Mon 090119 お隣の国のお祭り やりかけの仕事を黙々とこなすこと 嘔吐後の深い悟り | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 090119 お隣の国のお祭り やりかけの仕事を黙々とこなすこと 嘔吐後の深い悟り

 オバマ氏が大統領就任式を無事に済ませ、ニュースによれば全世界が沸き立ち、喝采し、笑顔で祝福し、手放しで、全身で、喜びを表現している。たいへんおめでたい。さあこれでパフォーマンスは終わったのであり、いよいよ本来の仕事にかからなければならない。ワイシャツ姿で壁にペンキを塗ったり、TIMEやNewsweekの表紙写真を飾るためにポーズをとったり、そういう仕事以外に、いよいよ中身のある仕事をまともに開始することになる。これもたいへんおめでたい。就任式前日にも、アメリカの株価は大幅に下落している。日本のメディアは全く伝えないが、アメリカの大統領交代について、別に何だとも思っていない人々が世界中にいくらでもいるし、このことでいまの事態が好転すると期待していない人の割合も低くはない。いよいよ実力と実績で事態を好転させ改善する時がやってきたのであって、これもたいへんおめでたいことである。


 何事も「去年今年貫く棒のごときもの」であって、よその国のリーダーがチェインジしても、「棒」はそのままである。金融危機はそのままだし、デフレ傾向は変わらないし、学校の成績も上がらない。ブッシュ時代の最終日に受験したセンター試験の得点に+50点加算されるわけでもない。思ったほどの感動を演出できなかった就任演説(請け負った広告代理店が悪かったのか、それとも自身が執筆し、自身が感動を演出することを避けようと思ったのか、危機に際しては感動より実質と考えたのか、そうしたことは定かではないにしろ)と同じように、日本に生き日本で生活する我々の生活には、特に圧倒されるような変化が起こったわけではない。


 だから、「短い祭は終わった」と認識して、再び黙々と働くばかりである。粛々と、と言ってもいい。いまは世界中が病気なのである。病気を治すには医者に行って治療を受ければいいのだが、残念ながらこの病気には名医がいないらしい。だから病気を治すのには1つ1つの細胞が黙々と回復の努力に励まなければならない。ケネディが言ったのはそのことである。「国家があなたのために何をしてくれるのかを考えるのではない、あなたが国家のために何が出来るか考えるのである」である。

 

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(箱の中で孤独を噛みしめるニャゴロワ)


 「Aではない、Bだ」「Aする時代は終わった。いまこそBするのだ、B’するのだ、そしてB’’を目指すのだ」の類いのアメリカ式プレゼンの基本表現を何故オバマ氏が今回の演説で使わなかったのか、それはよくわからない。しかし、もしいま日本のリーダーが、アメリカ式論法で演説をしようとすれば、以下のようになる。隣の国から病気は始まったが、彼らは新しいリーダーを得て、いま立ち上がろうとしている。我々の国も、深い病気の中にある。隣の祭を、じっと眺めている時代は終わった。国家の1つ1つの細胞である我々が、いよいよ立ち上がって仕事をする日が始まった。躊躇している時間はない。今こそ立ち上がって働くときである。まず目の前にあるやりかけの仕事を完成させようではないか、まず、その簡単な仕事をやり遂げてしまおうではないか、そういうことである。


 アメリカの広告代理店なら、こういう演説のフォームを各種取り揃え、順列組み合わせを変えれば、ほとんど無数といえるほどに準備しているはずだし、実際にこういうフォームは有効で、それこそ人々に勇気を与えるのには絶好のものである。あとは、人々が勇気をもらって自宅に帰り、ゆったりと腰を下ろし、コーラを飲み、ピザを注文し、コーラがビールにかわり、ビールが強い酒にかわり、ベッドに横たわり、ゴミと片付けものに囲まれて明日の朝を迎えないように祈るばかりである。大統領演説や、お祭りや、スポーツイベントや、広告代理店のフォームに言葉を代入しただけのアジテーションでは、それによって喚起される感動も勇気も、24時間以上の継続は保障できないからである。

 

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(床暖房で「暖か世界」のナデシコ)


 日本に生活する我々としても、早く立ち上がって早く仕事を始めることである。センター試験の成績を突きつけられて決断を迫られている諸君は、第1志望を貫いて勝負をかけ力づくでこの試練を押しわたるのか、「チャレンジしなかった」という10年後の後悔を覚悟で志望を下げ安全策を取るのか、早く決断して、残った40日のうちに、残された仕事すべてを、とにかく一刻も早く片付けてしまうべきである。


 まだ「志望校対策」の1講座ぐらい十分受講可能である。この1年受講してきたテキストから毎日1冊ずつ選択してすべて解き直すこともできる。毎日1冊なら、これから第1志望の本番までに30冊ものテキストを解き直すことになる。それだけのことをして合格できないような難関校は、そんなにたくさんあるものではない。要するに、いま立ち上がって仕事を始めるか否かである。


 周囲でオロオロしている大人たちは、彼らや彼女たちにそういうことを言ってあげればいいので、「無理するな」「志望校を下げろ」「学歴社会は終わった」などと説得を試みたり慰めを言ったりしても、何の前進にもならない。逆に、妙に盛り上がって、ハチマキをさせたり、シュプレヒコールさせたり、決意表明を書かせたり、そういうのも今となっては時間の無駄になりかねない。もうとっくに決意は固いのだ。目の前にある仕事を黙々とこなし続けるだけで、信じがたいほどの前進をとげる状況は出来ている。


 こういう話は、先輩の大学生諸君も同じことだろうし、後輩の高校1年生2年生諸君も同じことである。大言壮語や、実現不可能な計画表や、3日経てば忘却の彼方に沈んでいる決意表明よりも、とにかく目の前にある仕事を1個ずつこなすことである。さっきやった長文読解問題の英文を5回音読することだし、数学の教科書傍用問題集を(A問題でいいから)今日も10問解いてから寝ることである。社会人なら、電話1本かけることだし、お得意様に挨拶のハガキ1枚書くことだし、新製品のメールを送信したら、すぐに電話をかけて肉声で説明することだし、DMの片隅に自筆の挨拶を書き込むことである。


 シューカツ中の大学生諸君だって、シューカツが思うようにはかどらなくても、しっかり毎日英会話の勉強をコツコツ進めたまえ、小論文を書く練習を継続したまえ、プレゼンの練習で互いに切磋琢磨したまえ、大学の専門の勉強にも身を入れたまえ、そういうコツコツを継続すれば、忘れた頃に必ず、自分に最も相応しい企業から電話がかかってくるものである。大企業ばかりに憧れて浮かれたシューカツばかりしていても、どうせ碌なことはない(Wed081224Thu081225参照)。


 おお、何と偉そうなアドバイスであろうか。「自分では、やれんのかよ?」「げろ、偉そうだぜ」と言われれば、確かに一言もないのであるが、つい3日前に大量のゲロを吐いて、このナマケグマは、深く大きく悟ったのだ。吐瀉物の量と、悟りの深さは、比例するようである。だから、今回の悟りは大きく、深い。大きすぎて、深すぎて、1日で書くことが出来ない。続きは明日、ということになる。うほ。にゃご。

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