天ぷら | 版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆

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私が各地で出会った美味しくて不思議な一品をご紹介。さーて今日は何を食べようかな。

        日本人なら天ぷら?

版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆-天ぷら


私の得意料理に天ぷらが有る。油の温度と衣の温度で仕上がりが決まってしまう。

後は時間との戦いである。

ジュワ…ジュワ…チリ・・チリ・・チリ「よーし!頂き!」いっちょう上がりである。


タラの芽、山ウド、シラキの芽、岩魚に山女魚にニジマスと幼きころから食べていた。しかし何故、天ぷらかというと理由があった。姿容の良いものは売り物になってしまう。弾かれた具材をかき揚げにするわけだ。と言って味が落ちるわけでは無い不ぞろいだが素晴らしき美味である。


天ぷらはニューヨークでも人気だった。ネタの違いは多少有ったがやはり美味かった。特に特大ぶつ切りロブスター、サボテン、アロエは衝撃だった。日本蕎麦屋に行くと車エビ等が主流になる。そして一番の違いは天ぷらが切れている事である。日本人なら切ってから揚げる所だが、揚げてから着るのだ。中の具材が客に解るようにと、食べやすさのようだ。そして蕎麦も短く切れているが、これは欧米人が麺を啜れない為である。


ところ変われど、天ぷら美味し!


2002年のころは日本とニューヨークとを通勤状態だった。しかし食事は和食が多かった。ス-パーで買うことも有ったが、私の活動エリア(ソーホー、ミッドタウン‥)では必ず日本食レストランが有ったからだ。だからNY発の飛行機で出される機内食の和食には感動しなかった。


事件が起きたのは、そんな飛行機にも慣れ始めのころだった。


「アテーション・プリーズ・・当機は間もなく着陸の準備に向かいます・・」アナウンスが流れる


「ああーもう日本か、早いものだな慣れてくると・・」周りに聞こえるように呟く。


「さーて、ベルトを確かめって」っと!深呼吸を一つして周りを振り向く・・・!?!?


「何やっているんだアイツ」


通路を挟み、私の右隣の後方2列目の若い男が携帯電話を掛けている。


なんて非常識な奴だ。今時、離着陸時で携帯電話を掛けようとする若者がいるのか!あー!しかも繋がりが悪いのか立てや横に携帯を振っている。ヤメロ―、飛行機が落ちるじゃないかー


「あっもしもし、おれ」繋がったのか?


「あれー変だなー」繋がるわけないだろう。着陸とはいえ電波より速く飛んでいるのだからと、私の頭はパ二クルのだった。


着陸7分前、人はこれを魔の時間と呼ぶ。私はそっと裏を見る。まだやっている。客室乗務員は気がつかないのか?魔の時間も半分を過ぎた。若者は再度チャレンジしている。ボタンの操作もやや早くなってきた。同じ番号に掛けているのだろう。


私は考えた。きっと重大な話が有るのだろう。仕事か?いや違う!、家族か?そうだ!きっと家族に重大な事を知らせなくてはならないのであろう。


「よし!許す。思いっきりかけろ!」命がけでやっているならしょうがない。後のことは私に任せなさい。邪魔がはいろうと私が阻止して見せる。・・・私は彼の熱意に負けた。。「そうだ応援しよう」

15分間に渡る彼の奮闘を私が見届ける使命と感動さえ覚えた。


魔の時間残り10秒


ボン!と大きな音がして機体が揺れ、そして無事に着陸した。

「当機は無事、成田国際空港に着陸致しました。又の・・・」アナウンスが飛行機の無事を告げた。


私の体は緊張の余り汗で充満していた。

「フー最後に降りるか」と横を見上げると彼が立っていた。


「飛行機はじめてですかー?電源入っていませんよー」と、携帯電話を私に向けた。

そして一礼して去っていった。


「・・・無言・・・やられたー、一本取られたー」私は笑みを浮かべ、器の大きさを、周りにアピールした。


後日、首筋の痛みは1週間つづいた。





絵・文 君島龍輝