もののけは家に憑つのか人に憑くのか、『ドリームハウス』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ドリームハウス

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ジム・シェリダン

【主演】ダニエル・クレイグ

【製作年】2011年


【あらすじ】

 編集者の仕事をしていたウィルは会社を辞め、作家として新たな一歩を踏み出そうとしていた。ニューヨーク郊外の家で、妻と娘たちと穏やかに暮らしながら執筆を続ける。幸せな時間を過ごしていたウィルだったが、家の中や周辺で不可解なことが起こるようになる。やがてウィルは、一家の暮らすこの家に凄惨な過去があることを知る。


【感想】

 電車の中や喫茶店でウトウトすることがある。気持ちのいいまどろみではあるが、目が覚めた瞬間にしばしば戸惑いを感じることがある。電車の進行方向がつかめなくなったり、喫茶店にいるはずなのに自宅にいるような感覚に襲われたりする。どうやら見ていた夢が、現実の方に少し漏れ出していたよう。うたた寝は夢と現実の境界線が曖昧になる。夢と現実の主従関係が逆転すると、認知症などと診断されるのかも。ちょっと怖かったりする。


 きっとそれなりに長生きをすれば、人生は夢幻のごとくなり、などと言えるようになるのだろう。この映画は、現実の中に幻やら夢やらが入り込んでくる。ジャンルでいえば、サスペンス・ホラーということになるのかな。一応、軸足はサスペンスの側に置いてあった。そして家族のドラマも、大きなピースとして組み込まれている。


 ただサスペンス映画としてはごくごく普通の内容で、激しく打ちのめされるような経験は出来なかった。見所は、おそらく大物俳優3人が顔を揃えていたこと。この映画で交際を始めたというダニエル・クレイグとレイチェル・ワイズ。そしてナオミ・ワッツが鍵を握る人物として登場する。3人の顔を拝んで有難く思うのが、この映画の正しい観方のような気もする。