これも活力なのか、『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ドリーム ホーム 99%を操る男たち

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ラミン・バーラニ

【主演】アンドリュー・ガーフィールド

【製作年】2014年


【あらすじ】

 大工のデニスは母親と息子の3人で暮らしていたが、不景気で仕事が見つからず家のローンの返済が滞る。そして裁判所から差し押さえの通知が届き、不動産業者と警官たちによって家から追い出される事態に陥る。デニスと母親は必死に状況を説明するが、差し押さえは淡々と進められていく。


【感想】

 あれほど耳にしていた“リーマンショック”や“サブプライムローン”といった言葉が、昔の流行語のように思えてくるから恐い。新たな問題が次から次へと起こるので、仕方がないと言えば仕方がない。ただ悲劇が連綿と続いているのは間違いないようで、問題を少し掘っていけば、生きることの難しさが浮かび上がってきそう。


 この映画は、サブプライムローンで返済が滞った人々の姿を映し出している。非情な銀行に貪欲な不動産業者、無慈悲な裁判所と為す術なく路上に放り出される普通の人々が登場してくる。主人公は、長年住み慣れた家を追い出された青年。家族を養い、家を取り戻すため自分の家を奪った不動産業者の下で働く決心をする。どこか悪魔に魂を売った感じ。


 正しい観方は、行き過ぎた資本主義に疑問を持ったり、銀行や不動産業者の悪辣さに怒りを覚えたりすることなのだろう。そういう視点で観ていても、十分心を動かされるエピソードや物語があった。家を奪われる人たちの姿は、見ていて辛くなる。しかもやたらとリアル。入れ込んで観ていると、本当に生きるのが辛くなる。


 ただ改めて、アメリカの凄味を感じられる映画でもあった。アクセル全開で走り続ける人間が勝利者となり、ブレーキに足を掛ける人間は後れをとる。そしてアメリカには、アクセル全開でも走れる道が至る所にあるのかも。何となく、インディ500と重ねたくなる。突っ走るアメリカ人が、世界のマネーの流れを生み出している気もする。