Fri 180420  ツッパリ中年/常温コーラ/6号線/カレーうどん(フランスすみずみ28) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 180420  ツッパリ中年/常温コーラ/6号線/カレーうどん(フランスすみずみ28)

 こまめな水分補給(略してコマスイ。スミマセン、昨日の続きです)を怠った場合、怠っている最中には「怠っているな」という寂しいオコタリ感に襲われることがない。何となく意気軒昂であって、むしろ「オレは今、怠っちゃってるぞ♨︎」という高揚感さえあるのである。

 

 そのへんは、日々の学習を怠っている高校生、予備校の授業をサボっている浪人生、営業成績の棒グラフなんか見ないことにしちゃってる営業マン、誰でもみんな共通であって、言わば「ちょいワル感」で一致しているのである。

 

 むかしからそういう男子に惹かれる女子というものは多くて、1980年代には「ツッパリ」と呼んだ。いわゆる「たのきん」であるが、知らない人にはさすがにググってもらうしかない。

 

 ツッパリ高校生はやがて当然のようにツッパリ浪人生となり、当然のごとく予備校の授業なんか全てサボって、喫茶店の片隅で粘って1日を過ごし、ツッパリ大学生からツッパリ営業マンになって今日に至る。

 

 この場合、そのツッパリぶりをそのまま外見にうつしこんで、「革ツナギ」とか「リーゼント」、「ゾーリ」「ビーサン」「サングラス」の類いのカッコをしてみせることもできる。

 

 しかし外見からそういうものを全て省略し、純粋にダラシない精神的ツッパリを制作してみたのが、何を隠そうこの今井君本人なのである。

 

 ま、授業はちゃんとやってます。しかしそれは授業をするのが異様に気に入ってしまったからであって、ツッパリの特性は、気に入ったことしかしないし、いったん気に入ってしまえば、他の誰より熱中してその一事にうちこむということなのである。

20037 地下鉄1

(パリ地下鉄、大好きな6号線。トロカデロ駅にて)

 

 そういう今井君が、パリの名所をことごとく徒歩で巡りながら、まさか「コマスイ」「コマスイ」と念仏のごとく唱えながら、ペットボトルの水なんかチビチビやるとでも思うかい?

 

 ルーブル付近の馴染みの店でビールを一杯グイッとやっただけで、30℃の炎天をものともせずに、延々4時間の行程を歩き尽くす。そういうイケナイ行動を貫いて、最後の急坂を一気に登りつめ、目の前にエッフェルの勇姿を見たツッパリ中年の感激を、読者諸君もぜひ感じてくれたまえ。

 

 しかしだからこそ、良い子の皆さんにはこういう行動は絶対にオススメできない。やっている中途では強烈な高揚があっても、ひとたび達成感を味わってしまった後には、強烈な後悔が待っている。

 

 夏の高揚の後には、すぐに紅葉の季節がやってきて、あっという間に木の葉はカサカサに干からびる。同じようにエッフェル直後のワタクシは、地下鉄6号線の中で「熱中症の危機」に陥っていた。カサカサ中年、マコトに悲しい光景であって、想像するに忍びない。

 

 トロカデロからエトワールまで、ホンの10分の乗車である。その10分が耐えられない。気温30℃。地下鉄の混雑率80%。それなのに誰も窓を開けていない。濁った池の鯉やフナみたいに、みんなでパクパク冷たい空気を求めて懸命なありさまだ。

20038 地下鉄2

(他の路線は、どんどん新しくなっていく)

 

「こりゃ、何が何でもコマスイ!!」。どんなツッパリ中年でも、意地でも水分がほしくなった。エトワールの駅に着くやいなや、目の前に発見した自動販売機で、なぜかコーラを選んだ。

 

 ただし諸君、日本の自動販売機とはワケが違う。いかにも「売りたくない」「オマエなんかに売ってやりたくない」と、マコトに不承不承な動きを展開する自動販売機から、1分近くかかってようやく転がり落ちてきたコーラは、何と「常温」「30℃」と言ふフザけたシロモノだったのである。

 

 いやはや、おかげでワタクシは、あんなに大好きだった地下鉄6号線がキライになりかけた。パリ滞在のべ80日に達する今井君だ。パリの複雑な地下鉄路線図が、もうほぼ頭に染み込んでいる。その中でも一番好きなのが6号線なのにである。

20039 りんご

(ホテルの部屋にリンゴが届けられた。秋田名物「曲げわっぱ」入りだ)

