【タイトル】『PK』
【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)
【監督】ラージクマール・ヒラニ
【主演】アーミル・カーン
【製作年】2014年
【あらすじ】
ベルギーで失恋し、インドに戻ってきたジャグーはテレビ局で働き、番組で取り上げる取材対象を探していた。ある日、駅で神様を必死に探す不思議な男を目撃する。面白いと感じたジャグーは、PKと呼ばれる男から神様を探し始めた経緯を聞かされるが、それはとても信じられるような話しではなかった。
【感想】
久し振りのインド映画。製作本数では、アメリカに引けを取らないインドの映画界。そしてこの数の馬力が、頂点の高さを生んだりする。今回と同じ監督と主演俳優で作られた「きっと、うまくいく」は、ビックリするほど面白い映画だった。インド映画の特徴である、長い上映時間もまるで気にならなかった。この映画も上映時間は2時間半ほど。インド映画としては短いが、もしかすると日本向けにカットか施されたのかも。ただ映画の出来映えは、なかなかのものだった。
ストーリーは、PKと呼ばれる不思議な男が、インドの宗教界に異議を唱えるというもの。日本以上に宗教の存在感がありそうなインドで、宗教問題を扱うのは相当な覚悟と勇気が必要だったはず。ただし映画は、コメディーのテイスト。今の宗教の問題点や不可解さを、笑いを用いて突っついていく。デリケートな線の上を、軽やかに駆け抜けるストーリーは、プロフェッショナルな技だった。宗教を搦手から攻めている感じ。
もちろんインドの映画なので、ダンスシーンもキッチリと挿入されていた。主人公とヒロインが、チャンスと見るやいきなり歌って踊り出す。恋や笑い、涙を誘うシーンがあり、また憎たらしい悪役やたくましい庶民が登場して、大団円へと向かっていく。対決の場は、論争のシーン。持論の展開のさせ方は巧みで、簡単に説得されそうになる。しかし議論はインド人が得意とするところなのか、反論も冴えわたり、きれいに幕を閉じる。インド人と論争するのは、マッチョな兵士に素手で立ち向かうようなものなのかも。気を付けないと、簡単に打ちのめされそう。