Wed 200429 政治向きの話が続く/写真のみ「グロフテン」(デンマーク紀行11)3929回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 200429 政治向きの話が続く/写真のみ「グロフテン」(デンマーク紀行11)3929回

 ゆく川の流れはたえず、しかも最近はものすごく速い。一昨日の事件は早くも陳腐化し、3日前に予言のつもりで言ったことも書いたことも、あっという間に実現してしまう。

 

 流れに浮かぶウタカタのようなイチ予備校講師が、自ら「古老」と称して政治向きのことを書きまくっても、4〜5日放置して読み返してみると、おやおや、とっくに世間一般のごく普通の論調になってしまっている。

 

 昨夕のニュース番組を眺めていたら「9月新学期」について、「パラダイムシフト」というマコトにカッケー用語で都知事が前向きの姿勢を示しておられた。政治がうまく主導してくれれば、冬のインターハイも冬の甲子園も6月入試も全て実現して、我々のお仕事もますます充実しそうである。

(4月29日午前4時、目覚めてしまったサトイモ。次第に山賊化が進み、これじゃもうNHK「ダーウィンが来る」の「ヒゲじい」だ)

 

 新聞各社も、9月新学期についてはどんどん書き立ててもらいたい。社説も「天声人語」も「余滴」も「編集手帳」も「春秋」も、9月新学期♡一辺倒でいいぐらいである。

 

 何しろ明治以来100年ぶりのパラダイム転換だから、民間テストの大失敗も、すっかり色あせた4技能試験もみんな記憶の彼方、「ここは一丁なかったことにして『新規まきなおし』といこうじゃないか」と、国民は教育問題を起点にコロナ後の国の姿を思い、それを突破口として長いトンネルを抜け出そうじゃないか。

 

 だからMorning Sun(仮名)の諸君、とにかく「天声人語書き写しノート」、意地になって売り続けるのをヤメたまえ。他人の思考を無批判に書き写すことを若者たちに勧めたんじゃ、たとえ「累計◯万部突破」と大広告を打ったって、ご自慢の「論理的思考力」なんか育てることはできない。

(消費税25%・幸福度トップのデンマーク。首都の中央駅はこんな感じだ 1)

 

 いやはやこの1ヶ月、新聞はどれもびっくりするほど薄くなりましたな。コロナ前は30ページも40ページもあったのに、今では20ページに満たない日も珍しくない。そんなに書くことがないんですかね。

 

 今井君なんか、書くことがありすぎて&ありすぎて、もともと長大だったブログが暴発せんばかりに長くなって、「さぞかし読者が困惑しているだろう」と、反省しきりの日々ですけれどもね。

 

 ま、要するに新聞は、広告が減っちゃったのである。コロナ前は健康食品に健康グッズにカラオケセット、ひたすら高齢者をターゲットの広告が紙面を埋め、あとは「Trapics」に「クラブツーリズム」、団体旅行の大広告がズラリと並ぶばかりだったのだ。

(コペンハーゲン中央駅の正面に大遊園地「ティボリ」がある。東京駅前にディズニーがあるみたいな話だが、その「ティボリ」はこんな感じだ)

 

 あんまり書くことがないせいか、こんなにコロナがたいへんな時に、我が愛読紙「Morning Sun」(仮名)は「安倍総理に指導力を感じますか?」などという恐るべき世論調査をやり、「7割が『感じない』と回答」と第1面で報じて溜飲を下げている。

 

 しかし諸君、そんな分かりきったことを、あえて世論調査などという形で報じる必要があるんだろうか。これって、「マンパワーの無駄遣い」じゃあーりませんか? それこそお得意の「他にもっとやることがたくさんあるんじゃないでしょうか?」のように思いますけど?

 

 安倍総理に指導力を感じないのは、テレビで例の給食マスク姿を一瞬でも拝見すれば簡単に分かること。日々のお仕事ですっかりお疲れの様子は明々白々だ。

 

 昨日の国会中継では、マスクの糸がほつれて風にそよぎ、それが気になってとても答弁の内容なんかに集中できなかった。こんな疲れた総理大臣をまたイジメまくるなんて、ただの意地悪だ。マスクさえ忘れて夢中でデートした女子アナに、いちいち分かりきったツッコミを入れるのと同じで、あんまりスマートとは思えない。

(2019年8月2日、コペンハーゲンでおそらく一番有名なレストラン「グロフテン」を訪れる。遊園地ティボリの中にあるので、遊園地入場料も払わなきゃいけない)

 

 前々回に書いた通り、日本の政治リーダーに指導力を求めるのは「ないものねだり」である。

「うちのクラスの成績が上がらないのは、担任教師が悪いからだ」

「うちの学校の評判が悪いのは、校長先生がダメだからだ」

 

 幼い頃なら、友達どうしそんな陰口をたたいて手を打ち「僕らは不幸だ」と頷きあっただろうが、オトナがそんなことを言えば、その幼稚さを失笑されるだけである。

 