 

 一番よく使うのは、もちろん1号線である。東京の山手線と同じことだ。一番安定していて、一番頼りになる。しかし「どんなに安定して頼りになっても、どうしても好きになれない」という類いは、予備校の授業にもよくあるじゃないか。

 

 東京でワタクシが好きなのは、地下鉄の銀座線と丸ノ内線。駅と駅の間隔も好きだし、昭和の昔から染み込んだアブラの匂いも好き。1つ1つの駅に、いろんな思い出まで染み込んでいる。

 

 同じようにパリの場合、安定した1号線より、2号線と6号線が好きだ。1号線はホームドアまでついてしまい、英語とドイツ語のアナウンスの間に、日本語のアナウンスまで入っちゃう。いきなり日本語で「足元にお気をつけください」と来たんじゃ、興醒めじゃないか。

 

 それに対して2号線は、今もなお少し危険なパリの裏町のカホリに満ちている。必ず乗り込んでくるストリートミュージシャンの人々、しかもそのパフォーマンスの質はマコトに怪しげであって、オジサマやオバサマの悲しげな歌声に、20世紀の悲哀がこもる。

 

 6号線は、パリの真ん中を東西に走る幹線のはずなのに、ホームドアはおろか、ドアの自動化すらされていない。今もなおドアのハンドルをグルッとひねって開けなきゃならない。諸君、その一手間が、ツッパリ中年には嬉しいのである。

 

 ま、常温でも何でもかまわない。遅ればせながらのコマスイで喉と肉体を潤した後は、ホテルで一休み、落ち葉が若葉に蘇ったようなものである。

20040 カレーうどん1

(パリ「きんたろう」のカレーうどん。サッパリ系だ)

 

 ホテルの部屋はジュニアスイートに無料アップグレードされていてたいへん快適。ミネラルウォーターは毎日2本→ 0ユーロで補充してもらえるし、高級シャンパンもプレゼントしてもらえた。

 

 秋田名物 → 曲げわっぱに入ったリンゴ、今井君はマコトに嬉しくいただいた。冷蔵庫の中身もすべて0ユーロ。こんなに至れり尽くせりの対応をされて、ワタクシにはもう文句のつけようがない。

 

 さて夕食であるが、どういうわけか「パリのカレーうどん」に凝ってしまって、これまでの我が人生で胃袋に収めた全ての量を凌ぐほどのカレーうどんを、1週間で消費した気がする。

 

 コドモの頃の今井君のオウチでは、カレーライスの翌日の昼ごはん(小学校に入ってからはオヤツ)はカレーうどんが定番。冷蔵庫の中で1日経過して、コクがぐんと増したカレーは、カレーうどんに最適だった。

20041 カレーうどん2

(パリ「十兵」のエビ天デラックスカレーうどん。マコトに濃厚である)

 

 今回のパリで発見したうどんの店は3軒。「きんたろう」「十兵」「国虎屋」であるが、「東大うどん部」のHPによると、他にも「さぬき」という名店があるらしい。

 

「東大うどん部」ねえ。なかなか充実したサークル活動を展開しているようである。パリでもうどん、モスクワでもうどん。やっていることのナカミについて、世間の口はいろいろうるさいだろうけれども、部員諸君はめげることなく信念を貫いていただきたい。

 

「きんたろう」は薄めのスープに「おや、カレーも入ってますね」と言ふ感じ。「十兵」はコッテリとろみをつけたカレーに、大っきな海老天まで乗っけて、麺を引っ張りだすのに苦労するほどの濃厚系。どちらが好きかはその人次第として、ワタクシは後者にハマッてしまった。

20042 おむすび

(ナゾの乗り物「Transilien」。フォンテーヌブローにはこれに乗っていく)

 

 こうして4月21日、「セーヌすみずみ」の1日は無事に終了した。翌日22日も鉄道のストライキは続き、長距離の移動は控えなければならない。ワタクシは「Transilien」という中距離電車で、フォンテーヌブローを訪れる予定である。

 

 ただし諸君、この「Transilien」について、どこからどういうふうに乗ったらいいのか。ガイドブックには何の説明もない。ネット上にも「Transilienとは何ぞや?」という疑問が多数寄せられているようだ。どこから、どう乗るか、明日はその話をしようと思う。

 

1E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 4/18

2E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 5/18

3E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 6/18

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5E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 8/18

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