なかなか健闘、『デスノート Light up the New world』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『デスノート Light up the New world

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】佐藤信介

【主演】東出昌大

【製作年】2016年

 

 

【あらすじ】

 デスノートによる大量殺戮事件から10年、死神によって再び地上にデスノートがばらまかれた。その数は6冊。世界中で不可解な死が増加し、警視庁内のデスノート専属班に所属する三島は警戒を強めていた。そして渋谷でデスノートを使ったと思われる通り魔的な犯行が伝えられる。

 

 

【感想】

 「デスノート」のアイデアは秀逸で、人間の正義の限界を垣間見させてくる。映画も大ヒットし、松山ケンイチの出世作にもなった。これを受けての続編は、相当にハードルが高い。軽いエピソードシリーズではなく、堂々と前作を受けている。スティーヴ・ジョブズの後を継いでアップルを率いるようなもので、あちらこちらから不満や不安の声が聞こえてきそう。有名企業を引き継ぐ二代目の心境は、こんな感じなのかもしれない。

 

 

 ただ実際に観てみると、思っていたほどマズくはなかった。難易度の高いストーリーの核は、デスノートの数を増やすことで対応していた。デスノートが6冊あることで、物語の展開力は増しそうだが、下手をすれば話しがバラバラになるリスクも増える。映画は、ギリギリの一線を維持して、デスノート争奪戦の緊張感を作り上げていた。広がりを抑えて、あくまでも邦画らしくコンパクトに。

 

 

 そして流れを作っていたのは、今が旬な若手俳優たち。主演の東出昌大に、池松壮亮や菅田将暉が絡んでくる。特に池松壮亮が、軽やかに動き回り、運動量豊富なサッカーのMFのように見えた。舞台で演じているような強弱や陰影を繰り出し、映画に喝を入れていた。駄々をこねさせたら、今一番うまい俳優だと思う。続編を匂わせる終わり方だったが、果たして続けられるかどうか。改めて「スター・ウォーズ」の偉大さを感じたりもした。