Mon 180806 ベネチアを八郎潟に/リアルトで朝食/穴場(イタリアすみずみ21)3689回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 180806 ベネチアを八郎潟に/リアルトで朝食/穴場(イタリアすみずみ21)3689回

 それにしても、世界中どこもかしこも混雑しすぎだと思うのだ。祇園祭の真っ最中の京都、11月中旬から下旬の紅葉真っ盛りの京都、駅前のバス停やタクシー乗り場の長蛇の列には凄まじいものがあるが、あれと同じ事態が世界中いたるところで同時進行しているのだ。

 

 ヴェネツィアの大混雑については、今に始まった話ではない。5年前も10年前も15年前も、アイスクリームを買うにもバーに腰掛けて酒を飲むにも、長蛇の列は覚悟の上だった。

 

 旨いメシでも食おうと思えば、数ヶ月も前からPCをポチポチ、懸命に予約をとって出かけなきゃいけない。フィレンツェで美術館に入るのも同じこと。ダヴィンチの最後の晩餐も、ウフィツィのラファエロも、アカデミア美術館のミケランジェロも、数ヶ月前の予約が必須。そういう世界になっている。

 

 しかしさすがに2018年のヴェネツィア、これは完全に行き過ぎだ。今やヴェネツィアは東アジアの人々にほぼ完全に占拠され、右を向いても東アジアの人々、左を向いても東アジアの人々、上も下も南も北も、みんながみんな♡東アジアであって、イタリア語なんかちっとも聞こえてこない。

   (ヴェネツィア「嘆きの橋」付近のスーパー混雑)

 

 もしかしたらヴェネツィアを、そっくりそのまま東アジアに移動させちゃってもいいんじゃないかいな。長崎のハウステンボスを遥かに凌ぐスケールで、「ヴェネツィアをそのまま作っちゃいました」「レプリカです」なんてのも素晴らしいじゃないか。

 

 どうだい秋田県。八郎潟を干拓して大潟村を作ったのは、人類の歴史に残る昭和中期の大事業。八郎潟は日本第2の湖だったが、その真ん中に巨大水田地帯を築いた。

 

 しかし八郎潟はまだ残っている。名付けて「八郎潟♡残存湖」。その面積は広大だ。ヴェネツィアをそのまま移築するぐらいの湖水面積は、十分にあるじゃないか。

 

 もともとヴェネツィアはラグーン(潟)なのだ。ゆっくりとアドリア海に沈みゆくヴェネツィアの移設を誘致するのに、八郎潟には十分にその資格がある。今や東アジアの人々に占拠されつつあるんだ、東アジアの東端にその完全なレプリカを作ったっていいじゃないか。

  (ヴェネツィア「パラッツォ・ドゥカーレ」付近の大混雑)

 

 2018年現在のヴェネツィアの混雑と混乱は、サトイモ男爵にこのぐらいの妄想を居抱かせるのに十分なレベルなのである。今日の1枚目の写真を、もう一度じっくり眺めてくれたまえ。場所は、スーパー名所「嘆きの橋」付近である。

 

 ルネサンス期のヴェネツィアで、死罪と決まった男たちが、最期に嘆きの涙を流しつつ美しいヴェネツィアの海を眺めた、そういう伝説のあるところである。

 

 目の前にはサン・ザッカリアの船着場と名門ホテル「ダニエリ」、サンマルコ広場もパラッツォ・ドゥカーレも至近。そりゃ観光客が殺到しても不思議はないが、いくら何でもこの人口密度はありえない。

 

「まっすぐ前に進めない」どころではなくて、至る所で歩行者による交通渋滞が発生する。ねぶた祭りの真っ最中の青森、竿灯祭りの夜の秋田、山鉾巡行の四条河原町、そのレベルの大混雑が、1年を通じて朝から晩まで絶えることなく続くのだ。

(嘆きの橋付近の大混雑。運河の対岸、サン・ジョルジョ・マッジョーレの鐘楼から)

 

 だから諸君、水上バス(ヴァポレット)にも乗れない。地元の人はさぞかし困っているだろうが、例えば5月23日の今井君は朝9時前にミラノからヴェネツィアに列車で到着。すぐにヴァポレット1日券を購入して、駅前からサンマルコ広場までヴァポレットに乗って行こうと考えた。

 

 しかしそのヴァポレットが、どれもこれもみんな超満員なのである。どこから乗ってきたのか分からないが、とにかくどれも東アジアのヒトビト満載だ。かくいう今井君自身もレッキとした東アジア人であるが、ふと「オレはホントにイタリアにいるんだろうか?」と不安に苛まれるレベルである。

 

