夢か悪夢か人工知能、『エクス・マキナ』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『エクス・マキナ

【評価】☆☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】アレックス・ガーランド

【主演】ドーナル・グリーソン

【製作年】2015年


【あらすじ】

 世界的なIT企業でプログラマとして働くケイレブは、巨万の富と天才的な頭脳を持つ社長のネイサンと1週間共に過ごす機会を与えられる。そしてケイレブは社長の自宅で、人工知能を搭載した女性型ロボットと対面し衝撃を受ける。ケイレブはネイサンから、ロボットが本当に意思を持っているかどうかテストをして欲しいと求められ同意する。


【感想】

 人工知能を扱った映画は数多くある。知性の面で勝負しようとするSF映画では、人工知能の出現率が高いような気がする。そして世間的にも、人工知能のブームが起こったりする。まさに今、大手企業はこぞって人工知能を取り扱い、人工知能を扱わずしてIT企業は名乗れない状況。人間を凌駕する分野が確実に増えている。


 映画界でも、人工知能の登場する作品が増えてきている。そんな印象がある。大作のSFアクションだけでなく、小ぢんまりとした映画でもちょくちょく扱われる。しかもセンスのいい作品が多いよう気がする。最近までは若手の登竜門と言えばホラー映画だったが、ひょっとすると人工知能が若手の監督や脚本家にとって、成功への近道かも。


 この映画は映像が研ぎ澄まされ、閉塞感と透明感を同時に持っていた。クリアなのに息苦しい。登場人物は純粋で心優しい主人公の青年、そして裏の顔を持っていそうな天才起業家、さらに美しいロボットたち。閉ざされた空間を舞台に、会話劇で状況を少しずつ変えていく。人工知能は敵か味方か、ロボットと人間は恋に落ちるのか、答えの見つけにくい問いに正面から挑んでいた。とても若々しい映画。