タコ揚げ | 版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆

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私が各地で出会った美味しくて不思議な一品をご紹介。さーて今日は何を食べようかな。

         タコ揚げ


私はタコに味付けをして揚げる、タコ揚げが大好きである。


刺身より食感が良いのと、ビールがすすむのが理由である。


瀬戸内のタコを食べた時は、今まで食べていたタコに不信感を抱いたほど美味かった。


食感、味、共に最高である。タコ焼きのタコさえ本場は違うと感心した。



そしてタコ焼きで思いだすのが大阪、


大阪で思い出すのがニューヨークである。


それは習慣の一致である。


大阪の人々は、歩道の信号が赤でも渡る。


いちよう、左右の確認は有るが、平気で渡る。


ニューヨークも同じであった。


NYの友人と歩いていて信号が赤なので私は立ち止った。すると隣の友人が居ない。「あれ?」と周りを探すともうすでに向こう側に渡りきっている。「ダメじゃないか」と怒る私に、笑いながら、「ニューヨークスタイルネ」と、教えてくれた。


信号は事故が起きた時、どちらの責任かを追求する為のものと教えてくれた。何処までが本当だか定かではないが・・・




「田吾作さーん!」成田国際空港出発ターミナルに響き渡る、今時、聞きなれない名前。


「あー、田吾作さーん、こっち、こっち」私はANAのカウンターから大きく手を振った。


「あー、あー、あー、」と、手を振り返してきた。やっと気がついたようだ。


「田吾作さん、まだ日本だよ、迷子になってどうするの?」不安気になる私に、「大丈夫だと、思うべさ」とさらに不安にさせる田吾作さんである。


私は、ニューヨークで開催される、国際展に参加する、数名の日本人アーティストを引率していた。


田吾作さんは私が責任を持って連れていくアーティストの一人だった。


しかしそれが災いしたのだが・・・


ニューヨークの日本人の友人とランチをするときに、田吾作さんも同席した。


「お久しぶりです、香川さん。今日は友人が一緒ですが、よろしいでしょうか?」


「良いわよ、お友達はどちら?」彼女はNYの某有名企業のハイポストのレディーである。


「あれ?」見回すと田吾作さんの姿が見えない。さっきまで居たのに不思議である。10秒と経っていない。


「あっ!」私の声、


「あー、あれ?」彼女の声、


そして「あー、どーも―」田吾作さんの声。


カメレオン人間登場か?ニューヨークの黒い壁の前に田吾作さんは居た。黒い薄手のヤッケに日に焼けた顔、そして日影が一瞬のブラックホールを形成していた。


「あー、田吾作さん、そこに居たの?歯が見えなかったら解らなかったよ」「ハ、ハ、ハ」とりあえず皆で笑ってみた。


その後、彼女は私たちと無関係を装い、レストランまで歩くことになる。


私は反省した。田吾作さんにファッション始め、正しいニューヨークの歩き方を教えるべきだったと。そして今からでも間に合うのでは無いかと。


その晩レクチャーした。当然?車道の渡りかたも。


翌日の朝


日本人数人でチェルシーに出かけることになった。その時、誰かが余計なことを言いだした。


ホットドック食べたいなー」


朝食、食べたばかりだろうと私は思った、次の瞬間「キー」と急ブレーキの大きな音がした。


田吾作さんがタクシーの前で両手を広げ、仁王立ちになっている。

そして、タクシーの運転手が「XXX!XXX!!」怒っている。


田吾作さんが「XXX!???XXX」何か言った。

タクシーは避けて「XXX」と言い、行ってしまった。


そして田吾作さんは道路向こうの屋台にホットドックを買いに行った。


この光景に、仲間全員で唖然としてしていたが、


「ニューヨーカーだ!」誰かが言った。


「違うだろう!」と私


「ニューヨーカーて素敵よねー」勘違い女子


「だから違うって!」むきになる私


田吾作さんは、赤信号で車が来るのにも関わらず、渡ろうとして轢かれそうになっただけじゃ無いか、私は車が来なければ渡るのがニューヨーク風だと言っただけで、仁王立ちする必要は無いんじゃないかと、皆に説明したが、帰って冷やかな目で見られてしまった。


・・・孤独な私・・・


やがてヒーローは帰ってきた。腕いっぱいに紙袋を抱えての凱旋だ。

「オーッ」と歓声が上がる。民衆は英雄の勝利品を神からの贈り物として手に取り涙ぐむ。


私も別の意味で涙ぐむ・・・


「美味しい」、「ウマイ」、「ワンダホ―」賞賛の嵐。


ヒーローは深海に沈む私にも手を差し伸べた。

そしてヒーローはゴッドになった。

「キミジマ、サン!ヒ・ト・ツ・ドウデスカ?」もうすでに片言の日本語だ。


後光に照らされたゴッドは一つの紙袋を私に授けた。

「アリガトウ、ゴッド」私は受け取り、そっと紙袋を開いた。


中から出てきたのはハンバーガーだった。


「ホットドックは・・・」と言いかけたが、美味しく頂くことにした。


彼の命がけの?思いやりに・・・


素晴らしきかなニューヨークの巻  龍




絵・文 君島龍輝



※タクシーの運転手と話した言葉は、全て栃木弁だったらしい。そして朝食の後のアメリカンビッグバーガーには全員お手上げだった。