女性版ハードボイルド、『女神の見えざる手』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『女神の見えざる手』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ジョン・マッデン

【主演】ジェシカ・チャスティン

【製作年】2016年

 

 

【あらすじ】

 ロビイストとして活躍し、周囲から一目置かれるエリザベスは、銃を規制する法案を潰してほしいと依頼を受ける。だがエリザベスはその申し出を断り、銃規制を擁護する側の陣営に加わることにする。

 

 

【感想】

 女性ロビイストの活躍を描いた政治サスペンス。ロビイストは議員に飴と鞭をちらつかせ、依頼者の要望に応えるべく法案を成立させたい、廃案に導いたりする。議員のすぐそばで蠢く、圧力団体といったところ。ただし野暮ったさはなく、冷徹な計略を張り巡らせて勝負する。こういう職業が堂々とまかり通ってしまうのが、アメリカの凄いところなのかも。その存在の良し悪しは不明だが、ワシントンでは日々ロビイストが暗躍している。

 

 

 この映画の主人公は容姿端麗で、頭脳明晰な女性ロビイスト。敵対するロビイストの行動を予測し、常に相手の裏をかいていく。権謀術策を駆使し、最後に奥の手を披露する。アメリカ版の諸葛孔明といった感じ。ただ主演のジェシカ・チャスティンがものすごい勢いでまくし立てるので、字幕を追うのにてんやわんや。言葉の多い映画。集中力が切れると、あっという間にストーリーから置いていかれそう。

 

 

 そして題材として取り上げられているのが、銃の規制法案。この法案を巡り、双方の主張がぶつかり合う。激しい攻防戦が繰り広げられ、優劣が何度も入れ替わる。そして主人公のキャラクターに工夫や、苦労が滲んでいた。単なる善人にしてしまっては映画が薄っぺらくなると考えたのか、主人公の私生活を大きく歪ませていた。主人公の不安定さが、映画にいい刺激を与えていたと思う。