知性だけでは物足りない、『クーパー家の晩餐会』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『クーパー家の晩餐会

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ジェシー・ネルソン

【主演】ダイアン・キートン、ジョン・グッドマン

【製作年】2015年


【あらすじ】

 クリスマスに一家が集うクーパー家。この日も母親のシャーロットは、最高に幸せなクリスマスにしようとパーティーの準備に余念がなかった。しかしシャーロットと夫のサムは別居することを決め、そのことは二人だけの秘密にしていた。


【感想】

 世界のお国柄を知るのに、ホームドラマは結構役立つのかも。ホームドラマは家族の面々が何を恐れ、何に笑い、何に怒るのかを端的に示してくれる。この映画もアメリカの今を薄っすらと象徴していた。映画の中で明かされる家族の悩みや問題が、現実の世界としっかりと繋がっている。ホームドラマは、軽いホームステイ気分も味あわせてくれる。


 この映画は、軽快で知的なコメディーといった感じで進んでいく。毎年クリスマスに集まるクーパー家、それぞれに秘密を抱えてパーティーにやってくる。主人公はクーパー夫妻だが、群像劇のスタイルをとっている。洒落た会話やユーモア、騒動に大団円といったクリスマス映画に相応しい流れ。クリスマスの季節に観ていたら、違った感想を持ったかもしれない。


 落ち着いてクリスマスを眺めてしまうと、面倒くさそうにも見えてくる。クリスマスを利用しても、そう簡単に名作は作れないようだ。「ラブ・アクチュアリー」は遠かった。リベラル感は伝わってくるものの、それだけで終わっていた。大きなうねりや、凄味といったものは生まれず。幸せを明るい色だけで表現するのは、結構難しいのかもしれない。