笑いもメッセージも真っ直ぐに、『金メダル男』 | 平平凡凡映画評

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映画を観ての感想です。

【タイトル】『金メダル男

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督・主演】内村光良

【製作年】2016年

 

 

【あらすじ】

 1964年に生まれた秋田泉一は、小学校の運動会で一等賞を獲得。一等賞をとることのまばゆい快感を味わってしまう。以来、秋田泉一はあらゆる分野で一等賞を目指し突き進んでいくが、中学校で初めての挫折を味わってからスランプに陥ってしまう。

 

 

【感想】

 内村光良が才能を見せるコメディー。人を傷付けることのない、柔らかく真っ直ぐな喜劇がテンポよく継続していく。毒の要素が少なく辛さも控えめなので、物足りなさを感じる人もいるのかもしれないが、内村光良の世界が好きな人には、気持ちよく安心して酔える。この安定感はさすが。継続することの凄さを見た気がする。野球に例えれば、毎年3割20本20盗塁を達成している感じ。トリプルスリーまではいかないが、一流なのは間違いない。

 

 

 出演者も豪華で、ビックリさせられる。旬の役者やビックネームがチョイ役で、次々と顔を出す。きっと監督の人望が厚いからなのだろう。優しく見えるのは、外見だけではないのかも。ストーリーは、成功と失敗を繰り返す男の半生。七転び八起きや人間万事塞翁が馬、といった言葉で置き換えたくなるが、映画にはじんわりと滲む優しい悲哀が漂っていた。

 

 

 それから、この映画で初めて体験したのがライブビューイングの舞台挨拶。舞台挨拶には何度か行ったことがあるが、スクリーンに映し出される映像としての舞台挨拶は初めて。さすがにライブ感は薄れるものの、落ち着いて眺めていられる。出演者のサービス精神もあり、なかなか楽しむことができた。最近の役者さんは、バラエティー番組の興盛もあってか、受け答えが上手く観客をしっかり意識している。以前見た舞台挨拶では、面倒臭そうに話す役者が結構いたのに。

 

 

 ただ今回、アレレ?と思わされたのが最後の写真撮影。主人公の若い時代を演じていた知念侑李が、撮影の始まる直前に舞台袖へと消えてしまった。一応主役なのにどうしたんだろう、と思って見ていると、撮影終了後に知念侑李が戻ってきて、何事もなかったように再び写真撮影が始まった。この二度手間はかなり不自然。芸能界には疎いが、さすがに出てくる答えはジャニーズ事務所。ビジネスの真顔は、やはり醜い。