成功も結構キツイ、『スティーブ・ジョブズ』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『スティーブ・ジョブズ

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】ダニー・ボイル

【主演】マイケル・ファスベンダー

【製作年】2015年


【あらすじ】

 1984年、新製品の発表会直前、スティーブ・ジョブズは技術スタッフにコンピュータに「ハロー」と言わせるよう命じる。そして慌てふためき無理だと言うスタッフを罵り、諦めるよう説得するマーケティング担当の言葉を無視した。そこにジョブズの娘を連れた元恋人が現れる。


【感想】

 イメージしていた映画とは違っていた。何となくデヴィッド・フィンチャーが監督した「ソーシャル・ネットワーク」を思い描いていたが、スクリーンに映し出された内容は舞台劇に近かった。ストーリーで観客の心を掴むよりも、激しい言葉の応酬で観客を圧倒しようとしていた。


 華やかなプレゼンや、試行錯誤の製品開発のシーンはほとんど出てこない。映画で取り上げられる場面は、重要なプレゼン直前の舞台裏。ストーリー重視の映画なら、カットしてしそうなシーンばかり。ステージ上での取り繕ったスティーブ・ジョブズではなく、生々しい本音を語るスティーブ・ジョブズにスポットを当てているようだった。


 映画ではスタッフや家族を相手に、スティーブ・ジョブズがまくし立てる。もちろん相手も黙ってはいない。怒りを含んだ言葉のやり合いが延々と続く。膨大な量の言葉を発し続ける役者の力量は凄いと思ったが、字幕を追うのに必死だった。あまりに早くて、なかなか意味が付いてこなかった。ちょっと置いてけぼりを食らった気分。娯楽重視の作品ではなかった。