もうちょっと頑張れ絶望感、『ザ・ブリザード』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ザ・ブリザード

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】クレイグ・ギレスピー

【主演】クリス・パイン

【製作年】2016年


【あらすじ】

 1952年2月18日、大型のブリザードの影響で海上は大荒れだった。そしてボストン沖を航行していたタンカーの船体が、真っ二つに折れる遭難事故が発生する。救助活動は困難だと思われたが、沿岸警備隊のバーニーは小型救難艇で遭難現場へと果敢に向かう。


【感想】

 映画が始まる直前に気が付いた、ディズニー作品だ。幸せオーラ満載で王道を突き進むタイプのディズニー映画は受け入れられるが、この映画は実話をベースにした海難もの。パニックや凄惨な事故シーンをイメージしていたので、ディズニー映画との食い合わせにちょっと不安を感じた。極限状態の人間とディズニーの世界は、なかなか上手く結びつかない。


 そして悪い予感は当たった。オープニングからしばらくの間、恋愛エピソードがダラダラと続く。これは恋愛映画なのかと不安になるくらいの滑り出し。ジッと我慢しながら海のシーンを待っていたが、パニック映画としてはかなりの薄味。30分の内容を、伸ばしに伸ばして2時間の映画にしているようだった。


 問題は、悪い人が出てこないこと。皆が皆いい人ばかり。極悪非道な人間ばかり登場する映画は、重く沈滞して動きが鈍かったりするが、この映画は善人たちが軽く浮き上がっていた。ウッカリすると天国が出てきそうな雰囲気。極寒の中、半袖で頑張る船員は勇ましいが、さすがに現実感がなく嘘臭かった。希望が、弱々しい絶望を圧倒していた。