Mon 230522 「雲のじゅうたん」の町/「まいにち秋田弁」の夢/花満開の角館 4366回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 230522 「雲のじゅうたん」の町/「まいにち秋田弁」の夢/花満開の角館 4366回

 今年3月までのNHK朝ドラは「舞いあがれ!!」、ヒロインがあんまり前向きで優等生すぎて、むしろ途中からワタクシは、「ちむどんどん」が懐かしくなってきた。しっちゃかめっちゃかストーリーの中で、驚きの悪役ヒロインが大活躍した。

 

 もちろん、毎回毎回キチンと朝ドラのストーリー展開についていくほど律儀者ではないが、例えば1週間に1回、2週間に1回、風呂あがりとかベッドに入る前に15分、目の前にテレビがついていれば、仕方なく朝ドラを目で追うぐらいのことはする。

 

「は? 風呂あがりに朝ドラ?」とフシギそうな表情のアナタ、ワタクシのお風呂は朝なのだ。もう20年も「風呂は朝」と決めていて、朝6時半に起きて風呂を沸かし、8時まで1時間半近くゆっくり汗を流せば、ちょうど朝ドラの時間帯に出てくることになる。

 

 その際、もし仕事のない日なら、冷蔵庫から例のにっくきアルミ缶を取り出してプシュッ、そういう怠惰で不道徳なことも、繰り返すが「仕事のない日に限って」、もうずいぶん長く続く習慣になってしまっていた。昨日の「宣言」で、そこんところはキチンと封印することになった。

(角館、特に武家屋敷あたりの満開の枝垂れ桜は圧倒的だ 1)

 

 もう1つ、「は? ベッドに入る前に朝ドラ?」という驚きもあるだろう。その点について、説明ないし釈明をしておこう。

 

 何しろ長い全国行脚がつづき、「来る日も来る日もホテル暮らし」という日々も少なくない。当然のように生活はどんどん不規則になり、徹夜して午前6時に風呂、風呂から上がってプシュッ、「どれ、昼まで2時間ぐらいスヤーッとするか」なんてことにもなりやすい。

 

 こういうふうで、週1弱ぐらいの頻度でワタクシは、NHK朝ドラとの付き合いを続けてきた。「舞いあがれ」がパイロットを目指す女子の話であることを知った時、「おお、パイロット女子か。『雲のじゅうたん』以来、久しぶりじゃないか!!」と、大昔の名作朝ドラを思い出したのである。

(角館、特に武家屋敷あたりの満開の枝垂れ桜は圧倒的だ 2)

 

 その辺も、半年前にずいぶん話題になったのだろうが、『雲のじゅうたん』は、1976年作品。秋田県を主な舞台にした脚本で、朝ドラ全体が秋田弁一色になった。

 

 都会のスマートな人々にとっては、さぞかし聞きづらいドラマだったと思うが、この成功で自信をつけたNHKスタッフが「なーんだ、東北弁でもいけるじゃないか」と、その後の「おしん」大成功に向かって走り出したのかもしれない。

(角館、特に武家屋敷あたりの満開の枝垂れ桜は圧倒的だ 3)

 

 太平洋戦争前の日本の話であるから、パイロット女子という存在は極めてマレ。放送が始まると、視聴者は「モデルはどういう人なんだ」と、みんなでモデル探しを始めた。

 

 わずかな戦前の女性パイロットから、「もしかしてモデルはこの人なんじゃないか?」と、可能性は5人か6人にしぼられた。そんなことしてないで、脚本家に直接聞けばいいものを、1976年頃のおとなしい日本人は、なかなかそんな大胆な行動はとれなかった。

 

「今井小松」という京都の女性もいたが、もちろん今井君とは何の関係もなし。「馬淵てふ子」「及位ヤエ」の2人も、秋田県出身者ということで、「モデル、この人じゃないか?」の有力候補になった。

 

 当時のワタクシは、秋田で絶賛♡成長中。ドラマが秋田弁満載で、しかもそれが実際の秋田弁とは全く違う、異星人のようなズーズー弁であり、東京の俳優さんたちが不自然な秋田弁にヒーヒー苦闘していることが余りにも面白くて、チャンスさえあれば「朝ドラ独特の秋田弁」をいろいろ研究したものである。

(桧木内川堤の桜。こちらはまだ5分咲きから7分咲きというところだった 1)

 

 予備校講師になってからも、授業の中に突然「朝ドラ秋田弁」を混えることにしている。他にも「朝ドラ大阪弁」「朝ドラ広島弁」「朝ドラ北関東弁」などがあり、数多い今井の定番芸のうちの1つになっている。

 

 いつかどこかで、「中学数学・秋田弁バージョン」の授業とか、「古文&漢文・朝ドラ大阪弁バージョン」なんかをやってみたいと熱望しているのであるが、まだまだ東進でビシッと勤務を続けている身。どんなにアクセス数やらフォロワー数やらが稼げることが確実に思えても、そんなフザけた動画を作って、気軽にアップするわけにはいかないのである。

(桧木内川堤の桜。こちらはまだ5分咲きから7分咲きというところだった 2)

 

「雲のじゅうたん」は、主演の女性パイロット役・浅茅陽子、彼女のマコトに頑固な父親役・中条静夫、教官・高松英郎、他に志垣太郎・浅利香津代・北村和夫・鰐淵晴子・小松方正・山谷初男・戸浦六宏、昭和を代表する名優の名がズラリと並ぶ。

 

 まあちょっと、NHKアーカイブに掲載されている朝ドラフォトをご覧になっていただきたい。この素朴さは、いったい何なんだろう?

