平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『スマッシング・マシーン』

【評価】☆☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ベニー・サフディ

【主演】ドウェイン・ジョンソン

 

 

【あらすじ】

 格闘家として頂点を極めたマークは、日本で開催されるPRIDEに参戦する。だが精神的にも肉体的にも追い詰められていた。

 

 

【感想】

 主人公の息づかいや体温がリアルに伝わってくるような映画だった。格闘家として成功したものの、その地位を維持するのは容易ではなく、現実と向き合わざるをえなくなる。屈強の肉体を持っていても普通の人間であり、焦りや怒り、慢心と無縁ではいられない。観衆の熱狂を身に浴び高揚し、試合後は一人の男に戻る。この激しい波の変化に適応できる人は稀なのかも。場の波に翻弄され続ける姿は痛々しく、また普通の人のリアルな姿を見せていた。不安や焦りを腕力ではねじ伏せることはできない。

【タイトル】『君のクイズ』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】吉野耕平

【主演】中村倫也

 

 

【あらすじ】

 クイズ番組で決勝の舞台に立っている三島と本庄は、優勝を決める最終問題に挑もうとしていた。だが本庄は問題文が読まれる前にボタンを押してしまう。そしてどういうわけか正解を答えてしまった。

 

 

【感想】

 原作の小説を読んでいたので途中で飽きる可能性も大きかったが、全くそんなことはなかった。小説とは違う状況設定で、テレビのスタジオをメインの舞台にし、過去の回想シーンを手際よく挿入していた。緊張感と切なさのバランスがよく、アレンジのアイデアと勇気の勝利だった。またメインキャラクターの3人が自在に動き、演技の面白さを見せてくれていた。“スラムドッグ・ミリオネア”のような華やかさはなかったが、クイズにまつわる話しの細かさが面白く、クイズの入門書のような映画だった。

【タイトル】『廃用身』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】𠮷田充希

【主演】染谷将太

 

 

【あらすじ】

 編集者の矢倉は高齢者に画期的な医療を施す医師の存在を知り取材を始、医師や患者の言葉に感銘を受ける。だがある報道を受け状況は一変してしまう。

 

 

【感想】

 どんよりとした気持ちになる重めの映画だった。扱っているテーマが老いや病、介護となると当然なのかもしれない。それでも刺激的で、ついついあれこれと考えたくなる内容。主人公の医師は機能しなくなった腕や脚を切断することで、身体や精神に改善が見られると主張する。事実なのかどうなのか気になるところではあったが、本当に切り捨てる所は執着心のように見えてくる。良くも悪くも老いがしっかりと経済に組み込まれると、そう簡単に死ぬことは許されない。生きていると、どうしてもあれやこれやをしてしまう。

【タイトル】『旅立ちのラストダンス』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】アンセルム・チャン

【主演】ダヨ・ウォン

 

 

【あらすじ】

 借金まみれのトウサンは意を決して葬儀業に転身する。だが伝統をお重んじ、儀式を仕切るマン師匠の不興を買ってしまい、ますます苦しい立場に陥ることに。

 

 

【感想】

 衰退のイメージの強い香港映画だが、細い糸を手繰るようにしてしなやかに生き続けている。主人公は葬儀業を営む中年男。葬儀で舞を披露する共同経営者とぶつかるが、次第に葬儀や生きることの意味を考え始めるというストーリー。香港版の“おくりびと”といえる面もあるが、今の香港で生きる人々の息づかいが聞こえてくるような内容だった。かつてのような強烈な光は感じられなくても、人々の秘めた思いが伝わってくる。

【タイトル】『ひつじ探偵団』

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】カイル・バルダ

【主演】ヒュー・ジャックマン

 

 

【あらすじ】

 羊飼いのジョージが何者かに殺害された。そしてその捜査に乗り出したのは、ジョージの飼っていた羊たちだった。

 

 

【感想】

 本格派のミステリーの雰囲気を漂わせていたが、事件解決の糸口を見つけるのが可愛らしい羊たち。ふざけているようでありながらも、締めるところはきちんと締めていた。見所はリアルな羊たちの映像。ただしリアルとはいえ、人間ぽさや愛敬あふれる親しみやすさがあった。表情も豊かで動きも滑らか。映画全体から遊び心が伝わってくる。天然と人工素材を掛け合わせることで新たな素材や色彩を手に入れ、映画はまたひとつ武器を手に入れたのかも。

