住めば都というけれど、『ディーパンの闘い』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ディーパンの闘い

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ジャック・オーディアール

【主演】アントニーターサン・ジェスターサン

【製作年】2015年


【あらすじ】

 スリランカの内戦で反政府組織の兵士として戦ったディーパンは、難民としてフランスへ渡ろうとする。そのためディーパンは見知らぬ女と少女の3人で家族を演じ、難民審査を潜り抜けようとした。


【感想】

 映画は衝撃的な事件や、社会情勢の影響を大きく受けたりする。これからしばらく増えてきそうなのが、難民を取り上げた映画。これまでも多くの難民映画が撮られてきたが、問題の切実さが増して切る昨今、様々な視点から難民が取り上げられそう。きっと今現在も、おそらくヨーロッパのどこかで、難民をテーマにした映画が撮られているに違いない。


 この映画の主人公は、スリランカからフランスにやって来た元兵士の男。スリランカからの難民という設定が、ちょっと意表を突いていた。フランスにやって来た難民と言えば、アフリカ出身を思い浮かべてしまう。ストーリーは、偽装家族の人間関係と、主人公に降りかかるフランスの社会問題が絡み合う。


 主演俳優の演技を見ていると、上手い俳優は世界中どこにでもいるのが分かる。真剣な眼差しにグイグイ引き付けられた。ディテールやちょっとしたエピソードがリアルで、映画に切実さを与えていた。そして終盤、意外な方向に転調するのが驚き。どうせなら、終盤のトーンで最初から観てみたかった。社会性と娯楽性を共存させるのは、結構大変そうではある。