鯛茶漬け | 版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆

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私が各地で出会った美味しくて不思議な一品をご紹介。さーて今日は何を食べようかな。

       鯛 茶漬け


版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆-鯛茶漬け


ややしばらく飲んだ後に食べる「茶づけ」は格別に美味い。


惜しいことに若いころは、本当の茶漬けを知らなかった。


料理屋に通えるようになって、初めて色々な茶漬けが有ることを知る。


19XX年11月中旬?


仕事が終わり、車で家に戻るころ、辺りの電気は消え、町は静だった。私は帰り道を迂回した。

それは、いつもの店スナック「インド」の営業中を確認するためだった。


「お、看板は点いているな」


車を自宅に置いて出直そうと思い、店の前を通り過ぎた。キ、キー、私は慌ててブレーキを踏んだ。


「店の前に誰か、立っていたな」私の親しい知人の顔だった。この寒い夜空に店にも入らず何をしているのだろうと、車を後進させた。


「杉ちゃん、どうしたの?」窓を開け聞いて見た。


「あっ、その声は君ちゃんだね」彼は先天性の盲目で有るが、明るく気が良い為、友達も多い。「インド」のママとは大の仲良しである。


「あれ、お店やって無いの?」と聞くと、「うん」と気弱に返事する杉ちゃん。


車を降りて見てみると、看板は点いているし、中から音楽も聞こえる。飾りガラスからは灯りさえ漏れている。ドアを叩いて見たが、返事はない。


考えられることは幾通りか有った。


一つ目、寝ている。 二つ目、酔っ払っている。 三つ目、店は開けたが気分が乗らない。等々理由は幾らでも有る。


とりあえず私は、二つ目の場合、飲まずに帰ろうと思う。


しかし、杉ちゃんに聞いて見ると、ママから電話が有り、今日のお通しは和食よと言われやってきたそうだ。少し遅れるけど待っててねと付け加えられていた。


「杉ちゃん、本当?和食って」首を思いっきり縦に振り「うん」と返事する杉ちゃん。「インド」で中華以外の物を食べられるなんて、奇跡だと思い、私も待つことにした。


「とりあえず寒いから、車の中でラジオでも聞いて待とうよ」杉ちゃんを乗せ、車で待つことにした。30分が過ぎたころ杉ちゃんに聞いて見た。


「約束って何時だったの?」「・・・」「えっ!、10時半?じゃあ1時間も外にいたの?」「うん」


私の推理は「インド」の開店時間が遅いのは、何でも北米時間?にセットしているという話だ。多分遅れて来ても「あ、今日からサマータイムよ」と冬場でも言いそうである。


ラジオからミスターロンリ―が聞こえてきた。


「あーあ、12時過ぎちゃったよ」と、嘆いていると、「トントン」とガラスを叩く音。


「なーにやってんの?君ちゃん。あれ、杉ちゃんも一緒だ。」ママがやっと帰ってきた。どうやら酔ってはいない様なので、車を置きに行くことにした。


「杉ちゃん、良かったね。じゃあ、車置いてすぐ来るよ」・・・「うん」と嬉しそうである。


私はほほ笑みながら「ママ、遅いんじゃないの?サマータイム?」ドアを開けると同時に口が開いた。


「あ、うち、一昨日からフレックスタイム制なの」


「・・・あ、そう」そのまま沈黙。


私は「ビール」小さな声で言った。完全に負けている。


「そういえば、今日のお通し和食だって?」ビールを飲みながら言ってみた。


「どうぞ」・・・?・・・?出てきたのは茶漬けだった。


「何で、飲みに来たそうそうに茶漬け、食べるわけ!」


「そうでしょう、ねー杉ちゃん!、あ、食べてる」しかも美味しそうに食べている。


「昨日は、鯛のお刺身だったの。日付が変わったから、今日はお茶漬け」


スーパーのパックを見せられた。確かに賞味期限は昨日だった。