音楽の力が溢れ出す、『SING』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『SING

【評価】☆☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ガース・ジェニングス

【声】マシュー・マコノヒー

【製作年】2016年

 

 

【あらすじ】

 倒産寸前の劇場を経営するムーンは、起死回生のアイデアを思い付く。それは劇場で歌のオーディションを開催するというものだった。早速チラシを作り街中にばらまくと、参加希望者たちが次々と劇場にやって来た。

 

 

【感想】

 「ズートピア」と同じように、動物たちが人間に模した社会で生き生きと活躍するアニメ映画。主人公はコアラで、倒産寸前のオンボロ劇場の支配人という役柄。ストーリーは、劇場で歌のオーディションを開催し、それぞれに悩みを抱えている動物たちが集まり、歌によって自らを解放させていくというもの。シンプルな物語だけれども、想像以上の盛り上がりを作り出していた。

 

 

 動物ではなく人間でやってみる手もあったと思うが、ここまで無邪気に楽しめたかどうかは分からない。人間の姿を登場させると、生々しさが強く出てしまう気もする。カジノで現金ではなく、チップを使うのに似ているのかも。人種や年齢、性別といった生臭さを抑えて、軽やかさや洒落た雰囲気で大胆に勝負できる面はありそう。特に人種云々が問題になりやすいアメリカでは、面倒が少なくて済みそう。

 

 

 そしてこの映画の魅力は、多彩な音楽が次々と披露され、ラストに向かって突き進む力強さだった。幅広いジャンルの音楽が登場しながらも、映画には一体感があった。観客が何を望んでいるのか、知り尽しているようでもある。人間の心理についての研究が進んでいる、アメリカのエンターテイメント界が少し怖くなった。とはいえ、製作サイドの意図通りに、気持ちよく乗せられ心地いい時間を過ごしてしまった。