 民主社会のリーダーは、目に見える派手な指導力なんか、発揮する必要はないのだ。指導力を発揮しすぎちゃうリーダーは、むしろ疑念をもって眺められるべきである。

 

 ブルータスもキケロもカトーも、そういう思いでカエサルを見ていた。指導者が目に見えて強い指導力を発揮するようなら、むしろそれを削ぎ落とそうとするのが正しいのであって、力のない無知蒙昧な群衆を自らの意の赴くままに導こうとした場合、我々は疑いを居抱いて彼ないし彼女の意図を追及しなければならないはずだ。

(グロフテンのテーブルで。最初トイレ間近のテーブルに案内されたので、無理を言って代えてもらった)

 

 しかし残念ながら、日本の教育ではなかなかそういうふうには考えさせてもらえない。クラスのまとまりが悪ければ「リーダー役の生徒がダメだから」「先生に指導力がないから」であり、むかしは部活の練習試合で大敗を喫するとキャプテンが呼ばれ、「1時間正座しろ!!」と怒鳴られた。

 

 その場合、必ず「他のクラスでは」「あっちの学校では」「向こうのチームでは」みたいな「では」「では」攻撃が始まり、みんなが「隣の芝生は緑なのに」「他の人たちの花は鮮やかな赤なのに」、「うちはリーダーがダメだから芝生が枯れた」「指導者が悪いから花の赤が煤けてる」と、不平不満を垂れ流す。

 

 そういう場合、「隣の芝生」「他人の花」に該当するものとして、1980年代前半までの先生方は「ソビエト連邦」と「中華人民共和国」を例に挙げた。今では信じられないだろうが、中学校の先生方にはそのタイプのオカタが多かった。

 

 中1の地理の授業では、中国の「人民公社」と、ソ連の「コルホーズ」「ソフホーズ」がどれほど素晴らしい仕組みであるか、教科書でも黒々&太々としたゴシック体で最重要事項として扱われた。パパ&ママは知らなくても、ジーチャンとバーチャンに尋ねてみたまえ。間違いなくビックリするほど盛り上がる。

(グロフテン店内風景。なんとなく寒々しい。人々の会話も弾んでいない)

 

 人民公社もコルホーズとソフホーズも、1980年代に姿を消した。大学の経済学部で金科玉条&神聖不可侵だったマルクス経済学も、90年代には知らんぷりを決め込んで、もう誰も責任をとらない。隣の芝生を激賞する人なんか、せいぜいそんなものである。

 

 21世紀も中盤に入ろうとする今、神聖不可侵の隣の芝生は、「北欧」と「国連」である。人民公社やコルホーズの激賞者は、年かさのオトナたちからはある色彩の名称で呼ばれ、彩度14の原色の旗を振ることをその使命としたが、「北欧では」タイプの出羽守には、まだ共通の呼称はないようだ。

 

 あこがれの北欧、スーパー福祉国家を旅していると、いやはや、物価があまりにも高いのである。デンマーク・スウェーデン・フィンランド、消費税が25%前後で統一され、デンマークの所得税は最高65%である。不用意にコーラなんか買うと、気がつけば350円とか400円とか、「なんかの間違いでは?」と目を皿にしてレシートを眺める羽目になる。

(グロフテンにて、とりあえずアマローネを1本注文してみる)

 

 しかし出羽守の面々は「それなのに幸福度は世界最上位です」と夢見るように目を閉じ、さっきまで消費税10%がコロナを上回る災禍であるように論じていたことは忘却の彼方である。

 

 コペンハーゲンの街は閑散として、北欧のヴェネツィアを自称するニューハウンの飲食店街も、店構えも料理もマコトに地味だ。どんぶりに食パンを2枚敷き、大量のマヨネーズをぶっかけ、その上にレタスを2枚か3枚と、冷たい小エビをばらまいて、それが自慢の豪華ディナーとして供されたりする。

 

 店員さんにも活気がなくて、客の会話ははずまない。「高いね」「あんまり美味しくないね」「つまんないね」で家族の会話はとぎれてしまい、市民の多くは「土曜も日曜もオウチで過ごしましょう」、ステイホームな自粛生活モドキの日々も、慣れてしまえば結構「幸福度」も上がっていくのかもしれない。

(グロフテンで一番の人気プレート「デンマーク♡てんこもり」。うーん、これでも食べきるのに苦労した)

 

「国連」も、まだ何とか神聖不可侵を保っているようである。ひと昔前、日本の意識高い系の文系学生なんかは「将来は国連の職員になりたい」などと生意気なことをウソぶいては、ウットリ夢見るような目を天空に向けたものだった。

 

 しかしこのごろ、高校生たちと雑談する機会があると感じるのだが、若者たちの国連人気はどうも余り芳しくない。「国連で仕事をするのが夢です」とコブシを固めるような怖いもの知らずの生徒とは、あまり出会わなくなった。

 

 それを「日本の高校生の内向き志向」などと捉える必要はない。海外への留学を志す生徒は、少なくともワタクシの周囲には数多く存在する。これは要するに国連の人気が、3月の日経平均株価よろしく、またはこの数ヶ月の安倍政権支持率よろしく、急落しているのだ。

