役者なら誰にでもなれる、『何者』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『何者

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】三浦大輔

【主演】佐藤健

【製作年】2016年

 

 

【あらすじ】

 就職活動中の大学生、拓人と光太郎はアパートの1つ上の階に、同じく就職活動中の同級生が住んでいることを知る。やがてその部屋に大学生5人が集まり、就職情報を交換するようになるが、内定を手にする者とそうでない者が出てくる。

 

 

【感想】

 就職活動を題材にした映画。大学生の就職活動のリアルを、ちょっと覗けたような気がした。そして思わず企業に気に入られるタイプの学生を、あれこれ考えてしまった。一番多く内定をもらえそうなのは、三国志の中で言えば趙雲なのかなと思う。元気があり組織にも忠実。サラリーマンとしては申し分なさそう。もちろん玄徳のような、真面目で実直なタイプも企業に好かれそう。また呂布や張飛のイケイケタイプも内定を手にしそう。

 

 

 逆に嫌われそうなのは孔明気取り。自分の才能を見せようと気負いすぎると、相手に引かれる。更に、会社の中にも孔明気取りは多く、きっと孔明は孔明を嫌う。この映画にも、様々なタイプの学生が登場し、就職活動での悪戦苦闘を見せていた。どんな場であれ、自分が拒絶されるのはやはり辛いもの。映画には、学生の悲哀がジンワリと滲んでいた。達観して、たかが就職などとは割り切れない。

 

 

 そしてネットに流される、妬みや蔑みといった感情も描かれていた。人の幸せを素直に喜べず、その気持ちをもちろん本人に言えるはずもなく、負の思いはネットの中へ。ネットが一つの意思を持ったら、人間一般よりも、嫌な奴の方向に傾いていそう。出演者の芝居が上手かったので、様々な感情を無理なく受け取ることができた。所々で入る演劇も、そこそこ許容できた。演じる者の腕が確かなら、あらゆるものがリアルに見えてくる。