Mon 240401 いろんな苦い4月1日/和歌山の大盛況/居酒屋の閉店が早過ぎる 4511回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 240401 いろんな苦い4月1日/和歌山の大盛況/居酒屋の閉店が早過ぎる 4511回

 ワタクシは、4月1日が大キライである。コドモの頃から大キライで、その大キライ度は年齢を重ねるとともに加速度的に強烈になった。

 

 入学式・始業式・入社式、どれもこれもみんな大キライで、4月1日のピッカピカの1年生を眺めると、社会人だろうが大学生だろうが高校生だろうが、「そんなに張り切りなさんな」「少し大人しくしていたまえ」と、徹底的に脱力系のアドバイスしかできない困ったオジサマになった。

 

 だって、大キライなんだから仕方がない。特に諸君、制服やら新品のスーツやらのニオイが嫌い。新品のランドセル、新品の革靴のニオイが嫌い。意識高い系の若者の甲高い声がキライなのだ。

(2月9日、和歌山で約200人の大盛況。東京大学の長文読解、100行近い小説文を教材とした 1)

 

 おお、「意識高い系」、懐かしい響じゃないか。意識高い系が評価されていたのって、いつだった?  15年前か、20年前か。就職活動でも、新人研修の日々でも、あの頃は意識高い系の若者が「これでもか?」と跋扈し続けた。

 

 ワタクシが意識高い系に悩まされたのは、なぜか入社してしまった(株)電通の新人研修の1ヶ月。4月まるまる1ヶ月、来る日も来る日も意識高い系の青年諸君にウンザリ&ゲンナリして過ごした。

 

 何しろこちらは意識低い系というか、無意識系というか、意識失った系というか、夢も希望もなくして就職した会社だったから、「ちょっと黙っててくんろ」「ちょっと放っといてくんろ」と、意識高い系の喧騒にウンザリ、ふと吐き気さえもよおして、新人研修期間中にとっくに転職を考え始めていた。

(大阪なんば、老舗「ぼてぢゅう」のお好み焼き、デラックスモダン。オイシューございました 1)

 

 いや、あの時考えていたのは、正確には転職ではない。仕事放棄というか、可能な限り怠けて暮らす一生というか、「ずっとひきこもっちゃお♡」というか、まあそういう類いの人生。学生時代の輝かしい経歴やら、TOEICの得点やら海外経験、華々しいコネクションやら、そんなの競い合うのがただひたすらにバカバカしかった。

 

 と言う訳で、入社式直後の若き今井君は「この会社でずっと働きつづけるつもりは全くありません」というアピールを始めた。学生時代から使い続けていたオヤジくさい茶色のショルダーバッグに文庫本を3冊、内田百閒に安部公房に澁澤龍彦、いやはやマコトに恥ずかしい日々だった。

 

 人にはいろんな4月1日があるものである。以下にその「いろんな4月1日」の写真を掲載した記事を貼っておくから、25歳の今井君、18歳や17歳の今井君、16歳と15歳の今井君、8歳や3歳の今井君が、いったいどんな顔と態度で4月1日を迎えたか、ぜひ一覧を願いたい。

 

Thu 090402 昔の駿台・武道館での入学式 神保町古書店街の発見 「1日1冊岩波新書」

 

Sun 090405 春のアメ横風景 プラチナ万年筆の思い出 パイロット万年筆の思い出

 

Tue 090407 秋田・土崎駅の駅ソバ 日帰りスキー旅行と「独立の高揚」 男鹿線小旅行

 (大阪なんば、老舗「ぼてぢゅう」のお好み焼き、デラックスモダン。オイシューございました 2)

 

 一覧して間違いなく気がついていただけると信じるのだが、どれもこれもマコトにイヤそうなのである。どうしてこんなにイヤそうなのか、つくづく考えてみると、要するに今井君は「くだらん儀式より、とっとと本番に行きたい」タイプ。ピッカピカの1年生と煽られてるだけなんて、要するに時間の無駄じゃないか。

 

 あれから幾星霜、「三つ子の魂」というか何と言うか、今も今井君はとにかく前置きなしに働きたくてたまらない。講演会なら、とっとと司会の前説なしに舞台に登場したいし、公開授業ならサッサと本格的な授業を始めて、時間を無駄にしたくない。

