Mon 220502 京都仁和寺にUFO出現か/カレーうどんに熱中/御室桜を見にいく 4204回
こういうふうで4月中旬、ワタクシの関西の長旅はマコトに「前途多難」の様相で始まった。高遠の桜やお蕎麦はまずまず期待通りだったが、吉野の桜には2年連続して思い切り裏切られ、足も腰も臀部の筋肉もみんなヒコヒコ、気ままな前進さえママならぬ状況で京都に帰還した。
京都での宿泊は、すでにお馴染みの「宝ヶ池プリンスホテル」。その静寂と知的な落ち着きがあまりにも気に入って、2022年に入ってからすでに合計20泊近くに達しているが、いやはや少し泊まりすぎなんじゃないか。ホテルサイドの人々の「おや、またですか?」という視線が、少し気になり始めた。
(京都・仁和寺、4月13日の「御室桜」。満開のテレビ報道だったが、とっくに桜吹雪も終わっていた 1)
実は、いま京都で異様にハマっているものがあって、それが京都駅地下街「味味香」のカレーうどんである。別に何か格別の美味だと言ふわけではない。しかし格別でも特別でもないごく普通の美味のほうが、ハマる人がハマったまま動けなくなる可能性は高いのである。
今井君は2018年春のパリでも、カレーうどんにハマって動けなくなった経験がある。せっかくパリに2週間も滞在していたのに、ディナーで貪ったものは、来る日も来る日もとにかくカレーうどん。今やパリの日本食は、ラーメンではなくカレーうどんのようだ。まあ諸君、興味があったら当時のブログでもググってみてくれたまえ。
(Sat 180414 連休明けの危機/リュクサンブール/ボンマルシェ(フランスすみずみ23))
(Fri 180413 中距離列車が苦手/サン・ジェルマン・アン・レー(フランスすみずみ22))
(Tue 180417 豪胆公・ぼん・突進公/ブルゴーニュの幸福(フランスすみずみ26))
(Fri 180420 ツッパリ中年/常温コーラ/6号線/カレーうどん(フランスすみずみ28))
(京都駅地下街「味味香」の普通のカレーうどん。超普通こそ王道だと信じる 1)
しかし今回の京都は、ホントにホントに何の変哲もないカレーうどん。SNSとかYahoo!ニュースとか、そんな華々しい場所で「美味のヒミツ」が話題になるような、特徴や個性たっぷりのクセのあるシロモノではない。
今から1年ぐらい前、ワタクシは京都のスタッフに「あの店のカレーうどん、どうですかね?」と恐る恐る尋ねてみた。何しろ関西の人は食べ物の味にうるさいから、京都や大阪で何か旨そうなものを発見したら、まずは関西スタッフに謙虚にオウカガイをたてるのが良策だ。
その時のスタッフの反応は「は?」「あの店ですか?」「良くもなければ悪くもナシ」「まあ普通じゃないですか?」というスゲないものだった。ケナされないのはいいとして、別にちっともホメられもしない。いやはや、最も冷淡な反応が待っていた。
今井君自身、自分の授業がケナされないのはまあ嬉しいが、同時に「ちっともホメられない」とか、授業アンケートで「普通」「どちらとも言えない」というのが、実は一番キライなのだ。
だって諸君、「板書」→ 普通、「授業のクオリティ」→ 普通、「わかりやすさ」→ 普通、そんなんじゃ、要するに「何のインパクトもなかった」「何の感動もなかった」「毒にもクスリにもならなかった」ということであって、それじゃ授業をした側も、受けた側も、ちっとも前進がなかったと言うことじゃないか。
(京都駅地下街「味味香」の普通のカレーうどん。超普通こそ王道だと信じる 1)
しかし話をカレーうどんに限るなら、むしろ「何の感動もナシ」「何の違和感もナシ」「要するに普通のカレーうどんだった」というのは、最高の賛辞、最高のホメコトバになるんじゃないか。
いちいちカレーうどんで「目いっぱい感動しました」とか「人生で最高の驚きでした」とか「目からウロコのカレーうどんでした」とか、グルメ番組独特の感動や感激に歪んだお顔で「おおおーーっ♡」「うんうんうんっ♡」「ああああーーっ♡」と、今にも悶絶しそうになるようなカレーうどんなんてのは、ゴメンこうむりたいじゃないか。
京都駅地下街「味味香」のカレーうどんは、おそらく人生で最高レベルの「普通」「当たり前」であって、駅そば・駅うどん・駅カレー・駅きしめん・駅ハンバーグ・駅ナポリタンの理想をギュッと凝縮すれば、まさにこういう味に収斂するんじゃないだろうか。
ワタクシが注文したのは、京都のカリカリお揚げがカレーの表面にたっぷり浮かんでいる最スタンダードのバージョン。カレーのトロミも最高レベルだが、青ネギの存在感は控えめで、あくまで主役はカレーとうどんとお揚げの3者である。
