煩わしくも有り難い、『家族はつらいよ2』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『家族はつらいよ2

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】山田洋次

【主演】橋爪功

【製作年】2017年

 

 

【あらすじ】

 周造は、家族の反対にも関わらず車の運転をやめようとはしなかった。平田家は、家族会議を開いて周造に免許の返納を迫ろうとするが、予想もしない事態が湧き起こる。

 

 

【感想】

 名人芸と言ってもよさそうな内容。きっと映画を撮り続けることで、たどり着ける境地があるのだろう。「寅さん」シリーズの流れをしっかりと汲み、日本の中高年世代がどんな喜劇を求めているのか知り尽している感じ。ウディ・アレンが常識を茶化しながら融通無碍な映画を作るのに対して、山田洋次はきちんとした型を保ち、力を込めつつも力みを見せない映画を作っている。安心して観ていられる映画。

 

 

 今回も、いつも通りの笑いのテンポを提供していて、どこか落語に通じているようでもあった。オチが分かっていても、そのオチが堪らなく心地よかったりする。高齢者ドライバーや孤独死、介護問題といった少し重めの社会問題を取り扱いながら、飄々と喜劇のリズムで話しを進めていく。悲惨な現実を、優しく包む技術に長けているのかも。ただ予想外の笑いや驚きはないので、必要以上に斬新さを求めてはいけないのかも。