昭和30年代に生まれた私たちは、牛肉に馴染みが無かった。小学校の時に先生から「皆さんはどんなお肉が好きですか」と質問されると、「ブタ肉でーす」「トリ肉でーす」「クジラでーす」等が一般的で、牛肉の名称はほとんど聞かれなかった。クラスに1、2名はいたのだろうが、彼たちは上品で声が掻き消されていたに違いない。
さて、牛スジだが、何と捨てられていた時代が有った。それどころかマグロのトロさえアラ扱いだったのだから驚きである。グルメブームなどまだ来ない頃の話ではあるが・・・
そして、値段と美味さは関係が無いように思える。嗜好の違いと仕事の出来だと思うのだ。私はどんな素材でも美味しく頂けると信じている。それは手間で有ったり、時間で有ったりと、様々だと思う。
「月を友に 酒を呑む 人生 時には 河童のように」
自作の詩だが、やはりツマミが有った方が良い。
牛スジの煮込みまでとは言わないが、温かい物でも頂こう。
龍
絵・版画・文 君島龍輝