ついでに鶏の唐揚げも追加注文。店では「チューリップ」と呼んでいる骨つきの唐揚げが絶品で、思わずテイクアウトでプリンスホテルまで、5本でも6本でも持って帰りたくなる。
(京都駅地下街「味味香」の普通のカレーうどん。超普通こそ王道だと信じる 3)
ワタクシは予備校の授業の理想形を、このカレーうどん&唐揚げセットに求めるのである、いたずらに余計な感動や感激を画策してはならない。どこまでもスタンダード、どこまでも標準、どこまでも普通の普通のそのまた普通であって、しかしヤタラに分かりやすく、ノドゴシがいい。
押し付けがましい感動や感激は一切ナシ。「こんな感激は初めてです」と感涙する騒がしいお客やファンはいないが、みんなスタンダードに深く納得して、「参りました」と頭を下げて帰っていく。
いやはや、大ベテラン今井もまだまだ修業が足りないようである。今もなお、熱い感激の拍手だの、どうにも止められない大爆笑だの、「人生最大の感激です」というアンケートのコメントだの、そういうものを求めて教壇の上を右往左往している。
(4月13日、京都・仁和寺はすでに初夏を迎えていた 1)
以上のような反省を何度も何度も反芻しながら、4月大旅行3日目の4月13日、ワタクシは京都・仁和寺の御室桜を眺めに出かけた。
宝ヶ池プリンスホテルからは、地下鉄烏丸線で国際会館駅から烏丸御池まで南下、地下鉄東西線に乗り換えて太秦天神川まで西進、嵐山電鉄の路面電車に乗り換えて、帷子ノ辻でまたまた乗り換え、京都市内を目いっぱいジグザグに進むコースである。
いつもなら「タクシーで一気」をやるところだが、何しろ今はカレーうどん屋での反省の中で生きている。「徹底的に普通に生きよう」という自戒を込めて、1時間半近くかけてようやく仁和寺に到着した。
(4月13日、京都・仁和寺はすでに初夏を迎えていた 2)
朝のテレビでも新聞でも、「仁和寺の御室桜が満開です」「見頃です」と連呼していた。仁和寺の門前はオジーチャン&オバーチャン集団でごった返し、まさに「コロナ前に戻りました」という暑苦しい大混雑。初夏を思わせる日光が照りつけて、すぐにビアが欲しくてたまらない大汗をかいた。
門前にも「御室桜、満開」「散り初め」の看板。テレビもみんな「見頃です」とキャスター連がニッコリ笑顔を交わしていたわけだから、誰ひとり疑わずに入場料を払って仁和寺の庭園に入っていった。
(4月13日、京都・仁和寺はすでに初夏を迎えていた 3)
しかし驚くなかれ、御室桜の庭園は、すでに桜吹雪もほとんど終わった葉桜の状況。こんな葉桜で、どうしてテレビニュースは何の躊躇もなく「見頃です」をやっていたのか、見当もつかない。
と言うか、実際にその翌日のテレビニュースでも、各局横並びで「見頃です」を続けていた。ワタクシはテレビ各局の倫理観念を問いたい。「他局では見頃と口を揃えていますが、独自取材ではとっくに葉桜です」と実際を伝える正直ナマ放送が、せめて1局ぐらい存在してもいいんじゃないか。
(4月13日、京都・仁和寺にて。UFOかドローンに見えるのは、マコトにジューシーな巨大クマンバチである)
境内は、すでに次の季節の花々が満開になっていた。八重桜もすでに満開、ツツジの仲間もとっくに満開。大型のクマンバチが数十匹、観光客の上空数十センチのところを余裕たっぷりに旋回し、雰囲気はとっくに初夏、流れる汗は真夏に勝るとも劣らない1日だった。
なお、カレーうどんに狂乱中の今井君は、14時前の遅いランチにまたまたカレーうどんを選択。あえてタクシーで祇園・八坂神社前に取って返し、京都駅地下街「味味香」と同じ系列のカレーうどん屋を訪問した。
(同じ「味味香」の唐揚げカレーうどん、京都祇園店にて。ワタクシは京都駅地下街の店に集中しようと思う)
欧米人の若い家族やら、レンタル着物の騒々しい若者たちに混じって食した「唐揚げカレーうどん」であったが、いやはや、若干の期待はずれを禁じ得ない。
赤ん坊が泣き叫び、若いカップルが声高な会話を続ける騒然とした雰囲気の中、30分近い待ち時間の後でようやくいただいた唐揚げカレーうどん。しかしカレーの中にコロモが溶けて埋没し、昨夜の感激はどこへやら、「次のカレーうどんは意地でも京都駅地下街で」と、強く強くコブシを握りしめた午後の今井君なのであった。
1E(Cd) Preston:BACH/ORGELWERKE 3/6
2E(Cd) Preston:BACH/ORGELWERKE 4/6
3E(Cd) Jochum & Concertgebouw:BACH/JOHANNES-PASSION 1/2
4E(Cd) Jochum & Concertgebouw:BACH/JOHANNES-PASSION 2/2
7D(DMv) THE SISTERS BROTHERS
total m12 y367 dd27395