これもまた「日本のいちばん長い日」なのかも、『シン・ゴジラ』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『シン・ゴジラ

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】庵野秀明

【主演】長谷川博己

【製作年】2016年

 


【あらすじ】

 東京湾に突如謎の巨大生物が出現する。ゴジラと名付けられた巨大生物は東京に上陸し、放射能を撒き散らしながら街を破壊していった。内閣官房副長官を務める国会議員の矢口は、対策に追われ各省庁間を奔走する。

 


【感想】

 予告編からは面白さが伝わってこなかった。スーツを着込んだ集団が、堅苦しく話してばかり。ゴジラの活躍すべき破壊シーンにも迫力を感じられなかったし。日本人の生真面目さが、娯楽映画を殺しているようにも見えた。深刻さを強調するだけの映画は、観ているだけで疲れてくる。疲れる映画は、できれば避けて通りたい。

 


 それでも「シン・ゴジラ」の評判は悪くなかった。そうなると気になって仕方ない。面白い映画を見逃すのは、何だかものすごく損した気分になる。そして実際に観てみると、期待値が低かったせいなのか、完全に映画に呑まれてしまった。確かに、この映画はリアルだった。ゴジラがリアル、という意味ではなく、対応に追われる議員や官僚の姿がリアルだった。

 


 映画では、とにかく会議が多い。ゴジラの動きに合わせて会議、会議、会議。更に登場人物も多く、誰が誰なのか分かり難い。そしてサッカー日本代表に負けず劣らずの、決定力不足を露呈させる。何度となく日本ぽい、という言葉が出そうになった。ゴジラへの攻撃もなかなか決まらない。そこにアメリカ軍やら国連やらが絡んでくるから大変。後半は、日本大丈夫かの思いで一杯になった。

 


 見所であるゴジラの造形も、かなりの頑張りを見せていたと思う。二段階で変化させるゴジラの姿もよかったし、ゴジラの攻撃する街の選択も渋くて好きった。また鉄道ファンにもグッとくるシーンがあると思う。ある日突然ゴジラが現れる、ということはまず無いだろうが、思いも寄らない事態が発生するのはまず間違いない。危機に瀕してどうするか、ゴジラはあれこれ教えてくれているようだった。