時代が変わる瞬間のベルリンが舞台、『アトミック・ブロンド』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『アトミック・ブロンド

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】デヴィッド・リーチ

【主演】シャーリーズ・セロン

【製作年】2017年

 

 

【あらすじ】

 1989年ベルリン、政治情勢が混沌とする中、スパイの名前が記されたリストが奪われる。そしてイギリスの秘密情報部員のローレンは、リストの奪還を命じられ単身ベルリンへと向かうが、そこでは各国のスパイ同士の駆け引きが繰り広げられていた。

 

 

【感想】

 改めて「ジョン・ウィック」のインパクトの大きさを感じさせられた。系統は似ていて、真面目一本のアクション映画ではなく、遊び心がふんだんに散りばめられている。大きな違いは、女優のシャーリーズ・セロンが主演を務めていること。女性を主人公にしたアクション映画は、スピード感に欠けてしまう恐れもあるが、この映画では女性ならではのアクション映画に仕立てられていた。

 

 

 確かに「ジョン・ウィック」と比べると、アクションシーンでのキレは劣っていたと思う。それでもシャーリーズ・セロンは相当な頑張りを見せ、迫力十分の格闘シーンを演じ切っていた。貫録も十分で、彼女の煌びやかさを前面に押し出しながら、疲労感や悲哀を滲ませる。シーンごとに服を変え、セクシー系からパンクまでと、ほとんど斬新なファッション・ショーを見ているかのよう。ファッションに興味がある人には、かなり見応えがあるはず。

 

 

 ストーリーは、機密情報の奪還戦というありふれたものだった。途中、緩む時間帯もあり、物語としての推進力は強くはなかった。しかし1980年代のベルリンの再現には、力が込められていた。80年代の音楽が鳴り響き、グレーがかったスタイリッシュな映像がクールな世界を作り上げていた。センスあふれる映像に、気持ちよく酔っていられた。80年代の洒落た回顧展を眺めているようだった。