 

  きっとこれこそ、当時の脚本家や演出家が「昭和の秋田」について居抱いていたイメージなのだ。この素朴さで、セリフはほぼ秋田弁。「平均視聴率40%」の達成がどれほどの偉業か、21世紀の我々はよく噛みしめてみるべきだ。

 

「おそらくこの人こそモデル」とされたの「及位ヤエ」さんという女子が角館の出身だったので、いつの間にか「舞台は角館」と信じ込む人が多くなった。「及位」と書いて「のぞき」と読む。江戸時代に銀山として繁栄した院内峠の麓の村である。

(角館、特に武家屋敷あたりの満開の枝垂れ桜は圧倒的だ 4)

 

 というわけで4月10日、昨日の記事後半で書き、写真もたくさん掲載した通り、ワタクシは「雲のじゅうたんの町・角館」にお花見に出かけることにした。

 

 今でこそ「東北の小京都」としてずいぶん有名になった角館だが、「雲のじゅうたん」以前の角館は、武家屋敷も、小田野直武の洋画も、桧木内川堤の桜も、佐藤養助商店の稲庭うどんも、まだ「知る人ぞ知る」という程度だったような気がする。

 

「雲のじゅうたんブーム」が来て、an anとnon-noのアンノン族ブームになり、飛騨高山やら萩&津和野やら柳川の小京都に観光客が押し寄せて、気がつくと角館は小京都チームの主要メンバー、野球で言えば2番バッターぐらいに位置する、なくてはならない存在に成長した。

(武家屋敷そばに、ちょっとこぎれいな店が出来ていた。季節外れだが、きりたんぽ鍋をいただいていく)

 

 半世紀後の「あまちゃん」では、三陸海岸の「じぇじぇ」が有名になったが、1976年「雲のじゅうたん」では、主演の浅茅陽子が頻繁に口にする「へば」が大人気になった。

 

「それならば」「だったら」に該当する秋田方言であるが、やっぱり元パーフェクト地元民としては「へば」の表記に違和感がある。「へば」の「へ」は、「へ」と「せ」と「しぇ」が三つ巴になった複雑な発音であって、正確には「hschenba」となるか。

 

 微妙な場所に「n」の音が入るのが、シロートには難解なところ。冒頭の「h」音は、発音する人の気合いの入り方によって、はっきり聞こえる強音にも、ほぼ吐息だけの弱音にもなる。

 

「今井のまいにち秋田弁」、そういう動画講座でもやらせてもらえれば、純粋な秋田県人の「へば」、東京出身の俳優が無理して発音した「へば」、お隣の山形や青森の人の「へば」、さらには70年代と80年代と90年代の時代による「へば」の変遷、それだけで爆笑の15分番組ぐらいはあっという間に構成できる。

(角館駅前にて。東京に帰る最終電車の時間帯には、駅のコンビニも閉まってしまう)

 

 4月10日は、午前10時過ぎの新幹線に乗り込んで、角館到着13時ちょい。便利な時代になったものだ。

 

 東京駅で購入した3段重ねのカツ弁当を貪っていれば、あっという間に仙台、あっという間に盛岡、岩手山の写真を撮って興じているうちに険しい奥羽山脈を越え、「もう田沢湖?」と驚く間もなく角館に到着した。

 

 1976年当時なら、「角館は遠くにありて思うもの、そして悲しく歌うもの」であって、東京から秋田行き特急「つばさ」で大曲まで7時間、大曲で「田沢湖線」に乗り換えて1時間。朝10時に上野を出発しても、角館に到着する頃にはもうとっぷりと日も暮れていただろう。

(角館発、阿仁合ゆきの最終列車。いわゆる「マタギの里」まで行く)

 

 風の強い1日で、駅前ではもう満開の枝垂れ桜から、散りそめの花びらが3枚4枚5枚、もったいないぐらいに気前よくハラハラ散っていた。

 

 武家屋敷まで、徒歩で15分ほど。秋田犬の武家丸君を写真に収め、八分咲きから満開、今年もまた圧倒的な枝垂れ桜の数々に感激。桧木内川に出て、美しいスイセンの群落に目を細め、あまりにも元気なツクシ君たちに一驚を喫する。

 

 その辺の定番については、毎年毎年同じようにこのブログに記録してきた。重複しすぎるだろうから、今年はその辺の詳細を割愛する。いま来年の角館のお花見を計画中のオカタは、7年前の記事から以下の3本をオススメしておく。素晴らしい秋田犬の写真もござるよ。

 

Fri 160401 二日酔いのミックスモダン 南アルプス 角館の桜は1粒で2度おいしい

Sat 160402 ソメイヨシノが2km続く 見事な秋田犬と出会う 稲庭うどんと熱燗2本

Sun 160403 夜の角館を徘徊する 最終の新幹線にギリギリ オジサマ達がウルサイ

 

1E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE 2/2

2E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.3, No.5 & No.8 

3E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.9

4E(Cd) Ashkenazy(p) Müller & Berlin:SCRIABIN SYMPHONIES 1/3

5E(Cd) Ashkenazy(p) Müller & Berlin:SCRIABIN SYMPHONIES 2/3

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