嬉しい正論、『幸せなひとりぼっち』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『幸せなひとりぼっち

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ハンネス・ホルム

【主演】ロルフ・ラスゴード

【製作年】2015年

 

 

【あらすじ】

 最愛の妻に先立たれ、長年勤めていた職場からもクビを言い渡されたオーヴェは、清々しい気持ちで自殺をしようとしていた。だが騒々しい隣人たちが、これから自殺しようとするタイミングで邪魔をしてくる。最初は腹を立てていたオーヴェだったが、次第に隣人たちのペースに巻き込まれていく。

 

 

【感想】

 なかなか観る機会の少ないスウェーデンの映画で、コメディーをベースにしたヒューマンドラマになっていた。主人公は、頑固で口うるさい初老の男。些細なことに文句を付け、周囲とトラブルを起こす。日本でも、電車や店の中でちょくちょく見掛けるタイプのオジサン。気に入らないことがあると、即座に怒りを爆発させてしまう。周りの迷惑などお構いなしで、いわゆる傍若無人の困った人。

 

 

 ガチガチな主人公を、柔らかく変えていくのが隣人住民。世間の常識に囚われない冒険者は、到る所にいるのかもしれない。人は見かけで判断されるが、当然のように見た目では分からない部分もあるようで、おそらくは分からない部分が大部分なのだろう。映画では、主人公の過去が少しずつ明らかになっていく。頑迷な老人にも若い頃があり、真剣な恋に落ちたこともあり、幼い頃には親と親密な関係を持っていた。

 

 

 頑固ジジィが昔から頑固ジジィであったわけではなさそう。軽くノックしてみると、思いも寄らない過去がでてくるのかも。映画は笑いの部分と、しっとりとした部分のバランスがとてもよかった。観ていて不快になることがない。偶然の使い方も洒落ていて、次々と笑いを生み出していた。そしてサーブとボルボを巡る男の戦いは見応え十分。最後に主人公が怒って立ち去ったシーンは、笑いながらも納得してしまった。