【タイトル】『シンプル・アクシデント』

【評価】☆☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ジャファ・パナヒ

【主演】ワヒド・モバシェリ

 

 

【あらすじ】

 かつて投獄されたことのあるワヒドは、偶然自分を拷問した看守を見つける。衝動的に拉致し生き埋めにして殺そうとするが、その男が本当にあの看守なのか自信が持てなくなってくる。

 

 

【感想】

 イランの社会を低い位置から見せてくれる映画だった。投獄され拷問された人々が復讐心をたぎらせるが、相手が本当に復讐すべき相手なのか迷い始めていく。衝動や直感で行動してしまい、記憶や理性で判断しようとするが、結論は出ず右往左往を繰り返す。簡単なことが思わぬ方向に転がり、追い詰められるほどに人間の滑稽さが露になる。そしてイランの現実を教えてくれる面もあった。突然投獄される日常も怖いが、チップのように賄賂を求められる社会の面倒臭さを目の当たりにした気がした。イランの日常に旅した気分になれる。

【タイトル】『グランド・イリュージョン ダイヤモンド・ミッション

【評価】☆(☆5つが最高)

【監督】ルーベン・フライシャー

【主演】ジェシー・アイゼンバーグ

 

 

【あらすじ】

 伝説的なイリュージョニスト集団“フォー・ホースメン”が久々に姿を現し、悪辣な金融業者に鉄槌を下したが、その仕掛けにはまだ裏があった。

 

 

【感想】

 なぜか観ていて不快感が募ってくる映画だった。原因は主人公たちが強すぎたこと。ヒーローものではしばしば起こり得るが、ワンサイドゲームほど興醒めの展開はない。圧倒的な力を持つ正義の味方が、マヌケな悪党を叩きに叩く。その姿は集団リンチのようでもあり、正邪はスイッチ一つで切り替わるようにも見えてくる。更にメインキャラクターが集うシーンは成功者たちの同窓会のようで、お互いを称え合うシーンは見ていて辛いものがあった。主人公に勝たせなければという思いが、暴走を生んだのかも。義賊には敗者の美学が不可欠。

【タイトル】『ラプソディ・ラプソディ』

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】利重剛

【主演】

 

 

【あらすじ】

 少し天然で決して怒らない幹夫は、戸籍謄本を取得した際に自分に妻がいることを知った。周囲は警察に届け出るよう促すが、幹夫は見知らぬ妻を探し始める。

 

 

【感想】

 高橋一生と横浜で遊んでいるような映画。高橋一生のキャラクターを利用して、いい人の権化のよう主人公を登場させる。そして身勝手で怒りっぽい戸籍上の妻と関わることで、主人公の人生を揺さぶっていく。きっといい人であり続ける極端な方針は、社会や自然のなかでは異常値となってしまう。心も体が疲弊する。ふんわりとした雰囲気で物語は進み、後半に転換点を迎える。バランスを取りながら生きることは、至難の業に見えてくる。

【タイトル】『サンキュー、チャック』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】マイク・フラナガン

【主演】トム・ヒドルストン

 

 

【あらすじ】

 世界各地で大災害が起こり、人類滅亡の危機が迫っていた。そんな中、町の至る所でチャックに感謝する広告が溢れ出す。

 

 

【感想】

 序盤で人類の滅亡を予感させるエピソードが出てくるものの、終末感の漂う殺伐とした内容ではなかった。宇宙を取り扱った壮大なミステリーで、人生の儚さや有難味を滲ませる。さすがスティーブン・キング原作といった軽やかさ。人生の謎解きをストーリーの中で自然に見せている。そしてダンスシーンが神々しく輝く。悲劇が慈愛に満ちた話しに変わっていった。

【タイトル】『プラダを着た悪魔2』

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】デビッド・フランケル

【主演】メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ

 

 

【あらすじ】

 報道記者のアンディはかつて所属していたファッション雑誌で再び働くことになったが、それは鬼のような編集長ミランダの下で働くことを意味していた。

 

 

【感想】

 20年ぶりの続編。かつてのウェルター級のボクサーが、ヘビー級で登場してくるような趣き。力強く腕をブルンブルンと振り回し、派手な見せ場を用意していた。繊細さやシャープさは控えめなものの、大きくて華やかの花を咲かせていた。大時代的な映画で、観客が観たいものを見せていたと思う。ストーリー付のファッションショーは心をくすぐる。夢や幻は大きい方が楽しい。