 

 ま、これだけ機能不全を露呈すれば、敏感な若者はさすがに感じ取る。75年前に生まれたご老体は、シロート目にはもう油が切れてニッチもサッチも行かないようにしか見えない。

  (グロフテン、酢漬けニシン + 酢漬け玉ねぎ)

 

 ヒトの世代交代を25年と考えれば、子供が15歳の時、親は40歳、祖父母は65歳、曽祖父母が90歳、そのまた親である高祖父母は115歳である。4代前の「高祖父母(high grandfather/mother)」から先には、決まった名称がない。

 

 75年前、今の曽祖父は15歳から25歳の青少年だったわけだから、第2次世界大戦時には中学生からせいぜいで一兵卒。世界大戦の当事者は、当時40歳から50歳だった高祖父の世代ということになる。

 

「末代まで祟る」「マゴ子の代まで祟る」と言い、また「坊主を殺せば7代祟る」とも言って、恐ろしや「祟り」の世界でさえ「7代」までが限度。「坊主」を「猫」に変えても、やっぱり祟りは7代までというのが、むかしむかしの人の常識、7代が過ぎれば祟りもそこで打ち止めになる。

 

 国連というご老体は、そのうちすでに4代を過ぎている。古色蒼然という言葉がもうすっかり身について、それはニューヨークを旅する時に、例の国連本部ビルを仰ぎ見れば分かる。ちょっとやそっとの耐震補強じゃ、まだ危なっかしく見える。

 

 出来た時にはこの上なく理想的に設計されたように見えても、2世代ほど放置すれば多数の欠陥が露わになって、理想からは程遠いものになる。さらに3世代も4世代も放置が続けば、むしろ因襲にまみれた悪習の住処になりかねない。

(消費税25%・幸福度トップのデンマーク。首都の中央駅はこんな感じだ 2)

 

 設立の旗振り役だった戦勝国の皆さまも、元を正せばみんな「たたけばホコリの出る身体」。無条件に平和の旗手として認め、喝采の対象とすることなんかとてもできない。75年の長きにわたって安保理・常任理事国の座にしがみついてきた面々だって、たたけばホコリが出るわ出るわ、決して胸の張れる存在ではない。

 

 1945年当時、ある者は皮膚の色を理由に恥ずべき人種差別を継続し、ある者はアジア&アフリカの広大な植民地で苛烈な弾圧と圧政と収奪と搾取を続け、ある者は国内や周辺国で理不尽な弾圧と粛清を継続し、人類史上最悪の独裁と弾圧と隠蔽を主導した者もいたはずだ。核兵器の生産・所有まで含めれば、例外となる常任理事国は存在しない。

 

 その事実を見ると、ここでもまた歴史的なパラダイム転換を思わずにはいられない。4世代前の勝者と敗者を基本に、21世紀のモラルでは決して許されない人種差別と弾圧と収奪と粛清を、横並びで同時進行していた当時の戦勝国が支配しつづける国際秩序って、まあ簡単に言えば「どうなの?」「どうよ?」の対象にしかならないんじゃないか。

 

 ま、朝3時に目覚めてしまったサトイモどんは、ますます伸びる山賊のようなヒゲを撫でながら、考えても無益なこういうことを考えて、間もなく夜明けを迎えることになる。

(2020年4月29日午前4時の田舎芋。この冬ずっとお世話になったチャンチャンコも、そろそろクリーニング屋に出す日がきた)

 

 ところで諸君、あんまり政治色の強い話はそろそろヤメにして、素直に平凡な旅行記に戻ろうと考えている。デンマークの後は、南イタリア・アドリア海東海岸の長い旅の記録が待っている。そちらの旅は、さすがにデンマークの地味すぎる旅とはワケが違うから、無力な床屋政談なんかしている暇はないはずだ。

 

 だから今日は最後に、2014年4月のアムステルダム、オランダ全土をオレンジ色に染め上げる「国王の日」の記事を下に貼っておく。

 

 昨日4月28日、国王の日の祝祭行事は全て中止。アムステルダムの8つの運河を埋め尽くす無数のボートは「強烈3密」であるから、中止は当然だ。今はただ、楽しげなオランダの3密写真を満喫してくれたまえ。

 

 しかし諸君、寂しいじゃないか。秋田の竿燈・青森のねぶた・京都祇園祭の山鉾巡行・アムステルダムのズンドコ隊、みんな中止で世界がこんなに地味になっちゃ、人類が可哀そうでならない。せめて6年前のオランダを追体験して、「来年こそは」の闘志を燃やしてもらいたい。

 

Thu 140911 様々な出会い 国王の日の熱狂 尿意と熱狂の行方(おらんだ先生訪問記42)

Wed 140910 ズンドコ船隊の跋扈がはじまる 今日もタマヨ朝食(おらんだ先生訪問記41)

Mon 140915 今井君ライデン危機 靴底の思い出 クツ君とお別れ(おらんだ先生訪問記46)

 

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