 

 そして諸君、仕事がスカッと終わったら、そのままスカッと祝勝会に向かい、好きなだけ食べて、好きなだけ飲んで、スカッとベッドに潜り込みたい。日本の社会ではなかなかそこまでスカッとさせてくれないから、それがまた欲求不満につながる。

(大阪なんば、老舗「ぼてぢゅう」のお好み焼き、デラックスモダン。オイシューございました 3)

 

 しかも最近は、その「スカッと祝勝会」「スカッと懇親会」の流れがうまくいかない。「さあ店に入ろう」と張り切った時点で、何とも面倒臭く滞る。「ラストオーダー、22時でございます」「あああ、もう閉店時間でございます」と、マコトに冷酷な言葉が返ってくる。

 

 昨日もちょっと触れておいたが、大阪・梅田でも難波でも、今や「22時ラストオーダー」「23時完全閉店」が常識なのだ。夜10時を過ぎて飲食店に闖入するのが困難を極める。

  

 ワタクシは授業に100%のパワーを使い切るタイプ。延長はマレだから、90分が過ぎると充電が完全に切れていて、充電しないとマトモに歩くことさえ難しい。ところが諸君、その状態でワタクシの充電器である居酒屋さんが「ああ、10時過ぎたら充電はお断りです」と冷酷にバツを出す。

(2月9日、和歌山で約200人の大盛況。東京大学の長文読解、100行近い小説文を教材とした 2)

 

 2月9日、ワタクシは和歌山で公開授業を行った。出席者、約200名。我々の和歌山は、成績優秀な生徒諸君がギュッと集結している名門校舎であって、校舎の前には「東大・京大・医学部に強い」と明記したノボリが十数本、紀州路の心地よい風に勢いよくひらめいている。

 

 だから、この日使用した教材は東京大学の長文読解問題。80行を超え、100行に近い小説文である。わずか90分の中に、ツカミやら爆笑やらもたっぷり含有させ、100行全文の和訳までカンペキにやって、設問にも一切の疑問の余地のない解説を行えば、今井ほどの超ベテランでも全身汗だく、心も身体もヘトヘトだ。

 

 もちろん和歌山に宿泊してもいいのだが、金沢や京都での仕事が続くスケジュールだったので、2月9日は大阪・梅田のウェスティンホテルに宿泊。和歌山21時発の特急「くろしお」で大阪にトンボがえりした。

(大阪なんば、これまた老舗「山三」。お店の前で並んでいるうちに、たいへんな常連さんとの会話が弾んだ)

 

 大阪駅に着いたのは、22時。諸君、22時と言えばまだ「宵の口」だ。コロナ前の大都会なら、東京・大阪・神戸・京都・名古屋・札幌・博多、どこだって22時は宵の口、「さあこれから夜は本番」の時間帯だった。遥かなむかし、この時間帯のTBSラジオで「夜はこれから」なんてのもあった。

 

 ところが諸君、夜はこれからも何も、さっきも書いた通り22時の梅田では、もう入れる店は存在しない。あっちにトライしてもダメ、こっちにトライしてもダメ、「ああ、もう閉店です」と渋面で断られ、店主が出てきて両腕で胸の前に大きく「バツ」のポーズ。店頭で深く落胆して思わずカバンを取り落としそうになる。

 

 諸君、ワタクシの鞄はなかなかの高級鞄であって、値段はちょっとここには書けないほどのシロモノだ(もちろん冗談でございます)♡「思わず取り落とす」なんてことになって傷でもついたらたいへんだから、最近のワタクシはカバンを持たずに手ぶらで仕事に向かう。そのぐらい「もう閉店です」という店主のバツ印のショックは大きいのだ。

(大阪梅田「鶏っく」にて。23時近いお店に、意地でも闖入した。たいへんオイシューございました 1)

 

 まあそれでも今井君は執念深いから、意地でも居酒屋を見つけ出す。大阪の表玄関・梅田の街を隅から隅まで歩き尽くして、0時までやっている店、最悪でも23時まで客を受け入れている居酒屋を見つけ出す。

 

