疑問を飲み込んで体感、『ノウイング』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ノウイング

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】アレックス・プロヤス

【主演】ニコラス・ケイジ

【製作年】2009年


【あらすじ】

 大学教授ジョンの息子が、50年前に埋められたタイムカプセルから取り出された手紙を持って帰ってきた。手紙には、脈絡のない数字が延々と並び薄気味の悪さがあった。しかしジョンは何気なく数字を眺めるうちに、数字の指し示すある事柄に気付いてしまう。手紙は、不吉なメッセージを含んでいた。そしてジョンは、手紙の予想を覆そうと行動を起こす。


【感想】

 今回はパニック映画、今はディザスター・ムービーと呼ばれるようになってきた。大規模な自然災害や、大惨事を物語の中心に据え、人間の儚さやたくましさを描くケースが多い。見所となるのが、大災害や大惨事のCG映像。1990年以降、映像技術の進歩によってディザスター・ムービーの迫力は増しに増している。


 有名どころのディザスター・ムービーとしては「ディープ・インパクト」や「デイ・アフター・トゥモロー」、「アルマゲドン」などがある。どれも地球規模のスケールで、映像にも見応えがあった。そして最後には人類の希望が勝利する、という流れにも似通ったものがあった。


 この「ノウイング」も、スケールの大きさや最先端の映像技術の凄さを見せ付けていた。ただ従来のディザスター・ムービーとやや異なるのが、人類に対する姿勢。この映画には、どこか投げやりな感覚がある。地球などもうどうなっても構わない、という諦めの姿勢が所々で見られたりした。


 人類の所業をつぶさに見ていけば、こういう思いも浮かんでくるのかもしれない。この映画で示される希望は、何とも投げやりでその場凌ぎといった感じがしなくもない。こういうラストが嫌いな人もいるかもしれないが、とりあえずの救いは示されているので良しとすべきなのだろう。


 ただ、映像の迫力には文句なしの凄さがあった。飛行機の墜落や、地下鉄の衝突事故などといったものが出てくるが、映像の完成度が高くリアリティーに溢れ、生々しい臨場感もあった。事故が起きておしまいというわけではなく、その後の粘り腰が迫力とホラー映画のような恐さを生んでいた。一見の価値はあると思う。