来ない場所の一つだからだ。



メニュー、料金とも千差万別だが非常に楽しい。



好奇心旺盛の私には正に天国である。



・・・ ・・・ ・・・



都内の百貨店企画で大東君と始めて社食で食事をした時の事である。



「ね、大東君、私はB定食にしたけど、君なーに?」彼の目の前には何もない。



「私はお弁当です」そしてテーブルの上にハンカチで包まれた板カマボコ?を置く。



「なにそれ?」私は思わず聞いて見た。



「弁当です」・・・どう見ても板カマボコのサイズである。



12cm×6cm×7cmぐらいだろうか?



B定食の春雨サラダを横目に気になってしょうがない。



まだ解く様子は無い・・・早く解け白いハンカチ、平和の旗印。



それはB定食のメイン、鶏の南蛮揚げが半分に姿を変えたころだった。



「さーて、頂きますかな」遂にに開かれる、神秘のベール、純白のシルエット。



「お、!今日はモヤシか」嬉しそうである。



「はー?」あんぐりする私!箸には南蛮揚げ。



―実況中継―



12:07分10秒 銀色に光る弁当箱の蓋が開かれる「おおおーーー、!・・・ももややししかーー」


同 07分15秒 「いただきききままますすすーーー」



同 07分24秒 「ご馳走様でした」



「はやー」私の箸には南蛮揚げ・・・「正に神業、しかし早い」少量とはいえ早すぎる。



「あのーそれで終わり?」やはり聞いて見た。



「はい」ニッコリされた。



その体型でその弁当箱は布袋様がお猪口でご飯を食べてる様である。



そして食事は終わり会場に戻った。



大東君の奥さんが待っていた。



先に食事を済まし会場に入っている・・・出来た奥さんである。



そうか!私は閃いた。



きっと彼の事を考えて、ダイエットをさせているのだろう・・・本当に素晴らしい。



「ご主人ダイエット中なんですね?」私の質問に・・・



「いいえー」と奥さん・・・?気になる私。



しかも私の方を向いて、夫婦で見つめあいながら笑っている・・・???



取り合えず「ははは・・・は?」私も笑う。



不思議そうに笑う私に奥さんが説明してくれた。



「今日は串揚げバイキングに行くんです」嬉しそうである。



数週間前に良い店を見つけたそうだ、それが串揚げのバイキング店で、



ビールも飲み放題コースがあり、彼には打って付のシチュエーションだった。



生ビールはピッチャーのまま飲み、そして串揚げを次々に注文した。



奥さんが串を数えると、76本だった。



大東君はそれでは半端であり店の人にに申し訳ないと、ちょうど100本にしたそうだ。



話を聞いて想像して、気分が悪くなった。



「うちの人、その他にスパゲッティやカレーも食べたの」・・・もはや太刀打ちできない。



「先生もご一緒します?」・・・一瞬迷ったが、




「今日はお客様と約束が有るので次回誘って下さい」本当に先約が有った。



やがて百貨店の閉店時間となる。



「先生、お疲れ様でしたー」やる気、いや食欲満々である。



もはや彼の眼は獲物を追う猟師の目と化していた。



上半身を時計回りに数回まわし、胃腸のレストアをしている。




まさしくハンターである!・・・串カツハンター大東健一、いざ狩猟場へ・・・



   大東君メラメラ




そして、翌日・・・再び社員食堂


「ねー大東君、昨日どうだった?」私は期待していた。


100本の記録は優に抜いただろうと、A定食を食べながら聞いてみた。


「はー」元気が無い。


「どうしたの?」99本だったのか?いや昨日の様子では100オーバーだろう。


「はー」と、もう一度溜息をついて例のカマボコ弁当を出す。


「ナニ!今日も行くのかい?」私は本当に驚いた。


「いえー・・・」


悲惨な結末だった・・・意気揚々と奥さんと店に行った。電気が付いていない。入口には「短い間でしたが当店を・・・ありがとう・・・勝手ながら・・・閉店したしました」と張り紙が貼ってあったそうだ。結局大東君の様な若者が押し寄せて食われ潰れてしまったと言うわけである。


そして、さらに続く、肩を落として他の店に行ったそうだ。


当然お腹は空いているのでいつもの数倍食べてしまった。


当然バイキングでは無いので会計も凄い値段になってしまった。


当り前であるが、奥さんは呆れてしまい機嫌も悪い。


そして、


今日出がけに「当分これよ!」と弁当を持たされたわけである。


はあー・・・」弁当を開けた瞬間、溜息が社員食堂じゅうに響き渡った。


モヤシ弁当だった。


「大東君、これ食べるかい?」私はA定食の唐揚げを差しだした。


彼は小さく・・・「うん」と、うなずいた。  




頑張れ!大東君!明日の美術界の為に・・・


絵・文 君島龍輝





           ★画商 大東健一