 超満員で通過するヴァポレットを3隻ほど見送った後で、サトイモ君は憤然と船をあきらめ、「とりあえずリアルト橋まで徒歩で行っちゃおう」と決めた。

 

 この日のヴェネツィアは、小雨模様。しかし諸君、温かい初夏の小雨に濡れながら歩く方が、乗れないヴァポレットを延々と待ち続けるより遥かにマシだ。

(リアルト橋付近「ドイツ人商館」屋上からのカナル・グランデ 1)

 

 何しろ勝手知ったるヴェネツィアだ。リアルト橋まで、どこをどう迷ったって30分もかからない。カ・ペーザロ、カ・ドーロ、魚市場、おなじみの名所旧跡を辿りながら、リアルト橋には10時前に到着した。

 

 もちろんここの混雑も、ヴァポレット以上のものがある。橋の上はまさに黒山の人だかりであって、頑丈な石造りの橋も人の重みで今にも崩れ落ちそうな勢いだ。

 

 こういう時には「とりあえず、メシ」。それがサトイモ男爵の人生の方針であって、腹が立ったりムカついたり、「何もかもうまくいかないな」と泣きそうになったら、とにかく座って腹いっぱいメシを食えばいい。ほとんどの場合、席を立つ頃には全てがスムーズに回り始めている。

(リアルト橋付近「ドイツ人商館」屋上からサン・マルコ広場を望む)

 

 選んだのは、リアルト橋のたもとの店。前回のヴェネツィア訪問時に、ディナーに選びかけて、やっぱりすぐにヤメちゃった店である。「前回」とは、2014年のマルセイユ滞在の時。マルセイユに2週間滞在して、その中盤にヒコーキでヴェネツィアを訪れ、1泊だけしてマルセイユに戻った。

 

 当時の様子は「Tue 141216 は?ヴェネツィア? ピ♡ カモメも驚くノロノロ(夏マルセイユ滞在記14)」「Wed 141217 ムラーノ島のシカケ 旨そうに食べる ブラーノへ(夏マルセイユ滞在記15)」「Thu 141218 世田谷区で新年会 魚+蟹を6匹 ブラーノ島を再訪(夏マルセイユ滞在記16)などを参照。おお、すでに4年も前のことになる。

 

 もちろん、まだ朝10時。朝食の時間帯だから、店で選べるメニューもマコトに朝食的なものばかりである。目玉焼き2個。ベーコン数枚。朝だけれども生ビール。そういうものをワシワシやって、大混雑にたいするウップンを振り払えば、思わず心からウッフン、ギュッと幸せを感じることができる。

 

 こういうふうだから、もうヴェネツィア観光も、素直に&普通に&ノンキに進めることは出来ない。人の来ないところ、東アジアの人々が団体ツアーで押しかけないところ、要するに「穴場」、そういうのだけをうまく狙い撃ちで回るしかないのである。

 

 つい2週間前、ワタクシは油断して「祇園祭の穴場」「山鉾巡行を満喫する穴場」についてブログに書いてしまった。四条河原町でもなく、河原町御池でもなく、「3回めの辻回しが済んだ後の新町通りが絶好」と書いて、後から大きな後悔に襲われた。

 

 穴場情報なんてのは、書かない方がいいのだ。何しろ連日4000アクセスだ。「新町通りが穴場です」みたいなのは、あっという間に広まっちゃう。来年の山鉾巡行で、新町通りがギューヅメの満杯になりかねない。

(リアルト橋付近「ドイツ人商館」屋上からのカナル・グランデ 2)

 

 同様にヴェネツィアでも、「カナル・グランデの絶景を満喫するなら、リアルト橋より◯◯◯◯がいいですよ♡」みたいな情報は、ここに書かない方が身のためかもしれない。

 

 しかし諸君、この穴場情報、すでにガイドブック類にもチラホラ姿を見せはじめている。リアルト橋の船着場とは反対側、昔は閑散としていた「ドイツ人商館」である。

 

 今は瀟洒なショッピングセンターとなったその建物の屋上に上がれば、リアルト橋より一段も二段も高い視点から、ヴェネツィアの街を一望することができる。ボーシを風に飛ばされないように注意しながら、はるかなサン・マルコ広場の絶景をゆったり堪能してくれたまえ。

 

1E(Cd) Menuhin & Bath FestivalHÄNDELWASSERMUSIK

2E(Cd) Diaz & SorianoRODRIGOCONCIERTO DE ARANJUEZ

3E(Cd) Cluytens & ConservatoireRAVELDAPHNIS ET CHLOÉ

4E(Cd) MiolinRAVELWORKS TRANSCRIBED FOR 10-STRINGED & ALTO GUITAR

5E(Cd) QueffélecRAVELPIANO WORKS 1/2

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