ロスは夢の捨て場なのかも、『ラ・ラ・ランド』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ラ・ラ・ランド

【評価】☆☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】デイミアン・チャゼル

【主演】ライアン・コズリング、エマ・ストーン

【製作年】2016年

 

 

【あらすじ】

 女優を目指すミアはオーディションに落ち続け、気持ちが滅入っていた。そんなある日、たまたま入ったレストランでピアニストのセバスチャンを見掛ける。気まずい出会いをした二人だったが、その後パーティーで再開し言葉を交わすようになる。

 

 

【感想】

 アカデミー賞云々と騒がれていたミュージカル映画。予告編から、夢を追う男女が運命的な出会いをし、お互いに夢を実現させていくサクセス・ストーリーをイメージしていた。ミュージカル特有の陽気さと、予定調和に突き進む有無を言わせぬ勢いがありそうだった。ディズニーのアニメを実写化した感じで、気持ちを大いに盛り上げてくれる映画だと思っていた。

 

 

 オープニングのシーンは、1カットの長回しで映像で勝負していた。途中からハラハラしながら見入っていたが、よく撮り切れたと思う。もちろん緻密さもあったが、行けるところまで行ってやる、といった人間味の溢れるシーンになっていた。洗練されたデジタル性よりも手作り感が満載で、スクリーンに向けて頑張れと念じてしまった。

 

 

 更に意外だったのは、映画に付いて回る儚さだった。楽し気で明るく元気なミュージカル・シーンがタップリと盛り込まれていたが、端々から切なさがほんのりと漏れ出てくる。夢を追う人に付いて回る、哀切だったのかもしれない。無邪気に飛び回るだけのミュージカル映画ではなかった。ラストのシーンでも、現実を生きていくには歌って踊るしかないのかと思えてきた。明るさ一辺倒に傾斜していない。