「七人の侍」はやはり凄い、『たたら侍』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『たたら侍

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】錦織良成

【主演】青柳翔

【製作年】2017年

 

 

【あらすじ】

 戦国時代、伍介は奥出雲の山中でたたら製鉄の技術を継ぐ家の長男として生まれた。家業を学びつつも、伍介には侍になりたいという強い思いがあり、剣術の修行も続けていた。そして遂に伍介は、村を出ていく決心をする。

 

 

【感想】

 海外の映画祭で評判が良かった作品。ひょっとしたらひょっとするのかもと、という期待を持って観に行った。映画は、たたら製鉄を題材にしている。たたら製鉄は、日本で独自の発展を遂げてきたという技術だが、明治以降は廃れていったとか。監督は、この製法に魅せられたのか、鉄を作るシーンには相当の意気込みが込められているようだった。職人の気迫が滲んでいた。

 

 

 ストーリーは、たたら製鉄を家業とする家の跡取りが、侍になるために村を後にするというもの。どこか「七人の侍」を連想させるシーンもあったりした。外国人にとっては、それなりの東洋趣味を感じさせてくれる一本になっていたのだと思う。ただ日本人からすると、ストーリーにやや物足りなさがあった。いけないと思いつつも、つい「七人の侍」と比べてしまう。

 

 

 娯楽性を重視するなら、主人公の青年を宮本武蔵のような剣の達人にしてもよかったのかも。殺陣のシーンもいくつかあったが、斬り合いに流れが生まれず、キメのポーズで勝負している感じ。自己陶酔も悪くはないが、動きが加わると格好の良さが崩れてしまう。付け焼刃ではどうしようもないのかも。結末にイマイチ爽快感がなかったが、出雲の自然はきれいに映し出されていて、ちょっと行ってみたくなった。