Tue090818 ニューヨーク滞在記1いつの間にか「予備校講師の身辺雑記」ばかりになった事情 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue090818 ニューヨーク滞在記1いつの間にか「予備校講師の身辺雑記」ばかりになった事情

 で、ニューヨークであるが、1年半ぶりに訪れたことになる。前回が2007年12月18日からの10日間。今回が2009年8月中旬の10日間であるから、まさに1年半ぶり。2008年10月の金融危機から計算すると、前回が金融危機の10ヶ月前。今回が金融危機の10ヶ月後。つまり、リーマン破綻から始まった金融危機を真ん中にはさんで前後10ヶ月ずつという時期にそれぞれニューヨークを訪問して、その雰囲気の違いや街の様子、人々の表情や外国人への態度、そういうものを比較してみるちょうどいい機会になった。今日からしばらくこのブログでは「ニューヨーク滞在記」を書こうと思う。

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(ニューヨーク市立図書館の前までついてきたニャゴロワの像)


 昨年ブログを開設した当初は、身辺雑記に交えていろいろな旅行記を書いていたのである。コモ湖と北イタリア紀行(080608~080713)、ボローニャとロンバルディア紀行(080715~080910)、マッジョーレ湖とジュネーブ紀行(080913~0801026)がそれ。評判も大いによく、PVもまあ多くて、一時は「マッジョーレ湖」「ヴィラ・アミンタ」などで検索すると真っ先にこのブログが出てくるほどであった。


 しかし、やはり「予備校講師の身辺雑記」を求める声のほうがはるかに強いのである。毎日Biglobeから送られてくる「レポート」なるものを見ると、予備校講師の身辺雑記的な記事のときには1日4000を超えたり、5000件に迫ったりすることもある。それに対して、旅行記など「身辺雑記以外」「予備校関係以外」になると、3000に届かない。


 別にそんなことはどうでもいいようにも思うのだが、そこは人気商売の悲しさ。この15年「締め切り講座の数」「受講生の数」「講演会に集まってくれた受講生の数」「アンケートでの満足度のパーセンテージ」など、生の数字に追いまくられて生きてきた報いというのは恐ろしい。何らかの形で数字に現れないと、どうしても安心できない。どんなつまらないことでも生の数字を見せられると、どうしてもそちらに気が散ってしまって、歴史上の偉人のように「そんなことに興味はありません」とうそぶいてボロをまとって町を闊歩するような行動はとれないのである。

 

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(タイムズスクエアのNaked Cowboy)


 まして、場は「ブログ」である。「気持ち玉」などというワケのわからないものまで導入して、筆者同士を競わせる。「書き方を変えればPV数が上がります。こちらをクリック」などという画面まで出てくる。「アクセスランキング」という定番もあって、ここでは何の間違いだか、いつの間にか「50位ぐらいが定位置」で、常連として常にランキング入りするようになる。半年前には100位に入るかどうか、名前が出たり出なかったり、そういう状況だったのに、こんなことになってしまった。そうなるとますます数字が気になり、こんな年齢になっても、数字を少しでも上げたい、1ポイントでも2ポイントでも、という気持ちに拍車がかかる。選挙と同じことである。

 

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(ニューヨーク証券取引所、2009年8月)


 まあ、日本中のほとんどの社会人が、営業マンでもエンジニアでも教育者でさえも、こうやって同じように数字に追いまくられているのであろうが、いつの間にか「PV数の稼げる」「ランキングの上がる」書き方や記事内容へと傾斜していく。それでも「2~3行の記事でどんどんアップする」みたいなダラしないことをせずにここまで450日継続してきたのは誇りなのであるが、昨年10月から11月にかけて「ブログ内容をほぼそのまま著書にする」「ブログ本を出版する」という裏ワザに手をつけてしまい、あそこから一気にブログは「予備校講師の身辺雑記」の色彩を強めた。


 別にこんなに反省する必要はないのだが、以上が久しぶりにブログで旅行記を書く言い訳である。言い訳もこんなふうにタップリした後なら、大いに安心してニューヨーク滞在記を書けるというものである。冒頭に書いた通り、金融危機をはさんで10ヶ月前と10ヶ月後とに、金融危機の舞台となった同じ街で遊び、同じ街を観察した体験記になるのであるが、掲載する写真は2007年12月のものを中心とする。金融危機を控え、すでに危機感が充満し、荒涼としたニューヨークのクリスマス風景である。

 

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(Wall Street、地下鉄の入り口。2009年8月)


 なお、「予備校講師の身辺雑記」も、もちろん適宜掲載するし、ニャゴロワ&ナデシコの写真もメボしいものがあれば間髪を入れずに掲載する。ただ、9月と10月とはブログに書くに値する予備校講師の雑事が急激に減少するのだ。その分、ニューヨークの後は「アイルランド&スコットランド紀行」「マドリード滞在記」「ロンドン滞在記」「ライン河大紀行」などが(あくまで自己満足の表現として)連続する可能性が高いこともまた確かである。