【タイトル】『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』
【評価】☆☆☆(☆5つが最高)
【監督】ジャン=マルク・ヴァレ
【主演】ジェイク・ギレンホール
【製作年】2015年
【あらすじ】
金融マンのデイヴィスは、交通事故で妻を失う。当初は何事もなかったように振る舞い、仕事や日常生活を送っていたが、次第に精神の調子を崩していく。デイヴィスは自動販売機の苦情係に長々と手紙を書き、冷蔵庫やパソコンを分解し始める。
【感想】
今っぽいタイトルで、若い読者をターゲットにしたマンガや小説に使われそうなフレーズ。潤いがあり柔らかく、優しい気分に浸れそうな雰囲気がある。邦題に惹かれてこの映画を観に行った人も多いのかも。ちなみに英語のタイトルは“DEMOLITION”、調べてみると解体という意味だった。映画の内容を、ストレートに表していると言えそう。ただそのまま直訳していたら、観客の入りはどうだったか。
ストーリーは、妻を亡くした主人公の再生物語。突如壊れた日常に対応できず、心が病んでいく。症状はひたすらモノを解体し、それ以外のことには興味が持てなくなる。人間は、新しい環境になかなか馴染めないように出来ているのかも。慣れ親しんだリズムを打ち捨てることは苦痛や戸惑いが伴い、1人の力だけではどうすることも出来なかったりする。
ヒューマンドラマとしてきれいに盛り上がっていくのかと予想していたが、主人公の右往左往ぶりが激しく、明快な娯楽映画という訳ではなかった。ただこうした悪戦苦闘ぶりは、よりリアルな響きを持っていたようにも思える。心が痛んでいる人には、グッと迫ってくる内容だったのかもしれない。それとナオミ・ワッツが大事な役で登場してくる。彼女の映画を選ぶ嗅覚の良さに、またしても驚かされた。大作から小品まで、本当にフットワークが軽い。