スパイ映画はしぶとい、『クリミナル 2人の記憶を持つ男』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『クリミナル 2人の記憶を持つ男

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】アリエル・ブロメン

【主演】ケヴィン・コスナー

【製作年】2016年

 

 

【あらすじ】

 CIAのロンドン支局に所属するエージェントのビリーは、重要な任務遂行中に狂信的な無政府主義者たちによって殺害される。ビリーの持っていた情報をどうしても手に入れる必要があったため、CIAはビリーの記憶を服役中の凶悪犯ジェリコの脳に移植する。

 

 

【感想】

 映画のジャンルはスパイ・アクション。競争率の高いジャンルで、有名俳優が出演していても面白いという保証はない。過当競争のせいか、こぢんまりとした作品が多いような気もする。大作映画を別にすれば、アッと驚くことも少なく、無難な範囲で終始することがほとんど。それなりの見所があれば十分といった感じ。この映画には、なかなかの俳優の名前が並んでいた。無難な路線を走るのかと思っていたが、意外にも緊張感を持続させ勢いとキレがあった。

 

 

 この映画に登場するアイテムは、CIAや凄腕のハッカー、凶悪な無政府主義者によるミサイル攻撃など。よくあるタイプのものが揃っていたが、退屈することはなかった。新しいアイデアとしては、優秀なエージェントの記憶を囚人に移植するというもの。一歩間違えれば、荒唐無稽のB級映画に成り下がってしまいそうだが、ギリギリの線でリアリティーを維持していた。

 

 

 そしてケヴィン・コスナー演じる犯罪者のワルぶりが堂に入っていて、物語に奥深さを与えていた。主人公が善と悪の間を揺れ動く。そして逃走劇の面白さも加わっていた。どこにどう弾むのか分からない物語は、スパイ・アクションの面白さを加速させる。科学的には有りそうもない設定を、平然と取り入れる図太さが勝利を手繰り寄せていた。クリーンヒットにも似た気持ちよさのある映画だった。