一線を越えた無謀な思い付き、『ザ・ウォーク』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ザ・ウォーク

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ロバート・ゼメキス

【主演】ジョセフ・ゴードン=レヴィット

【製作年】2015年


【あらすじ】

 子供の頃、サーカスの綱渡りに魅了されたフィリップは独学で綱渡りを学び、その後パリで大道芸人として暮らしていた。そしてある日、ニューヨークに世界で最も高いビルが建設されることを知り、フィリップ、ワールド・トレード・センターのツインタワーにロープを張り、そこを綱渡りするアイデアに取り憑かれてしまう。


【感想】

 1974年8月6日、ワールド・トレード・センターの間にロープを張り、綱渡りをした主人公の話し。もちろん実話で、綱渡りをしたのはフランス人の大道芸人フィリップ・プティ。嘘でしょと言いたくなる出来事。ちなみにワールド・トレード・センターは110階建てで、高さは400メートル以上あったとのこと。


 映画は、高さを見せることに力を注いでいた。3Dを駆使し、自然と足がすくむシーンがちょくちょく出てくる。目の錯覚なのは分かっているが、つい体が反応してしまう。そして綱渡りを実行するまでの過程を、スリリングに描いてもいた。綱渡りだけなら15分程度で終わってしまいそうだが、核になる部分への肉付けの仕方が上手かった。


 ストーリーは、スポ根ドラマのような展開を用意している。フランスで力を溜める前半、そしてニューヨークに渡ってからは軽いタッチの犯罪映画のよう。綱渡りは当然違法行為。建設中のビルに忍び込み、あれこれと用意を整える。しかし不測の事態が次々と起こる。実力だけでは物事は成功しないのかもしれない。