 しかしさすがにそういう店は、それなりにワケアリが多くて、マズかったり、うるさかったり、客層に問題があったり、エレベーター工事の悪臭がして店中が異様にシンナーくさかったり、そのシンナーの匂いで料理の味も酒の味もわからないほどだったり、なかなかロクな目に合わない。いい店を探すのは至難の業だ。

 

 飲食店業界の皆さま、居酒屋業界の皆さま、何とか考え直していただけないだろうか。コロナ前みたいに、午前3時までとか午前2時までとか、そんな無理なワガママを言うのではない。せめて0時まで、いやせめて23時まで、丸1日懸命に働いた中年男子たちのために、入店を許してくれないものだろうか。

(大阪梅田「鶏っく」にて。23時近いお店に、意地でも闖入した。たいへんオイシューございました 2)

 

 もちろんワタクシ、世の中を席巻する「働き方改革」の理念は熟知している。若者たちや新入社員の居酒屋離れも知っている。飲みに誘えば「めんどくせえ上司」と嫌われ、それでも誘えばパワハラ疑惑、そういう事情だって知っている。しかし渋面の店主が胸の前で大きくバツ印、それじゃボクらはいったいどこで晩飯を貪ればいいんだ?

 

 今日は4月1日、昔なら新入社員を連れた5年先輩や10年先輩の腕の見せ所、「お前たち、黙ってついてこい!!」の類いの去勢をはって、先輩社員諸君は生まれて初めてのリーダーシップを発揮して大いに得意になったものだ。

 

 ワタクシぐらいの年齢になると、22歳の新入社員の心の中ももちろん痛いほど分かるが、同じように30歳ちょいの若手社員の心の中や、40歳直前の中堅社員の心の中もよーっく理解している。、初めてのリーダーシップ、そこから生まれる大きな自信と責任感、そのへんが社会の素朴な骨格に育っていくんじゃないか。

(大阪梅田「鶏っく」にて。23時近いお店に、意地でも闖入した。たいへんオイシューございました 3)

 

 本日4月1日の午後、ワタクシは地下鉄半蔵門線を利用して隅田川の花見に出かけた。地下鉄車内で目撃したのは、明らかに新入社員の男子2名。おそらく「今日は入社式だけです」「式の後はすぐ帰宅して結構です」と言われた2人組だ。

 

 2人とも、終始無言でスマホでゲーム。下手をすれば、彼らが眺めていたのは、早くも転職サイトなんじゃないか。そのぐらいつまらなそうな2人の暗い表情に、完全に余計なお世話とは知りながら、ワタクシは日本の将来が不安になった。

 

 帰り道、今度は地下鉄銀座線の三越前駅から乗り込んできた3人組に、またまた不安が募った。彼らもまた新入社員、真新しいスーツ、ほぼ新品の通勤バッグを黒いスーツケースに載せて、これから近郊の新人研修所に向かう様子だった。

(大阪なんば「たよし」。いつでも入れる気楽さがたまらない。22時半ラストオーダーがちょっとキツい)

 

 しかし彼らの会話を聞いてみると、やっぱりすでに転職の方向性がハッキリしている。3人揃って、まもなく資格試験を受験するらしい。いちおう会社の了解もとっているらしいが、「このままずっと会社にいる気はない」類いの言葉が3人の口から頻繁に漏れる。まるでかつての自分を眺めるような苦々しい思いでいっぱいになった。

 

 せめて今の彼らに、5年目10年目の頼もしい先輩がついていて、「カンタンにやめるなよ」「面白い会社だぜ」「仕事は面白いぜ」「ホントに、すっげえ面白いぜ」「どのぐらい面白いか、たっぷり話してやろう」と、せめてチェーンの焼肉屋にでも誘ってあげれば、入社早々スマホでゲームに転職サイトとか、そんなことにはならないはずじゃないか。

 

1E(Cd) The Scholars baroque Ensemble:PURCELL/THE FAIRY QUEEN 1/2

2E(Cd) The Scholars baroque Ensemble:PURCELL/THE FAIRY QUEEN 2/2

3E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/EL CANCIONERO DE MONTECASSINO 1/2

4E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/EL CANCIONERO DE MONTECASSINO 2/2

5E(Cd) Rachel Podger:TELEMANN/12 FANTASIES FOR SOLO VIOLON

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