【タイトル】『ＳＣＯＯＰ！』
【評価】☆☆☆☆（☆５つが最高）
【監督】大根仁
【主演】福山雅治
【製作年】２０１６年
【あらすじ】
芸能ネタ専門のカメラマン都城は、新人女性記者の行川とコンビを組まされ、毎夜スクープ写真を狙い張り込みを続けていた。当初、素人丸出しの行川の仕事ぶりに苛立ちを募らせていたが、次第に彼女の真面目さや正義感に心を打たれていく。二人はスクープを次々とモノにし、雑誌の売り上げは順調に伸びていった。
【感想】
福山雅治が、汚れ役のパパラッチに扮した映画。自堕落で低俗な中年男を演じているが、なかなかそこまで落ちきれていない。リアルさを追求するならば、永瀬正敏をキャスティングすべきだったのかも。福山雅治の演じる主人公からは、暗さや腐った男の匂いはあまり漂ってこない。永瀬正敏が演じていたなら、堂々と悪の側に片足を突っ込み、冷たさと哀愁の漂うハードボイルドな映画になっていたかもしれない。永瀬版も観てみたい気がした。
しかしこの映画は、福山雅治を真ん中に置くことで勝負している。核の部分が緩く甘いので、緊張感には欠けていたと思うが、反面、エンターテイメント映画としての柔らかさは保っていた。ハードなシーンがちょくちょく顔を出すが、幅広い年齢層の観客に、何とか受け入れてもらえそうな雰囲気を醸していた。全国で大々的に公開するには、福山雅治の色合いが必要だったのかも。
更に、脇を固める俳優陣の力量がなかなか。中心がふんわりとしているぶん、相手役の二階堂ふみや吉田羊、そしてキーマンになるリリー・フランキーの演技がクッキリと映えていた。男っぽく力強く進むストーリーも、ある程度の甘さを含んで、観やすくなっていたと思う。リアルを追及しすぎないのも、選択のひとつ。ただ観客の入りはイマイチのようで、もしかすると福山雅治の神通力が衰えつつあるのかもしれない。