冒険はしたくないのかな、『秘密 THE TOP SECRET』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『秘密 THE TOP SECRET

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】大友啓史

【主演】生田斗真

【製作年】2016年

 


【あらすじ】

 死者の脳をスキャンし、生前の記憶を映像化する技術が確立した。警視庁の科学捜査班を率いる蒔はこの技術を導入し、殺害された被害者の脳をスキャンすることで、犯人を割り出そうとしていた。やがて蒔は、自分の人生に大きな爪痕を残した連続殺人犯と対峙することになる。

 


【感想】

 強烈なインパクトを残した殺人鬼のキャラクターとして、「羊たちの沈黙」のレクター博士がいる。高い知性と知能を持ちながら、悪に対する概念が通常の人間とは全く異なり、何のためらいもなく人を殺していく。悪役がこのくらい際立つと、映画が気持ちよく回転していくのかもしれない。同じように、「ダークナイト」のジョーカーも多くの支持を集めるキャラクター。

 


 映画の製作者にとって、レクター博士やジョーカーは、きっといいお手本なのだろう。憧れもあるせいなのか、日本の映画でもサイコパス的なキャラクターが登場すると、このふたりを連想させる場合が多かったりする。この映画でも、どこかレクター博士っぽさが滲んでいたりした。悪役が通り一遍だと、映画の盛り上がりや進行もモノ真似めいて見えてくる。秘密めいた雰囲気を作ろうとしていたが、驚きに乏しい映画だった。

 


 死者の脳をスキャンするという話しは面白そうだったし、記憶の取り扱い方にも可能性があるように見えた。しかし実際はかなり腰が引けて、無難の線を進んでいるようだった。出演者の演技も舞台調で、強と弱の繰り返し。観ていてつい気恥ずかしくなることもあった。どこに向かうのか分からないスリルや斬新さを、もっと感じてみたかった。